著者の所属・活動拠点の国は、ブラジルです。

掲載誌:Journal of School Health

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

学校で子どもたちが実際に料理をする「調理実習型」の取り組みは、健康的な食習慣を育てる方法として行われてきました。しかし研究チームによると、こうした取り組みがどのように実施され、教育の面で何をもたらしているのかについての知見は、ばらばらに散らばった状態にありました。

そこで著者らは、学校に通う子どもや青少年を対象とした調理実習型の取り組みを「食の教育の方法」として捉え、これまでの研究の全体像を地図のように整理することを目指しました。

どのように調べたか

研究チームは「スコーピングレビュー」という方法を用いました。これは、あるテーマについてどのような研究が、どのような形で行われてきたかを幅広く集め、全体の傾向を把握するための文献調査です。手順は、ジョアンナ・ブリッグス研究所が示すガイドラインに沿って進められました。

2024年10月に、医学・教育分野の複数の文献データベースに加え、学術誌以外の報告書などの「灰色文献」も対象として検索が行われました。発表年による絞り込みは行っていません。研究の選定、情報の抽出、取り組みの分類は、2人の評価者がそれぞれ独立して行いました。

主な結果

条件を満たした研究は55件でした。抄録によると、これらはすべて高所得国で行われたもので、多くは数値データを用いる量的研究でした(43件、78.2%)。

取り組みの対象は主に小学生で(47件、85.5%)、学校の教育課程に組み込まれた形で実施されたものが半数近くを占めました(26件、47.3%)。また、多くの研究が食に対する態度や意識、気持ちの面といった心理社会的な成果に重点を置いていました(48件、87.3%)。

実施の中心を担ったのは主に教員でした(45件、81.8%)。一方で、教育、調理・食文化(ガストロノミー)、栄養の専門家がそろった多職種のチームで取り組んだ研究は、わずか3件(5.5%)にとどまっていました。

この研究が示すこと

著者らは、学校での調理実習型の取り組みは、食と栄養についての総合的な教育を後押しするものだと結論づけています。そのうえで、対象となった研究がすべて高所得国のものだったことや、多職種の連携がまれだったことを踏まえ、公平性(エクイティ)へのより幅広い配慮と、多職種の協働にもっと目を向ける必要があると指摘しています。

この研究は、学校での調理を通じた食育がどのような形で行われてきたかを整理し、どの点に偏りや空白があるのかを浮かび上がらせたものといえます。

原著論文の著者・所属:Bruno Bastos Ribeiro da Silva(Department of Gastronomy Josué de Castro Nutrition Institute, Federal University of Rio de Janeiro Rio de Janeiro Brazil)、Luís Phillipe Nagem Lopes(Institute of Social Medicine State University of Rio de Janeiro Rio de Janeiro Brazil)、Joice Soltosky Cunha(State University of Rio de Janeiro Rio de Janeiro Brazil)、Letícia Ferreira Tavares(Department of Gastronomy Josué de Castro Nutrition Institute, Federal University of Rio de Janeiro Rio de Janeiro Brazil)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Bruno Bastos Ribeiro da Silva, Luís Phillipe Nagem Lopes, Joice Soltosky Cunha, et al. Scoping Review of Culinary Interventions in Schools: Mapping Practices to Promote Food Education and Equity. Journal of School Health 2026-10-01. DOI: 10.1111/josh.70243. 原著ライセンス:CC BY.