著者の所属・活動拠点の国は、ウガンダです。
掲載誌:Food Science & Nutrition
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
熟す前の緑色のバナナは、消化されにくいでんぷんである「難消化性でんぷん(レジスタントスターチ)」や食物繊維を含む素材として知られています。研究チームは、収穫期に達した未熟な緑色の生バナナを、パンなどの焼き菓子・パン類にこれらの成分を加える素材として使えるかを確かめようとしました。
そこで著者らは、小麦粉の一部をさまざまな形のバナナに置き換えたとき、パン生地の性質(レオロジー=生地の伸びや硬さなどの物理的なふるまい)、パンの物理・化学的な性質、そして味や香りなどの官能評価がどう変わるかを調べました。
何を調べたか
研究には、N23という交雑品種のバナナが用いられました。バナナは、皮ごとの生果実、生の果肉、皮ごとの果実を粉にしたもの、果肉を粉にしたもの、という四つの形で試されました。
パンは、小麦粉とバナナを重量比70対30で組み合わせた配合(小麦粉210グラム、バナナ90グラム)でつくられ、砂糖、イースト、塩、水が加えられました。比較のための対照として、小麦粉300グラムだけを使ったパンも用意されました。
主な結果
生地の測定では、生のバナナや粉末のバナナを加えると、生地が最も硬い状態(最大コンシステンシー)に達するまでの時間が有意に長くなり、変形に対する抵抗の最大値(PrMax)は低下したと報告されています。一方で、コンシストグラフという測定機器で得られる特性や吸水量には有意な影響が見られなかったとされています。
焼き上がったパンでは、小麦粉だけの対照パンが、焼成による重量の減少が最も少なく、重さあたりの体積(比容積)が最も大きいという結果でした。バナナを30%加えたパンは、対照に比べて外皮と内部の焼き色がいずれも有意に濃くなりました。
成分については、バナナの置き換え水準が高まるにつれて、難消化性でんぷん、食物繊維、水分の含有量が増えたと報告されています。
官能評価では、バナナを加えるとパンの風味と味の評価が下がりましたが、全体的な好ましさ(総合的な受容性)の平均点は中程度だったとされています。
研究から伝わること
著者らは、パンづくりにおいて生のバナナまたはバナナ粉を30%の置き換え水準まで加えても、品質や消費者の受け入れやすさへの影響は中程度にとどまると結論づけています。未熟な緑色バナナを、生のままでも粉にしても小麦粉の一部に置き換える素材として使える可能性を、生地の性質、パンの品質、味の評価の面から示した研究といえます。
原著論文の著者・所属:Ediriisa Mugampoza(Department of Food Science and Technology, Faculty of Science Kyambogo University Kyambogo Uganda)、Norah Nankya(Department of Food Science and Technology, Faculty of Science Kyambogo University Kyambogo Uganda; Uganda National Bureau of Standards Kampala Uganda)、Arthur Tabula(Department of Food Science and Technology, Faculty of Science Kyambogo University Kyambogo Uganda; Uganda National Bureau of Standards Kampala Uganda)、Martin Mutambuka(Department of Food Science and Technology, Faculty of Science Kyambogo University Kyambogo Uganda)、Khadijah Nakyinsige(Department of Food Science and Technology, Faculty of Science Kyambogo University Kyambogo Uganda)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ediriisa Mugampoza, Norah Nankya, Arthur Tabula, et al. Dough Rheology, Physico‐Chemical, and Sensory Properties of Bread From Wheat/Fresh Green Mature Banana Puree Composite. Food Science & Nutrition 2026-10-01. DOI: 10.1002/fsn3.72489. 原著ライセンス:CC BY.