掲載誌:Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research)
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
子どもの過体重と肥満は重要な公衆衛生上の課題であり、ファストフードを頻繁に食べるといった食行動が体重の増えすぎに関わっている可能性が指摘されています。研究チームは、イラク・ニネヴェ県モスルのアル・シムーク中等学校に通う学齢期の子どもを対象に、ファストフードの摂取と過体重・肥満との関連を調べることを目的としました。
あわせて、ファストフードを食べる頻度やその内容、過体重・肥満がどのくらいの割合で見られるか、さらに加糖飲料の摂取、身体活動、スクリーンタイムといった食習慣・生活習慣の要素と過体重・肥満との関係も確認することを目標に掲げています。
調べ方
著者らは、同校の学齢期の子ども191人を対象に横断研究を行いました。横断研究とは、ある一時点の状態をまとめて調べる方法で、時間を追って変化を追跡するものではありません。調査期間は2025年11月から2026年4月までで、ニネヴェ県保健局の監督のもとで実施されました。
社会人口学的な背景、ファストフードの摂取状況、食習慣、生活習慣については、あらかじめ項目を決めた質問票を用いて情報を集めました。体重と身長は実際に測定し、そこからBMI(体格指数)を算出して、年齢と性別ごとの基準に照らして判定しています。解析には統計ソフトSPSSを用い、P値0.05未満を統計的に意味のある差とみなしました。
報告された主な結果
論文の報告によれば、週に3〜4回ファストフードを食べる子どもは59人(30.9%)、週5回以上は29人(15.2%)でした。最もよく挙げられたファストフードはピザで、参加者の128人(67.0%)が食べていたとされています。
体格については、43人(22.5%)が過体重、30人(15.7%)が肥満と判定され、合わせた過体重・肥満の割合は38.2%でした。ファストフードの摂取頻度別に見ると、週1回未満の子どもでは過体重・肥満が19.4%だったのに対し、週5回以上の子どもでは69.0%にのぼり、その差は統計的に意味のあるものでした(P<0.001)。
このほか、加糖飲料を毎日飲むこと、および1日の身体活動が60分未満であることも、過体重・肥満と統計的に意味のある関連を示したと報告されています(それぞれP=0.006、P=0.004)。複数の要因を同時に考慮した多変量解析でも、週3回以上のファストフード摂取は過体重・肥満と関連が残りました(調整オッズ比2.41、95%信頼区間1.34〜4.33、P=0.003)。オッズ比は、ある条件のもとでその状態が見られやすさを比べた指標で、1より大きいほど関連が強いことを示します。
この報告が示すこと
著者らは、今回調べた学齢期の子どもたちにおいて、ファストフードを頻繁に食べることが過体重・肥満と有意に関連していたと結論づけています。そのうえで、健康的な食習慣を広め、ファストフードや加糖飲料を頻繁にとることを減らし、定期的な身体活動を促すことが、子どもの過体重・肥満の予防に寄与しうると述べています。
ただしこの研究は一時点の状況を調べた横断研究であり、ファストフードが体重増加を引き起こしたという因果関係を示したものではありません。一つの学校の191人という限られた集団を対象にした報告であることを踏まえつつ、子どもの日々の食事と体の状態がどう結びついているかを具体的な数値で描き出した点に、この研究の意味があります。
著者:Dr. Raad Jassim Noori2 Dr. Ban Nozat Fathi1*
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Dr. Raad Jassim Noori2 Dr. Ban Nozat Fathi1*. ASSOCIATION BETWEEN FAST-FOOD CONSUMPTION AND OVERWEIGHT/OBESITY AMONG SCHOOL-AGED CHILDREN. Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research) 2026-10-01. DOI: 10.5281/zenodo.23030961. 原著ライセンス:CC BY.