掲載誌:Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research)

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

肥満は糖尿病や高血圧、心臓や血管の病気、一部のがんなど、感染しない慢性の病気の負担を大きくする要因として、世界的な公衆衛生の課題とされています。食習慣は栄養状態や健康に深く関わり、肉や魚を食べない菜食と、それらも食べる非菜食とでは、カロリーの密度や脂肪、食物繊維、栄養素の構成が異なることが多いと考えられています。

研究チームは、インド・ベラガヴィの医科大学が地域活動の対象としているカドリ村の30〜50歳の住民を対象に、肥満の程度と食事の型との関係を調べました。肥満の判定にはBMIを用いています。BMIは体重(kg)を身長(m)の2乗で割った値で、身長に対する体重の重さを示す簡便な指標です。著者らは、肥満の中でも比較的軽い段階の「クラスI」と、それより進んだ段階の「クラスII」の人がどのくらいいるかを把握し、菜食か非菜食かによってその割合に違いがあるかを確かめることを目的としました。

調べ方

研究は、ある時点の状態を一度に調べる横断研究として、1年間かけて行われました。対象者は、参加に同意したカドリ村の30〜50歳の男女で、研究の条件に合う人を研究者が選ぶ方法で集められました。生活習慣病やほかの臓器の病気を持つ人は除かれています。最終的に、肥満クラスIまたはクラスIIに当たる62人が参加しました。つまり、この研究の参加者は全員が肥満の人で、その中で程度の違いを比べる設計になっています。

62人のうち35人が菜食、27人が肉や魚も食べる混合食(非菜食)でした。参加者のBMIは30.1から39.8の範囲で、平均は約34.9でした。研究チームは、食事の型と肥満クラスの関係、また二つの食事グループの間でBMIの分布に違いがあるかを、統計的な検定で調べました。BMIの値が左右対称の典型的な分布にならなかったため、そうした前提を必要としない検定方法が使われています。

主な結果

参加者62人のうち、肥満クラスIは33人(53.2%)、クラスIIは29人(46.8%)でした。年齢別では41〜50歳が49人(79.0%)と大半を占め、男性が39人(62.9%)と多数でした。年齢、性別、職業の構成は、菜食グループと混合食グループの間で統計的に意味のある差はなく、どちらのグループでも農業従事者が最も多くなっていました。

食事の型ごとに見ると、クラスIIの人の割合は菜食グループで51.4%、混合食グループで40.7%と、菜食グループのほうがやや高い結果でした。しかし統計的な検定では、この違いは偶然の範囲を超えるものとは言えず、食事の型と肥満クラスの間に有意な関連は認められませんでした。BMIの値そのものを両グループで比べた場合も、意味のある差は見られませんでした。

これらの結果から著者らは、この村の30〜50歳の対象者では、菜食か非菜食かという食事の型だけでは、BMIに基づく肥満クラスIとクラスIIの割合に有意な関連は見られなかったと結論づけています。

結果が示すこと

著者らは、肥満は総エネルギー摂取量、身体活動、遺伝的な体質、社会経済的な状況、睡眠、ストレスなど多くの要因が関わる状態だと述べています。そのうえで、菜食か非菜食かという区分だけで肥満の程度が決まるわけではなく、食べる量や質、食事全体の習慣のほうが大きく影響している可能性があると考察しています。どちらの食事でも、何をどれだけ食べるかによって健康的にも不健康にもなりうるという見方です。

一方で、この研究は一時点の状態を調べたもので、原因と結果の関係は確かめられません。長期的な食習慣や体重の変化も評価していません。また、BMIは体脂肪と筋肉を区別できないこと、対象が一つの村の限られた条件の人々であることも、著者らが限界として挙げています。この研究は、食事の型という単純な区分だけでは肥満の程度の違いを説明しきれなかったという、一つの地域での観察結果を示しています。

原著論文の著者・所属:Dr Laxmi Rachanagouda Patil(Department of Practice of Medicine, A M Shaikh Homoeopathic Medical College, Hospital And PG Research Centre, Belagavi.)、Dr. Susmeet S. V.(Community Medicine Department, A M Shaikh Homoeopathic Medical College, Hospital And PG Research Centre, Belagavi.)、Dr. Sushmita Mudenur(Department of Practice of Medicine, A M Shaikh Homoeopathic Medical College, Hospital And PG Research Centre, Belagavi.)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Dr Laxmi Rachanagouda Patil, Dr. Susmeet S. V., Dr. Sushmita Mudenur. A CROSS SECTIONAL ASSESSMENT OF OBESITY CLASS I AND II USING BMI AMONG VEGETARIAN AND NON VEGATARIAN AGED 30-50 YEARS OF KADOLI POPULATION. Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research) 2026-10-27. DOI: 10.5281/zenodo.23684107. 原著ライセンス:CC BY.