著者の所属・活動拠点の国は、アメリカ、ブラジルです。

掲載誌:Sustainable Food Proteins

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

粉末にするまでの加工が性質にどう影響するか

研究チームは、黒豆のたんぱく質を酵素で分解して得た粉末について、製造工程がたんぱく質の性質や生理活性にどう影響するかを調べました。豆類のたんぱく質分解物の生理活性は広く研究されていますが、粉から最終製品に至る加工工程全体の影響は十分に調べられていないことが背景にあります。

著者らは、酵素を利用して黒豆からたんぱく質を抽出し、蒸気を直接吹き込む方法で加熱した後、噴霧乾燥して粉末を作りました。加熱条件は130℃で15秒と145℃で4秒の2種類です。これらを、加熱せずに凍結乾燥した対照試料と比較しました。

構造は変化しても、溶けやすさは同程度

2種類の加熱条件で作った粉末は、構造や物理・化学的な性質が全体として似ていました。対照試料との比較では、たんぱく質の立体構造が変わる「変性」や、分子同士が集まる「凝集」を示す変化が認められました。

それでも、たんぱく質が溶ける割合は同程度で、酸性のpH4では50~51%、中性のpH7では86~94%でした。著者らは、中性条件では凝集したたんぱく質も溶けたと説明しています。また、試験管内で評価したたんぱく質の消化率は、対照試料の51%に対し、130℃条件で81%、145℃条件で83%と、有意に高い値でした。これは人が食べた場合の消化率を直接測った結果ではありません。

多くの活性は保たれたが、高温条件で低下したものも

直接蒸気加熱と噴霧乾燥を経ても、総フェノール含量や抗酸化活性、糖を分解する酵素であるα-グルコシダーゼを阻害する活性は、おおむね保たれていました。一方、血圧調節に関わる酵素ACEを阻害する活性は、130℃条件と対照試料の89~93%に対し、145℃条件では70%に低下しました。著者らは、高い加工温度によって、関連するペプチドが分解されたり、元に戻らない形で凝集したりした可能性を挙げています。

この研究は、黒豆由来のたんぱく質分解物を加熱・乾燥しても、多くの性質や試験で測った活性が保たれる一方、加工条件によって失われやすい活性もあることを示しています。これらの活性の測定結果は、そのまま人での健康効果を示すものではありません。

原著論文の著者・所属:Jasmin S. Yang(Department of Food Science and Technology University of California, Davis Davis California USA)、Mayara Kuasnei(Department of Chemical Engineering and Food Engineering Federal University of Santa Catarina Florianópolis Brazil; Department of Food Science and Technology University of California, Davis Davis California USA)、Tássia B. Pessato(Department of Food Science and Technology University of California, Davis Davis California USA)、Juliana M. L. N. de Moura Bell(Department of Biological and Agricultural Engineering University of California, Davis Davis California USA; Department of Food Science and Technology University of California, Davis Davis California USA)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Jasmin S. Yang, Mayara Kuasnei, Tássia B. Pessato, et al. Effects of Direct Steam Injection Conditions on the Physicochemical and Bioactive Properties of Enzymatically Extracted Black Bean Proteins. Sustainable Food Proteins 2026-09-01. DOI: 10.1002/sfp2.70084. 原著ライセンス:CC BY.