著者の所属・活動拠点の国は、イタリアです。
掲載誌:Journal of Pediatric Nursing
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
赤ちゃんが母乳やミルク以外の食べ物を食べ始める離乳期(補完食の時期)には、「応答的な食べさせ方(レスポンシブ・フィーディング)」が大切だとされています。これは、子どものおなかがすいた、もう満足したといったサインに大人が気づき、それに合わせて食事を進める関わり方です。著者らによると、子どもが自分で食べようとする意欲や、自分で食べる量を調整する力、健康的な食習慣を支える可能性があります。
一方で、保護者は子どもの食欲や成長、食べ物を嫌がること、自分で食べさせることについて迷いを抱えやすく、生活上・文化的・社会的な事情から日常で実践しにくい場合もあります。そこで研究チームは、離乳期の応答的な食べさせ方に関する親への教育について、これまでにどのような知見があるかを整理し、子どもと家族を支える看護への示唆を考えることを目的としました。
どのように調べたか
研究チームは「スコーピングレビュー」という手法を用いました。これは、あるテーマについて既存の研究や資料を幅広く集め、何がどこまで分かっているかを見渡すように整理する方法です。手順はジョアンナ・ブリッグス研究所の方法論に沿い、報告はPRISMA-ScRという指針に従ったと抄録に記されています。
4つの文献データベースを、各データベースの収録開始時点から2026年1月まで検索しました。対象としたのは、乳幼児の親や養育者における応答的な食べさせ方を扱い、教育の方法、食べさせ方の実践、実施を左右する要因、関連する成果のいずれかを報告している資料です。集めた情報は項目ごとに整理し、文章で統合しました。
主な結果
最終的に14件の資料が対象となりました。親向け教育の中心的な内容として、空腹と満腹のサインを見分けること、子どもが自分で食べることや年齢に応じた自主性を支えること、食事の時間や流れを習慣として整えること、無理に食べさせたり食べ物をごほうびに使ったりすることを減らすこと、気が散るものの少ない前向きな食卓をつくることが挙げられました。
対象資料で報告された成果としては、子どもが自分で食べる行動の向上、保護者が子どもの食べ方を過度にコントロールする関わりの減少、より一定した食事の習慣、より健康的な食事の傾向がありました。
また、こうした食べさせ方の実践には、食料が十分に手に入らない状況、保護者の負担の大きさ、子どもの成長への心配、食べ物が無駄になることへの懸念、家族内の慣習、食べさせ方について食い違う助言といった要因が影響していたと報告されています。
研究が示す意味
著者らは、応答的な食べさせ方の教育は情報を伝えるだけにとどまらず、親子の関係を重視し、文化や家庭の事情に配慮した支援へと広げるべきだと論じています。そして、子どもと家族に関わる看護の場は、離乳期の食べさせ方について先回りして助言できる機会でありながら、まだ十分に活かされていない可能性があると結論づけました。食事の知識だけでなく、家庭ごとの悩みや状況に寄り添うことの重要性を示した整理といえます。
原著論文の著者・所属:Cristina Lumia(University of Milano-Bicocca, School of Medicine and Surgery, Monza, Italy. Electronic address: [email protected])、Francesca Brivio(University of Milano-Bicocca, School of Medicine and Surgery, Monza, Italy)、Marzia Serafini(Fondazione IRCCS San Gerardo dei Tintori, Monza, Italy)、Simona Fumagalli(University of Milano-Bicocca, School of Medicine and Surgery, Monza, Italy; Fondazione IRCCS San Gerardo dei Tintori, Monza, Italy)、Antonella Nespoli(University of Milano-Bicocca, School of Medicine and Surgery, Monza, Italy; Fondazione IRCCS San Gerardo dei Tintori, Monza, Italy)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Cristina Lumia, Francesca Brivio, Marzia Serafini, et al. Parent education for responsive feeding during complementary feeding: a scoping review of intervention components, implementation barriers, and implications for child and family nursing. Journal of Pediatric Nursing 2026-10-01. DOI: 10.1016/j.pedn.2026.10.019. 原著ライセンス:CC BY.