著者の所属・活動拠点の国は、アルジェリアです。
掲載誌:The North African Journal of Food and Nutrition Research
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
捨てられがちな副産物に目を向けた研究の目的
食品の加工や製造の過程では、皮や搾りかすなどの副産物や廃棄物が大量に生じます。著者らによると、こうした副産物にはポリフェノール、食物繊維、抗酸化作用をもつ化合物、生理活性をもつペプチド(アミノ酸が短くつながった分子)といった価値の高い成分が多く含まれています。それにもかかわらず多くはそのまま捨てられており、栄養面でも経済面でも大きな損失になっていると論文は指摘しています。
副産物に新たな価値を見いだして活用すること(論文では「バロリゼーション」と呼ばれます)は、食品ロスを減らしながら、食品、動物飼料、食品以外の産業で付加価値を生む持続可能な方法だと位置づけられています。この論文はレビュー(既存研究をまとめて評価する論文)です。食品副産物から取り出した生理活性成分の性質の調べ方とその活用について、これまでの研究を体系的かつ批判的に評価することを目的としています。特に、成分を見分けたり量を測ったりするための分光法や化学分析の手法と、食品分野での応用に焦点を当てています。
どのように文献を集めたか
著者らは、構造化された批判的ナラティブレビューという方法をとりました。これは、決められた手順で文献を集め、その内容を論述の形で整理・評価する方法です。Scopus、ScienceDirect、Springerという三つの主要な学術データベースで、2015年から2025年までの出版物を検索しています。
抄録によると、最初の検索で26,152件の文献が見つかり、そのうち英語で書かれた査読付きの研究論文として17,830件が特定されました。さらに、分光法や化学分析で生理活性成分の性質を調べた研究であり、かつ食品に関わる主な用途を報告している研究を残すという基準で、対象となる文献を絞り込んでいます。
レビューから見えてきたこと
著者らは、調べた文献がそろって、食品副産物は生物学的・技術的・栄養的な性質をもつ生理活性成分の供給源になりうるのに、まだ十分に活用されていないことを示していると報告しています。
分析方法については、分光法、とりわけフーリエ変換赤外分光法(FTIR)と近赤外分光法(NIR)を従来の化学分析と組み合わせることが、大いに役立つと示されてきたといいます。分光法は、物質に光を当てたときの吸収の仕方から成分の特徴を読み取る方法です。論文では、この組み合わせによって、試料を壊さずに素早く成分の性質を調べたり、副産物由来の素材の品質を評価したり、表示どおりの本物かどうかを確かめたりできる点が挙げられています。
活用の面では、こうした成分を食品の配合、保存、そして食品の劣化を防ぐ働きをもたせた「アクティブ包装」に使う報告が増えているとされます。一方で、分析方法の標準化、安全性の包括的な評価、工業規模で実現できるかどうかといった課題が依然として残っていることも、著者らは指摘しています。
この研究が示す意味
著者らは、分光法と化学分析を組み合わせて食品副産物を活用する取り組みは、資源を循環させる持続可能な食料システムづくりに大きな可能性をもつと結論づけています。ただし、その可能性を十分に生かすには、分析手順の標準化、安全性や毒性の厳密な評価、工業規模での利用を可能にすることが優先課題になると述べています。捨てられてきた副産物を価値ある資源として見直すうえで、成分を正確に測り、安全性を確かめる技術がその土台になることを、このレビューは示しています。
原著論文の著者・所属:Abdelhakim Ridouh(Centre de Recherche en Technologies Agro-Alimentaires)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Abdelhakim Ridouh. Valorization of Food By-Products Employing Spectroscopic and Chemical Methods: Characterization and Applications of Functional Biomolecules. The North African Journal of Food and Nutrition Research 2026-08-15. DOI: 10.51745/najfnr.9.si.s63-s83. 原著ライセンス:CC BY.