豆を加工する際に出るエンドウ豆のさや皮は、多くが廃棄され環境負荷の一因となっています。しかしこのさや皮は食物繊維を豊富に含むことから、廃棄物を減らしつつ有用な原料として活用する道が模索されています。今回紹介する研究は、エンドウ豆のさや皮から食物繊維を効率よく取り出すための抽出方法を比較し、得られた繊維の性質を調べたものです。

研究チームは、Sant Longowal Institute of Engineering and Technology(インド、パンジャブ州)の研究者らです。

3つの抽出方法を比較

この研究では、エンドウ豆のさや皮から水溶性食物繊維(SDF)と不溶性食物繊維(IDF)を取り出すために、アルカリ抽出、マイクロ波併用アルカリ抽出、超音波併用アルカリ抽出という3種類の方法が用いられました。それぞれの条件は、応答曲面法という統計的手法を使って、総食物繊維(TDF)の回収率が最大になるように最適化されています。

具体的には、マイクロ波併用の抽出では出力450Wのもと、固形分と溶媒の比(0.025〜0.1 g/mL)と処理時間(3〜6分)が変えられました。超音波併用の抽出では、出力(150〜300W)、固形分と溶媒の比(0.025〜0.1 g/mL)、処理時間(3〜12分)の3つの条件が調整されています。一方、アルカリ抽出のみの場合は固形分と溶媒の比(0.025〜0.1 g/mL)だけが変更されました。

超音波併用アルカリ抽出が最も高い回収率に

最適化の結果、最も高いTDF回収率が得られたのは超音波併用アルカリ抽出で、出力225W、固形分と溶媒の比0.0625 g/mL、処理時間7.5分の条件で、TDF回収率95.69%(SDF 28.71%、IDF 66.98%)を記録したと報告されています。次いでマイクロ波併用アルカリ抽出が固形分と溶媒の比0.0625 g/mL、処理時間4.5分でTDF回収率88.90%(SDF 26.67%、IDF 62.23%)、アルカリ抽出のみが固形分と溶媒の比0.033 g/mLでTDF回収率84.40%(SDF 23.35%、IDF 61.07%)だったとされています。

さらに、超音波併用で得られた繊維は結晶化度が最も低く(IDFで22.27%、SDFで15.24%)、熱に対する耐性が最も高く(270℃まで安定)、粒子サイズも最も小さい(SDFで136.28±0.37μm、IDFで233.18±0.25μm)という特徴が確認されました。また、水を保持する力(IDFで4.8±0.79 g/g、SDFで3.2±0.57 g/g)、油を保持する力(IDFで2.7±0.51 g/g、SDFで1.5±0.29 g/g)、水を吸って膨らむ力(IDFで7.0±0.82 mL/g、SDFで4.0±0.54 mL/g)についても、超音波併用で得られた繊維が優れていたと報告されています。加えて、赤外分光分析(FTIR)により、繊維中にO-H基、C-O基、C-H基が存在することが確認されています。

この研究の位置づけ

この研究は、超音波という物理的な力を加えることで、繊維の結晶構造がより崩れやすくなり、その結果として水や油を抱え込む力や熱への強さが向上した可能性を示すものと位置づけられます。ただし、これは一つの研究による結果であり、実際の食品への応用や、ヒトが摂取した際の効果まで確認されたものではありません。研究はあくまで抽出条件の最適化と繊維そのものの物理的・化学的な性質の評価にとどまっている点に留意が必要です。

まとめ

エンドウ豆のさや皮という廃棄されがちな副産物から、超音波を併用したアルカリ抽出によって高い回収率で食物繊維を取り出せることが示されました。得られた繊維は水や油を保持する力に優れ、工業的な原料としての可能性が示唆される内容です。今後、こうした技術が実際の食品開発にどう活かされるか、続報が注目されます。

※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。参考文献:Pallavi Sharma, Pradyuman Kumar. Optimization and characterization of microwave and ultrasound assisted alkaline extracted pea pod peel dietary fiber. ディスカバー・インダストリアル・ケミストリー・アンド・マテリアルズ (2026). DOI: 10.1007/s44508-026-00020-z. 原著ライセンス: cc-by-nc-nd.