著者の所属・活動拠点の国は、ブラジルです。

掲載誌:Revista Contexto & Saúde

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

多くの国では、食生活が加工食品の多いものへ移り変わる「栄養転換」が進んでいます。とくに低・中所得国で顕著とされ、収入や教育などの社会経済的条件が健康的な食品を手に入れやすいかどうかに影響すると考えられています。女性は妊娠期を含めて自身と子どもの健康に関わり、家庭の食事の選択や調理でも中心的な役割を担うことが多いとされます。

ブラジル北東部パライバ州ジョアンペソア市の研究チームは、ブラジルの公的医療制度(SUS)を利用する成人女性について、どのような食べ方の組み合わせ(食事パターン)が主にみられるかを調べました。あわせて、年齢、妊娠の有無、学歴、収入などの要因が、それぞれのパターンへの当てはまりやすさとどう関連するかを検討しました。著者らは、SUS利用女性を対象にこの関係を調べた研究はまだ少ないと述べています。

調べた方法

対象は、市内10か所の家庭保健ユニット(地域の基礎的な医療施設)で集められた18〜59歳の女性268人です。2018〜2020年に行われた追跡調査のデータを使い、ある一時点の状況を分析する横断研究として解析しました。参加者のうち176人は妊娠中でした。

食事内容は、前日の24時間に食べたものを聞き取る「24時間思い出し法」で調べました。参加者には家庭訪問が2回行われ、半数以上が2回目の聞き取りも受けています。食品は主食、豆類、加工肉、スナック菓子、甘い飲料などの18群にまとめ、一緒に食べられやすい食品群のまとまりを統計的に見つける「因子分析」という手法で食事パターンを取り出しました。そのうえで、各パターンに当てはまりやすいかどうかと、妊娠、年齢、学歴、収入などとの関連を、複数の要因を同時に考慮する回帰分析で調べています。

主な結果

分析からは四つの食事パターンが見つかりました。加工肉、スナック菓子、甘い飲料、菓子類、調味料・ソースが多い「不健康型」、米・芋類・クスクスなどの主食、豆類、肉・卵が中心の「伝統型」、そして食品の構成から良し悪しをはっきり判断できない二つの「混合型」です。四つを合わせても、食事内容のばらつき全体のうち説明できたのは36%でした。果物と野菜はどのパターンにも含まれず、著者らはこれらの摂取が少なかったことを懸念として挙げています。

論文によると、妊娠中の女性は妊娠していない女性に比べ、不健康型に当てはまるオッズ(起こりやすさの比)が7.62倍、伝統型でも6.00倍高いと報告されました。学歴が初等教育までの女性は、高等教育を受けた女性に比べて不健康型に当てはまるオッズが3.10倍高い一方、伝統型に当てはまるオッズは低くなっていました。また35歳を超える女性は、35歳以下の女性より伝統型に当てはまるオッズが2.10倍高いという結果でした。

収入が低いこと(1人あたり最低賃金の半分以下)も、単純な比較では不健康型との関連がみられましたが、学歴や妊娠などを同時に考慮した分析では統計的に意味のある差ではなくなりました。

研究が示すこと

著者らは、学歴が低い女性ほど不健康な食事パターンに当てはまりやすいことから、栄養教育や健康的な食品へのアクセスを進める保健施策ではこうした社会経済的な違いを考慮すべきだとしています。年齢の高い女性ほど伝統的な食事を保っていたことについては、食事の質の悪化が比較的最近の現象である可能性を示すものと解釈しています。

ただし、この研究は一時点の調査であるため、要因と食事パターンの因果関係までは示せません。また参加者は無作為に選ばれたわけではないため、ブラジルの他の女性集団にそのまま当てはまるとは限らないと著者ら自身が述べています。そのうえで、この研究は公的医療を利用する女性の食生活に、学歴や年齢、妊娠といった条件による違いがあることを具体的に示しています。

原著論文の著者・所属:Nadjeanny Ingrid Galdino Gomes(Federal University of Paraíba - UFPB. João Pessoa/PB, Brazil. https://orcid.org/0000-0002-6367-2176)、Rafaela Lira Formiga Cavalcanti de Lima(Federal University of Paraíba - UFPB. João Pessoa/PB, Brazil. https://orcid.org/0000-0003-1272-0067)、Adélia da Costa Pereira de Arruda Neta(Federal University of Paraíba - UFPB. João Pessoa/PB, Brazil. https://orcid.org/0000-0001-8271-3079)、Maria Augusta Correa Barroso Magno Viana(Federal University of Paraíba - UFPB. João Pessoa/PB, Brazil. https://orcid.org/0000-0002-1122-1197)、Flora Luiza Pereira do Nascimento Freire(Federal University of Paraíba - UFPB. João Pessoa/PB, Brazil. https://orcid.org/0000-0001-9406-394X)、Sara Ferreira de Oliveira(Federal University of Paraíba - UFPB. João Pessoa/PB, Brazil. https://orcid.org/0000-0001-7058-8231)、Flávia Emília Leite de Lima Ferreira(Federal University of Paraíba - UFPB. João Pessoa/PB, Brazil. https://orcid.org/0000-0002-2849-9902)、Katia Rau de Almeida Callou(Federal University of Paraíba - UFPB. João Pessoa/PB, Brazil. https://orcid.org/0000-0003-0250-8193)、Bruna Farias da Silva(Federal University of Paraíba - UFPB. João Pessoa/PB, Brazil. https://orcid.org/0009-0008-3602-2611)、Israel de Melo Gomes(Federal University of Paraíba - UFPB. João Pessoa/PB, Brazil. https://orcid.org/0000-0002-2066-0634)、Luiz Medeiros Araújo Lima-Filho(Federal University of Paraíba - UFPB. João Pessoa/PB, Brazil. https://orcid.org/0000-0001-8841-8433)、Rodrigo Pinheiro de Toledo Vianna(Federal University of Paraíba - UFPB. João Pessoa/PB, Brazil. https://orcid.org/0000-0002-5358-1967 2 INFLUENCE OF SOCIOECONOMIC FACTORS ON THE ADOPTION OF DIETARY PATTERNS AMONG WOMEN USING THE BRAZILIAN UNIFIED HEALTH SYSTEM (SUS) Revista Contexto & Saúde - Editora Unijuí – ISSN 2176-7114 – V. 26 – N. 51 – 2026 – e16741)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Nadjeanny Ingrid Galdino Gomes, Rafaela Lira Formiga Cavalcanti de Lima, Adélia da Costa Pereira de Arruda Neta, et al. Influence of socioeconomic factors on the adoption of dietary patterns among women using the Brazilian Unified Health System (SUS). Revista Contexto & Saúde 2026-10-21. DOI: 10.21527/2176-7114.2026.51.16741. 原著ライセンス:CC BY.