著者の所属・活動拠点の国は、フィンランドです。
掲載誌:BMC Nutrition
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
セリアック病は、小麦などに含まれるたんぱく質「グルテン」に体が反応して腸などに障害が起こる病気です。研究チームによると世界の有病率は1〜3%とされ、治療として認められているのは、生涯にわたりグルテンを含まない食事(グルテンフリー食)を続けることだけです。ただし、グルテンフリー食は費用がかかり、手に入る場所が限られ、人付き合いの場面でも制約になりやすいと論文は指摘しています。
朝・昼・夕の主な食事に加えて、その合間にとる間食も、毎日の栄養に影響します。著者らによれば、間食は近年、特に若い世代で増えていますが、セリアック病の人がどのように食事や間食をとっているかについてのデータは限られていました。そこで研究チームは、グルテンフリー食を続けるセリアック病の若者と、食事制限のない若者とで、食事や間食のとり方を比べることを目的としました。
どのように調べたか
研究はフィンランドで行われました。著者らは、フィンランド・セリアック協会に所属する16〜30歳の会員と、同年代の応用科学大学と職業学校の学生に、健康と食事に関するウェブアンケートを配布しました。間食の行動を測る確立した質問票がなかったため、この研究のために質問票を作り、事前に試験調査を行って内容を調整しています。
分析の対象は、セリアック病と診断されグルテンフリー食を続けている210人と、セリアック病ではなく特別な食事制限もしていない143人です。回答者の8割は女性で、6割余りが学生でした。アンケートでは、1日の食事と間食の回数、食べる場所、どの食品をどのくらいの頻度で間食にしているか、間食を選ぶ際に何を重視するかなどを尋ねました。2つのグループは性別や就労状況、住んでいる地域の人口規模に差があったため、研究チームはこれらの違いを考慮した分析もあわせて行っています。
主な結果
セリアック病のグループは、制限のないグループより1日の食事回数が多く、平均で3.4回対3.0回でした。一方、間食の回数には差がなく、どちらのグループでも最も多かったのは1日1回でした。昼食や夕食を間食で済ませる頻度にも、目立った差は見られませんでした。なお、性別などの違いを考慮すると、食事の規則性に関する差の一部ははっきりしなくなりました。論文は、女性のほうが男性より規則的に食事をとっていたことを理由の一つに挙げています。
大きな違いが見られたのは、食べる場所でした。学校や職場の食堂で毎日昼食をとる人の割合は、セリアック病のグループでは18%で、制限のないグループの38%を下回りました。セリアック病の人は、間食を学校や職場の食堂で手に入れることも少なく、多くの人が「食料品店やカフェのグルテンフリー商品の品ぞろえは十分ではない」と感じていました。
間食の内容では、セリアック病のグループはアイスクリーム(週平均0.9回対0.3回)、食物繊維の少ないパン(1.6回対0.8回)、植物油を原料とするマーガリンなどのスプレッド(2.4回対1.2回)をより多く食べていました。反対に、砂糖入りの清涼飲料(0.6回対1.2回)、全粒粉の麺(0.0回対0.4回)、バターやその他のマーガリン(2.0回対2.8回)は少なめでした。セリアック病のグループは飲酒や喫煙も少ないと報告されています。間食を選ぶときに重視する点は、両グループとも味、持ち運びやすさ、価格が上位でした。
この研究が示すこと
著者らは、セリアック病の若者は全体として健康的な食習慣や生活習慣を保っていた一方で、グルテンフリー食に伴う制約が間食の選び方にも表れていたと結論づけています。グルテンフリー食は食物繊維が少なくなりやすいなど、栄養面の課題がすでに知られていました。今回、同じ傾向が間食にも見られたことを、研究チームは新しい知見として示しています。間食は食事全体の質に影響しうるため、食生活を評価するときには間食も含めて見る必要がある、というのが論文の主張です。
ただし、この調査は特定の学校や協会を通じて集めた回答に基づいています。回答率も低く、内容はすべて自己申告です。2つのグループの背景の違いが結果に影響した可能性もあるため、著者らは、結果をそのまま人口全体に当てはめることはできないとしています。今回の結果は食習慣の違いを示したものであり、その原因を明らかにしたものではありません。それでも研究チームは、これらの結果から、より多様で栄養に配慮した、手に入りやすいグルテンフリーの間食が求められていると述べています。
原著論文の著者・所属:Heli Pihlajamäki(Tampere Center for Child, Adolescent and Maternal Health Research Tampere University and Tampere University Hospital Arvo Building, Arvo Ylpön katu 34 33520 Tampere Finland)、Kaija Nissinen(Seinäjoki University of Applied Sciences Seinäjoki Finland)、Reija Autio(Unit of health sciences, Faculty of Social Sciences Tampere University Tampere Finland)、Laura Kivelä(Celiac Disease Research Center Tampere University Tampere Finland)、Sanna Arnala(The Finnish Coeliac Society Tampere Finland)、Pilvi Laurikka(Celiac Disease Research Center Tampere University Tampere Finland)、Katri Kaukinen(Celiac Disease Research Center Tampere University Tampere Finland)、Kalle Kurppa(Tampere Center for Child, Adolescent and Maternal Health Research Tampere University and Tampere University Hospital Arvo Building, Arvo Ylpön katu 34 33520 Tampere Finland)、Linnea Aitokari(Tampere Center for Child, Adolescent and Maternal Health Research Tampere University and Tampere University Hospital Arvo Building, Arvo Ylpön katu 34 33520 Tampere Finland)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Heli Pihlajamäki, Kaija Nissinen, Reija Autio, et al. Meal frequency and snacking patterns among adolescents and young adults without any food restrictions or with celiac disease and following a gluten-free diet. BMC Nutrition 2026-10-27. DOI: 10.1186/s40795-026-01534-7. 原著ライセンス:CC BY.