この研究は、バングラデシュの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Food Science & Nutrition

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的:カットマンゴーを傷みにくくする天然の膜

マンゴーは栄養が豊富な果物ですが、皮をむいて切った状態のマンゴーは水分が多く、微生物による腐敗や品質の劣化が早く進みます。研究チームは、果物の表面を薄く覆う「可食性コーティング(食べられる膜)」として、アロエベラのゲルと蜂蜜に着目しました。

アロエベラと蜂蜜は、それぞれ果物の保存に役立つ性質があると報告されてきました。しかし著者らによると、両者を組み合わせたときにカットマンゴーの品質保持にどう影響するかは十分に調べられていませんでした。そこで研究チームは、蜂蜜を加えるとアロエベラの膜の働きが高まるのか、それとも蜂蜜の水分を引き寄せやすい性質や糖分のために、かえって膜の働きが弱まるのかを確かめることを目的としました。

何を調べたか:6つの条件で20日間の冷蔵保存

研究チームは、バングラデシュの地元品種の完熟マンゴーを約2センチ角に切り、コーティング液に2分間浸してから乾かしました。条件は、コーティングなし、アロエベラのみ、蜂蜜のみ、そしてアロエベラと蜂蜜を75対25、50対50、25対75で混ぜたものの計6通りです。コーティング液には、膜を作りやすくするための成分も加えられました。

処理したマンゴーはポリエチレンの袋に入れ、湿度85%の冷蔵条件で20日間保存し、5日ごとに調べました。測定したのは、重さの減少から求めた水分の失われ方、果肉の硬さ、糖度(溶けている固形分の量)と酸味、ビタミンC、ポリフェノールやフラボノイドといった抗酸化物質の量、色、微生物の数、見た目による傷みの程度などです。なお、訓練された評価者による味や香りの好ましさの評価は行われていません。

主な結果:アロエベラ単独の膜が水分とビタミンCの保持で優れていた

20日目の水分の減少率は、コーティングなしのマンゴーで約27.8%だったのに対し、アロエベラのみで覆ったマンゴーでは約14.3%と、すべての条件の中で最も低くなりました。硬さについても、コーティングしたマンゴーはしていないものより硬さを保ち、特にアロエベラのみと、アロエベラ75%・蜂蜜25%の組み合わせが良好だったと報告されています。

ビタミンCは保存中に減少しましたが、その減り方には差がありました。もとのマンゴーのビタミンCは100グラムあたり31.30ミリグラムで、20日目までの減少量はコーティングなしで約23.8ミリグラム、アロエベラのみでは7.91ミリグラムにとどまりました。

一方、ポリフェノールとフラボノイドの減少は、コーティングなしで約52%と最も大きく、蜂蜜のみのコーティングで約23%と最も小さくなりました。また、糖度と酸味の比率は、コーティングしたマンゴーの方が保存期間を通じて高く、著者らはこれを甘さと酸味のバランスが保たれたことを示すものと解釈しています。

この研究が示すこと

水分の保持では、アロエベラ単独の膜が蜂蜜を混ぜたどの組み合わせよりも優れていました。著者らは、蜂蜜の水分を引き寄せやすい性質や糖分がアロエベラの膜の構造を弱めた可能性を考えており、蜂蜜を加えてもアロエベラの膜の働きは相乗的に高まらず、むしろ薄められたように見えると述べています。

有益な成分を多く加えれば保存性がよくなるとは限らないこと、そして天然素材のコーティングでは組み合わせ方や果物の種類によって効果が変わりうることを、この研究は示しています。

著者:Tupura Khatun(Department of Mathematics, Chittagong College National University Chittagong Bangladesh)、Md. Asaduzzaman(Department of Food Engineering and Nutrition Science State University of Bangladesh Dhaka Bangladesh)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Tupura Khatun, Md. Asaduzzaman. Aloe vera –Honey Edible Coating Prolongs Shelf Life and Preserves Quality of Refrigerated Fresh‐Cut Mango ( Mangifera indica ). Food Science & Nutrition 2026-10-01. DOI: 10.1002/fsn3.72447. 原著ライセンス:CC BY.