著者の所属・活動拠点の国は、メキシコ、チリ、アメリカです。
掲載誌:Preprints.org
ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: Crossref
栄養成分だけでは説明しきれない疑問
世界的に超加工食品の消費が増えており、同時に肥満、2型糖尿病、心血管疾患、腎臓病など、心臓や代謝に関わる病気も増えています。超加工食品とは、工業的な加工を何段階も経て作られる食品のことです。その健康への影響は、これまで脂質や糖、塩分などの栄養成分の面から論じられることが多くありました。
この総説の著者らは、栄養成分とは別の要素に注目しています。超加工食品の特徴の一つである工業的な加熱処理です。加熱によって食品中にできる物質が、超加工食品の代謝や毒性への影響に大きく関わっているのではないか。著者らはこの仮説を、既存の研究をまとめて評価しています。
注目された物質と体内での働き
中心となる物質は「終末糖化産物(AGEs)」です。AGEsは、糖とたんぱく質などが加熱によって結びついてできる物質の総称です。あわせて、加熱で生じる「食品の新規汚染物質」も取り上げています。具体的には、アクリルアミド、フラン、5-ヒドロキシメチルフルフラール、ヘテロサイクリックアミン、多環芳香族炭化水素、3-MCPD(3-モノクロロプロパン-1,2-ジオール)、グリシドールです。
著者らの整理によれば、これらの物質は食品中でできた後、消化管から一部が吸収され、全身に作用する可能性があります。想定される作用は次のとおりです。たんぱく質同士を不自然に結びつける「架橋」、酸化ストレス、炎症、血管の内側を覆う細胞の機能低下です。さらに、AGEsを受け取る受容体(RAGE)が活性化されることも挙げられています。こうした作用を通じて、組織が傷つくおそれがあるとしています。
高温で生じる新規汚染物質のいくつかは、発がん性や、肝臓・神経・生殖への毒性と関連づけられています。また新しい知見として、インスリン抵抗性(インスリンが効きにくくなる状態)、脂肪細胞の形成、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞の機能低下、心血管リスクとの関わりを示す証拠も出てきていると紹介されています。
総説が示す結論と、その意味
著者らは全体として、加熱処理、AGEsや新規汚染物質の摂取量、心臓や代謝の病気の三つの間に、生物学的に筋の通ったつながりがあると結論づけています。ただし、裏づけとなる証拠の強さは物質によって異なると述べています。
この関係の程度を明らかにするには、まだ多くの課題があります。著者らが挙げているのは、摂取量のより正確な把握、分析方法の標準化、作用の仕組みを調べる研究、介入試験です。これらを通じて、摂取量と影響の関係を定めることが求められています。そのうえで、食品の配合の見直しや、低温で水分の多い調理法が、食品の安全性や食べやすさを保ちながらリスクを下げられるかを確かめる必要があるとしています。
この総説が伝えているのは、超加工食品の健康影響を考えるには、何が含まれているかだけでなく、どのように加熱・加工されたかも検討すべきだという視点です。
原著論文の著者・所属:Ma. Eugenia Garay-Sevilla、Franco Pedreschi、Jaime Uribarri
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ma. Eugenia Garay-Sevilla, Franco Pedreschi, Jaime Uribarri. Beyond Nutrient Composition: AGEs and Food Neo-Contaminants in Ultra-Processed Food Toxicity. Preprints.org 2026-09-24. DOI: 10.20944/preprints202609.2163.v1. 原著ライセンス:CC BY.