著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:Frontiers in Nutrition

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

高尿酸血症は、血液中の尿酸が多くなりすぎた状態です。体内でプリン体が分解されてできる尿酸の産生が増えたり、腎臓からの排出が減ったりすることで起こります。痛風は、尿酸の結晶が関節や腎臓にたまって炎症を起こす病気です。著者らは、高尿酸血症と痛風が世界的に増えていること、高尿酸血症が腎臓病や心血管病などのリスクとも関わることを背景に挙げています。そのうえで、日々の飲み物のような変えられる生活習慣に注目しました。

アルコール、砂糖入り飲料、コーヒー、お茶については、それぞれ尿酸の代謝に影響しうる仕組みが提案されてきました。しかし、これまでの疫学研究の結果は一致していません。そこで研究チームは、これら4種類の飲み物と高尿酸血症・痛風との関連を、既存研究をまとめて改めて評価することを目指しました。あわせて、飲む量が増えるほど関連がどう変わるかという「用量反応関係」も調べています。

どのように調べたか

研究チームは主要な医学文献データベースを検索しました。その中から、飲み物の摂取と高尿酸血症または痛風との関係を調べた横断研究、コホート研究、症例対照研究を選び出しました。この研究はメタ解析と呼ばれる手法をとっています。複数の研究結果を統計的に統合し、全体としての傾向を推定する方法です。最終的に、2003年から2024年に発表された52件の研究が含まれました。対象地域は中国、米国、韓国、英国、日本などの国々にわたります。

結果は主に「オッズ比」で示されています。オッズ比が1より大きければ、その飲み物を飲む人で病気が多い方向の関連を、1より小さければ少ない方向の関連を意味します。用量反応の分析では、コーヒー・砂糖入り飲料・お茶の量を1日あたりのミリリットル、アルコールの量を1日あたりのエタノールのグラム数に揃えました。ただし、高尿酸血症とお茶の分析については、量ではなく週あたりの飲用回数を用いています。

主な結果

アルコールの摂取は、痛風(オッズ比1.809)とも高尿酸血症(オッズ比1.524)とも、より高いオッズと関連していました。砂糖入り飲料も同様で、痛風(オッズ比1.371)と高尿酸血症(オッズ比1.478)の両方で、より高いオッズと関連していました。

一方、コーヒーの摂取は痛風のリスク低下と関連していました(オッズ比0.543)。ただし、高尿酸血症との間には統計的に意味のある関連は見られませんでした。お茶については、全体では痛風とも高尿酸血症とも明確な関連は認められませんでした。しかし、男女別に分けた分析では、女性のグループでお茶の摂取が高尿酸血症のリスク上昇と関連していました(オッズ比1.294)。

用量反応の分析では、コーヒーの摂取量が多いほど痛風のリスクが低い方向の関連が示されました。アルコールと砂糖入り飲料は、量が多いほど痛風・高尿酸血症のリスクが高い方向に関連していました。また、アルコールと痛風、砂糖入り飲料と高尿酸血症の間では、量と関連の強さが直線的には比例しない「非線形」の関係が見られました。

著者らは、多くの分析で含まれた研究数が限られており、これらの結果は探索的なものだと述べています。研究の設計や対象者、飲み物の定義の違いを反映して、研究間のばらつきも大きかったと報告しています。また、一部の結果では、どの研究を含めるかによって統計的な有意性が変わることがありました。発表された研究の偏り(出版バイアス)の可能性も完全には否定できないとしています。

この研究が示すこと

この研究は、身近な飲み物と高尿酸血症・痛風との関連を、種類ごと、さらに病気ごとに整理しました。アルコールと砂糖入り飲料はいずれの病気とも、より高いリスクと関連していました。コーヒーは痛風のリスク低下と関連し、お茶は女性で高尿酸血症との関連が示唆されました。ただし、これらはいずれも観察研究から得られた「関連」であり、飲み物が病気を引き起こす、あるいは防ぐことを直接示したものではありません。お茶と女性の高尿酸血症との関連については、著者ら自身がさらなる検証が必要だとしています。

原著論文の著者・所属:Mengxiao Li(Department of Nephrology, Beijing University of Chinese Medicine Third Affiliated Hospital)、Jiaying Wang(Department of Nephrology, Beijing University of Chinese Medicine Third Affiliated Hospital)、Zixi Wang(Department of Nephrology, Beijing University of Chinese Medicine Third Affiliated Hospital)、Jiaoyan Li(Department of Nephrology, Beijing University of Chinese Medicine Third Affiliated Hospital)、Wei Li(Department of Nephrology, Beijing University of Chinese Medicine Third Affiliated Hospital)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Mengxiao Li, Jiaying Wang, Zixi Wang, et al. Association between intake of different beverages and risk of hyperuricemia and gout: a risk factor and dose–response meta–analysis. Frontiers in Nutrition 2026-10-22. DOI: 10.3389/fnut.2026.1956907. 原著ライセンス:CC BY.