著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Indonesian Journal of Applied Science and Technology
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
生活様式の変化にともない、若い世代では砂糖を加えた飲み物(加糖飲料)を口にする機会が増えています。加糖飲料とは、ショ糖や果糖、高果糖コーンシロップなどの糖類を加えた飲み物のことです。著者らは、こうした飲み物の取りすぎが血糖値の上昇を招き、若い年代での糖尿病のリスクにつながる可能性に注目しました。
ただし、これまでの研究では、加糖飲料と血糖値との間に有意な関連を認めた報告と、認めなかった報告が混在していました。また著者らによると、先行研究は若者に焦点を絞ったものが少なく、血糖の指標としても空腹時血糖やHbA1cに比べ、随時血糖(食事の時間に関係なく測った血糖値)を用いた検討は限られていました。そこで研究チームは、思春期から若年成人の加糖飲料摂取と随時血糖値との関係を、既存の研究を集めて整理する文献レビューによって検討しました。
どのように調べたか
著者らは、系統的レビューの報告手順として広く使われるPRISMAの指針に沿って、文献の収集と選別を進めました。対象とする研究の条件は、対象者(10〜24歳の思春期・若年成人)、曝露(加糖飲料を飲む習慣や頻度)、比較対象(摂取が少ない、または飲まない人)、結果(随時血糖値や糖代謝の異常のリスク)、研究デザイン(横断研究、症例対照研究、コホート研究などの観察研究)という枠組みで定めました。
検索にはGoogle Scholar、PubMed、インドネシア国内の学術誌ポータルが用いられ、2018年から2025年に発表された論文が対象となりました。重複の除外、題名と要旨による選別、本文での適格性の確認を経て、最終的に10本の論文が分析に用いられました。取り上げられた研究はいずれも、ある時点で摂取習慣と血糖値などを同時に調べた横断研究でした。
主な結果
研究チームによると、検討した論文の多くで、加糖飲料の摂取が多いことと血糖値の高さとの間に有意な関連が報告されていました。たとえば、ある村の思春期の若者159人を調べた研究では、パッケージ入りの加糖飲料の摂取と血糖値との間に有意な関連が示されていました。12〜18歳の女子を対象とした研究でも、甘い飲み物の摂取と糖尿病の発生との間に関連が報告されていました。
一方で、有意な関連が見られなかった研究もありました。高校生155人を対象とした研究では、加糖飲料の摂取量や飲み物に含まれる糖の量と随時血糖値との間に有意な関連は確認されず、医学生などを対象に空腹時血糖や前糖尿病(糖尿病の手前の段階)を指標とした研究でも、同様に関連は認められませんでした。著者らは、血糖値が身体活動、栄養状態、食生活全体、個人の代謝の違いなど、多くの要因の組み合わせによって左右されるため、結果に差が生じたと考察しています。
著者らはまた、このレビューの限界として、研究ごとに血糖の指標(随時血糖、空腹時血糖、前糖尿病の有無など)や、飲み物の摂取量を調べる方法(食物摂取頻度調査票や24時間思い出し法など)が異なっていた点を挙げています。
研究が示すこと
著者らは、結果が完全に一致しているわけではないものの、若い世代では加糖飲料の摂取が血糖値の上昇と関連する傾向があると結論づけています。そのうえで、甘い飲み物を多く飲む習慣は生活の中で変えられる糖代謝異常のリスク要因であり、糖の摂取を控えることや健康的な生活習慣についての教育が、糖尿病を早い段階から予防するうえで大切だとしています。このレビューは、若者の飲み物の選び方に目を向ける意義と、研究によって結果が分かれる背景を、既存の報告を通して示しています。
著者:Nurlita Purnamasari(Institut Kesehatan Hermina)、Retno Winarti(Institut Kesehatan Hermina)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Nurlita Purnamasari, Retno Winarti. The Association Between Sugar-Sweetened Beverage Consumption and Random Blood Glucose Levels Among Adolescents and Young Adults: A Literature Review. Indonesian Journal of Applied Science and Technology 2026-10-16. DOI: 10.67434/ijast.v7i2.2686. 原著ライセンス:CC BY.