著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Jurnal Riset Keperawatan dan Kesehatan
ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF
なぜこの関係を調べたのか
若い世代の高血圧は増加傾向にある健康問題で、大人になっても続くおそれがあると、研究チームは指摘しています。血圧に関わる食事の要因の一つが、食塩などに含まれるナトリウムの摂取です。ただし、思春期の若者を対象とした研究では、ナトリウム摂取と血圧の関係について結果が一致していませんでした。
著者らは論文の背景で、インドネシアの若者には体によくない間食の習慣が多いことを挙げています。また、インドネシアの人々の平均食塩摂取量が1日あたり約6.68グラムで、半数以上が1日5グラムを超えているという既存の報告も紹介しています。そこで研究チームは、インドネシアの10〜19歳の若者を対象とした研究に絞り、ナトリウム摂取と血圧の関係について、これまでの証拠を整理・評価することにしました。
どのように研究を集めたか
この論文は、新たに調査を行うのではなく、すでに発表された研究を集めて検討する「文献レビュー」です。研究チームは、PubMed、ScienceDirect、Google Scholar、インドネシアの論文データベースGarudaの4つを使い、2026年8月15日まで検索しました。
対象としたのは、インドネシアの10〜19歳の若者について、ナトリウムまたは食塩の摂取量と、血圧または高血圧との関係を調べた観察研究です。検索で見つかった2,767件の文献を絞り込み、最終的に9件を分析対象としました。内訳は、ある時点の状態を一度に調べる「横断研究」が8件、高血圧のある人とない人を比べる「症例対照研究」が1件です。
結果は研究によって分かれた
研究チームによると、9件の結果は一致していませんでした。3件の研究では、食塩やナトリウムの摂取と高血圧の間に統計的に意味のある関連が報告されていました。このうち1件は肥満の若者を対象とした研究で、1日1,500ミリグラム以上の摂取が高血圧と関連していました。一方、5件の研究では明確な関連は見られませんでした。残る1件では、単純な比較では関連が見られませんでしたが、ほかの要因を同時に考慮する分析では関連が示されました。
著者らは、結果が分かれた背景として、血圧に関わるほかの要因に注目しています。対象とした研究の中では、栄養状態や過体重・肥満、運動不足、ストレス、家族に高血圧の人がいることが、血圧や高血圧と関連していると報告されていました。ある研究では、調べた要因の中でストレスが最も強い危険因子とされていました。また、塩分の多い食品をよく食べることがナトリウム摂取量とは関連していても、血圧とは関連していなかったという研究もありました。
研究チームは、レビューの限界も挙げています。対象研究の多くは横断研究であるため、ナトリウム摂取が血圧を上げるという因果関係までは判断できません。また、研究ごとに摂取量の調べ方や血圧の測り方が異なっていたことや、検索したデータベースと言語が限られていたことも、結果の解釈に影響しうるとしています。
この研究が示すこと
このレビューは、インドネシアの若者において、ナトリウム摂取だけで血圧の違いを説明できるとは限らないことを示しています。栄養状態、運動、ストレス、家族歴、食べ方、塩分への感受性の個人差など、複数の要因が関わっている可能性があるというのが著者らの見方です。そのうえで著者らは、結果が一致しないとしても、ナトリウム摂取を控えることは高血圧の予防において引き続き必要だと述べています。
原著論文の著者・所属:Ulil Albab Habibah(Fakultas Kedokteran, Universitas Islam Indonesia, Yogyakarta, Indonesia)、Nazwa Aliya Sari(Fakultas Kedokteran, Universitas Islam Indonesia, Yogyakarta, Indonesia)、Tsabitah Aulia(Fakultas Kedokteran, Universitas Islam Indonesia, Yogyakarta, Indonesia)、Salma Rasyidah(Fakultas Kedokteran, Universitas Muhammadiyah Malang, Malang, Indonesia)、Asyifa Ayuning Tyas(Fakultas Kedokteran, Universitas Islam Indonesia, Yogyakarta, Indonesia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ulil Albab Habibah, Nazwa Aliya Sari, Tsabitah Aulia, et al. Asupan Natrium dan Tekanan Darah pada Remaja: A Literature Review. Jurnal Riset Keperawatan dan Kesehatan 2026-10-31. DOI: 10.71203/jrkk.v3i5.188. 原著ライセンス:CC BY.