この研究は、トルコの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Frontiers in Pediatrics

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

セリアック病は、小麦などに含まれるたんぱく質「グルテン」に免疫が反応し、小腸に炎症が起きる病気です。治療の基本はグルテンを厳格に除いた食事(グルテンフリー食)を続けることですが、著者らは、この食事を守り続けること自体が患者にとって難しい課題であり続けていると述べています。

研究チームは、新型コロナウイルス感染症の流行が、子どものセリアック病患者のグルテンフリー食の遵守状況や、身長・体重といった身体計測値とどう関係していたのかを調べることを目的としました。

調べ方

対象となったのは、流行が始まる前から少なくとも1年間グルテンフリー食を続けていた小児患者81人です。女性が67.9%を占め、平均年齢は14.9歳(標準偏差3.4歳)でした。2020年3月の流行開始時点で、グルテンフリー食を続けてきた期間は平均3.9年(標準偏差2.4年)でした。

著者らは、流行前・行動制限期・流行後の3つの時期について、診療記録から人口統計、臨床、検査、身体計測のデータを集めました。あわせて、電話による構造化した聞き取り調査で食事の遵守状況を尋ねています。本人の申告による遵守は、グルテンを完全に避けているか、意図しない摂取が年に6回未満である場合と定義されました。もう一つの指標として、血液検査のtTG-IgA(セリアック病でグルテン摂取に伴い上昇する抗体)が陰性であることを、血清学的な遵守と定義しています。

報告された主な結果

調査時点での自己申告による遵守は67.9%(81人中55人)、血清学的な遵守は77.1%(70人中54人)でした。流行期間中の変化については、49.4%が食事の守り方に変化はなかったと答え、33.3%がより守るようになった、17.3%が守れなくなったと回答しています。

血清学的な遵守は3つの時期の間で有意に異なっていました(Cochran's Q = 31.818、p < 0.001)。流行前は51.9%(81人中42人)でしたが、行動制限期は82.7%(81人中67人)、流行後は76.5%(81人中62人)と、いずれも流行前より有意に高いと報告されています(それぞれMcNemar検定でp < 0.001)。一方、行動制限期と流行後の間には有意な差は見られませんでした(p = 0.227)。

著者らは、血清学的な遵守が家庭での調理や、一部の家族要因・社会経済的要因と関連していたと報告しています。また、参加者の87.7%がグルテンフリー食品を手に入れにくいと答えており、その主な理由は価格の高さと種類の少なさでした。身体計測値については、調査した各時期の間に有意な差は認められませんでした。

この報告が示すこと

著者らの結論は、血清学的に見た食事の遵守は、行動制限期と流行後のいずれにおいても流行前より有意に高かった一方で、身体計測値には有意な変化が見られなかった、というものです。

家庭で過ごし自分で調理する時間が増えるような生活の変化が、食事療法の続けやすさと結びついて観察されたことを示す報告といえます。同時に、大多数の患者が費用と品ぞろえの面でグルテンフリー食品の入手に困難を感じていたことも、この研究から浮かび上がっています。

著者:Yağmur Erkol Yilmaz(Department of Pediatrics, School of Medicine, Ankara University)、Ceyda Tuna Kırşaçlıoğlu(Department of Pediatrics, Division of Gastroenterology, Hepatology and Nutrition, School of Medicine, Ankara University)、Aydan Kansu(Department of Pediatrics, Division of Gastroenterology, Hepatology and Nutrition, School of Medicine, Ankara University)、Arzu Ensari(Department of Pathology, School of Medicine, Ankara University)、Zarife Kuloğlu(Department of Pediatrics, Division of Gastroenterology, Hepatology and Nutrition, School of Medicine, Ankara University)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Yağmur Erkol Yilmaz, Ceyda Tuna Kırşaçlıoğlu, Aydan Kansu, et al. Changes in gluten-free diet adherence and growth parameters among children with celiac disease during the COVID-19 pandemic. Frontiers in Pediatrics 2026-09-18. DOI: 10.3389/fped.2026.1923034. 原著ライセンス:CC BY.