著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:LAN TABUR Jurnal Ekonomi Syariah

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

イスラム教徒(ムスリム)の旅行者が安心して旅行できるよう配慮した観光は「ムスリムフレンドリー観光(MFT)」と呼ばれます。研究チームは、こうした観光環境の整備状況が、各国を訪れる外国人観光客の数とどのように関係しているのかを調べました。

MFTの度合いを測る指標として、著者らは「グローバル・ムスリム旅行指数(GMTI)」を用いました。GMTIは、マスターカードとクレセントレーティングが毎年公表している指数で、各国がムスリム旅行者にとってどれだけ旅行しやすいかを複数の項目で評価しています。研究では、このGMTIの項目から5つを選び、MFTの指標としました。

調べた方法

研究チームは、GMTIに5年間続けて掲載された63か国を対象としました。各国の5年分のデータを合わせ、315件の観測データを分析に用いています。なお、抄録では対象期間について「2015年から2019年」と「2019年から2023年」の2通りの記載があります。

分析には「パネルデータ回帰」という統計手法が使われました。これは、複数の国を複数年にわたって追跡したデータを使い、ある指標と外国人観光客数との関係を調べる方法です。計算には統計ソフトのStata-17が用いられました。

主な結果

抄録の結果部分によると、選ばれた5つの指標のうち2つが、単独で外国人観光客数に統計的に有意な影響を示しました。1つは「安全な旅行環境」で、係数は-0.41534と報告されています。もう1つは「食事の選択肢と保証」で、係数は0.137116でした。係数のプラス・マイナスは、その指標と観光客数が同じ方向に動くか、逆の方向に動くかを表します。

一方、抄録の結論部分では、5つの指標はそれぞれ単独では外国人観光客の訪問に有意な影響を示さなかったものの、5つをまとめて見ると有意な影響があったと述べています。このように、抄録の中では結果部分と結論部分で表現が異なっています。

研究が示す意味

著者らは、今回の結果が先行研究の知見を支持するものだと述べています。先行研究では、イスラム協力機構(OIC)の加盟国において、今回選ばれた指標が観光客数に有意な影響を示していませんでした。これに対し、アジア太平洋地域の国々では、いくつかの指標が有意な影響を示していたと紹介されています。

この研究は、ムスリム旅行者への配慮を表すさまざまな指標と外国人観光客数との関係が一様ではないことを、多くの国のデータから示そうとしたものといえます。

原著論文の著者・所属:Ahmad Yunadi(Universitas Alma Ata)、Defia Ifsantin Maula(Universitas Alma Ata)、Ridho Satria Harahap(Universitas Alma Ata)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ahmad Yunadi, Defia Ifsantin Maula, Ridho Satria Harahap The The Effect of Muslim Friendly Tourism (MFT) on the Number of Foreign Tourists. LAN TABUR Jurnal Ekonomi Syariah 2026-08-13. DOI: 10.53515/lt.v8i1.188. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。