著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Journal of Nutrition College
ライセンス: CC BY-SA 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF
研究の目的
出産後、ある時点の体重が妊娠前の体重をどれだけ上回っているかを「産後体重残留」と呼びます。妊娠中に体重が増えるのは自然なことですが、出産後に体重が戻らないと、肥満や代謝の異常、次の妊娠での合併症などのリスクが高まるとされています。論文では、これまでの研究で、出産から1年たっても妊娠中に増えた体重のうち少なくとも4.5キログラムが残る場合があると報告されていることも紹介されています。
著者らは、本人の工夫で変えられる要因の一つとして食事に注目しました。ここでいう食事パターンとは、特定の栄養素や一つの食品だけでなく、何をどう組み合わせて日常的に食べているかという食習慣全体を指します。ただし、食事パターンと産後体重残留の関係を調べた研究の結果は一致していませんでした。また、産後の母親の体重変化に焦点を当てて整理した総説も限られていました。そこで研究チームは、この関係についての最近の知見をまとめることを目的に、文献レビューを行いました。
どのように調べたか
研究チームは、論文を探して選ぶ手順の国際的な指針に沿って、四つの医学・学術文献データベースを検索しました。対象は2017年から2026年に発表された英語の論文で、人を対象とし、全文が読めるものに限りました。さらに、産後の女性を対象に、食事パターンや食事の質を評価し、産後体重残留を結果として報告している研究を選びました。妊娠中の経過や赤ちゃんの状態だけを扱い、母親の体重を評価していない研究は除外しました。
条件を満たした研究は7件でした。その多くは、ある集団を一定期間追跡して食事と体重の関係を観察する前向きコホート研究で、中国、シンガポール、アラブ首長国連邦、レバノン、米国で行われたものでした。調べられた食事の側面は、食品の多様性、地中海式の食事、食事の質、摂取エネルギー量、体内時計(概日リズム)に関わる食べ方などでした。
主な結果
著者らの整理によると、全体としては、より健康的な食事パターンほど産後体重残留が少ない傾向が見られました。反対に、食事の質の低さ、エネルギーのとり過ぎ、夜遅くに食べる習慣などの好ましくない食べ方は、産後体重残留の多さと関連していました。地中海式の食事や、食事に関する指針をよく守ることは、過度な産後体重残留を防ぐ方向に働くと著者らは述べています。
一方で、個々の研究の結果はさまざまでした。ある研究では、米と野菜が中心の食事パターンは産後体重残留が多いことと、多様な食品群を含むパターンは産後のより長い期間で体重残留が少ないことと関連していました。別の研究では、食事の質の全体的な評価と体重残留との関連は見られませんでしたが、魚やエビの摂取は後の時期の体重残留が少ないことと関連していました。妊娠中の食事を調べた研究では、夜間に食べる習慣と食事の質の低さが、産後の体重残留が起こりやすいことと関連していました。両方が重なる場合には、関連がより強く見られました。
肥満のある女性を対象とした研究では、食事の質全体よりも、出産後の摂取エネルギー量の変化のほうが体重変化とより強く関連していました。低炭水化物の食事パターンを調べた研究では、全体的な低炭水化物パターンと、動物性食品を中心とした低炭水化物パターンは体重残留の少なさと関連していました。植物性食品を中心としたパターンでは、はっきりした関連は見られませんでした。指針の順守を調べた研究でも、関連が見られたのは指針全体を守る度合いで、個々の食事の要素では明確な関連は見られませんでした。
著者らは、食事を評価した時期が研究ごとに違う点にも注目しています。産後の食事を調べた研究もあれば、妊娠中の食事を調べてから産後の体重を観察した研究もあり、どの時期の食事を測るかで関係の見え方が変わりうると指摘しています。
研究から見えること
このレビューから見えてくるのは、出産後の体重の戻り方と食事の関係が、食べる量だけでは説明できないということです。食品の多様さ、何を食べるか、いつ食べるか、エネルギー量、栄養素の供給源といった複数の側面が関わっており、「健康的な食事か、そうでないか」という単純な区分だけでは捉えきれないと著者らは述べています。
取り上げられた研究の多くは観察研究で、示されているのは主に食事と体重残留との関連です。著者らは、健康的な食事パターンが産後の体重回復を支える可能性があるとしたうえで、知見を確かなものにするには、さらに長期の追跡研究や介入研究が必要だとしています。
原著論文の著者・所属:Rizqy Abidah Ramdlaniyah(Departemen Ilmu Gizi, Fakultas Kedokteran, Universitas Diponegoro, Semarang, Jawa Tengah, Indonesia)、Etika Ratna Noer(Departemen Ilmu Gizi, Fakultas Kedokteran, Universitas Diponegoro, Semarang, Jawa Tengah, Indonesia)、Alifia Fitrikasari(Departemen Kedokteran, Fakultas Kedokteran, Universitas Diponegoro, Semarang, Jawa Tengah, Indonesia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Rizqy Abidah Ramdlaniyah, Etika Ratna Noer, Alifia Fitrikasari PERAN POLA MAKAN TERHADAP RETENSI BERAT BADAN PASCAPERSALINAN: LITERATURE REVIEW. Journal of Nutrition College 2026-09-05. DOI: 10.14710/jnc.v15i4.57378. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。