ヨーグルトは牛乳を乳酸菌で発酵させてつくる発酵乳製品で、Streptococcus thermophilusとLactobacillus bulgaricusという2種類の乳酸菌(スターター培養)が働くことで、乳糖が乳酸に変わり、タンパク質が凝固してあの独特のとろみと酸味が生まれます。発酵の過程ではアセトアルデヒドという無色の物質も生成され、これがヨーグルト特有の風味のもとになっているとされています。今回紹介する研究は、こうした基本のヨーグルトに、南国のフルーツであるパイナップル(Ananas comosus、ブロメリア科)の果肉を加えることで、風味や特徴がどう変わるかを検討したものです。

研究チームはBaba Farid Institute of Technologyに所属するArun Sharma氏とRattan Singh氏で、甘味ヨーグルトにパイナップルの果肉を配合した試作品を開発し、その評価を行いました。要旨によれば、パイナップルは水分と糖分が多く、可溶性固形分やアスコルビン酸(ビタミンC)を含む一方でクルード繊維(粗繊維)は少ないという特徴を持つ果実で、生食のほか缶詰・ジュース・ジャム・アイスクリームなど幅広い食品に利用されていると説明されています。成分としては水分約80.3%、炭水化物約18.6%、タンパク質約0.58%、脂質約0.19%のほか、銅・マグネシウム・マンガン・亜鉛・鉄などのミネラル、食物繊維約1.48%、アスコルビン酸約7.5mgが含まれるとされ、糖分についてはりんごや桃、梨、オレンジといった他の一般的な果物より多い100gあたり約12.5gという値が紹介されています。また、パイナップルに含まれるブロメリンという酵素は消化を助ける天然のデトックス作用を持つとされ、体重管理や栄養バランスの面でも役立つ可能性があると述べられています。

研究でわかったこと

この研究は、ヨーグルトが持つとされる整腸作用や免疫面での働きに着目した上で、そこにパイナップルの果肉を組み合わせることで新しい食感や風味を持つ乳製品をつくれるかを試みたものです。要旨では、ヨーグルトの摂取が消化器系の機能改善や特定の疾患リスクの低下と関連づけられてきたこと、乳酸菌の働きにより乳糖不耐症の人でも消化しやすくなる可能性があることなど、ヨーグルト全般について報告されてきた内容が背景として紹介されています。あわせて、ヨーグルトに含まれる乳酸菌が胃潰瘍の原因とされるHelicobacter pyloriのような病原菌を抑える働きを持つ可能性や、腸内および膣内の健康を保つ善玉菌(プロバイオティクス)を供給する役割についても触れられています。こうした背景を踏まえ、研究チームは果肉入り甘味ヨーグルトという組み合わせを試作・評価する形で研究を進めています。

この研究を読むうえでの注意

今回提供された要旨の範囲では、実際にどのような配合比率で試作を行い、官能評価や成分分析でどのような具体的数値が得られたかという結果部分の詳細までは明らかにされていません。あくまでヨーグルトとパイナップルそれぞれの一般的な特徴や健康面での報告を土台とした研究であり、この一つの研究結果だけで健康効果が確定したわけではない点には留意が必要です。ヨーグルトやパイナップルの摂取がもたらすとされる作用についても、あくまで先行知見として紹介されているものであり、本研究がそれらを新たに証明したという記述ではありません。

まとめ

この研究は、発酵乳製品であるヨーグルトに南国フルーツのパイナップル果肉を組み合わせることで、新しいタイプの甘味ヨーグルトを開発しようとする試みを紹介したものです。ヨーグルトとパイナップルそれぞれが持つとされる栄養的な特徴を背景に、両者を組み合わせた食品づくりの可能性を探る研究として位置づけられます。

※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。参考文献:Arun Sharma, Dr. Rattan Singh. Devlopment and Evalution of Sweet Yogurt Incorporated with Fruit Pulp (Pineapple). ゼノド(欧州原子核研究機構) (2026). DOI: 10.5281/zenodo.21963066.