著者の所属・活動拠点の国は、台湾です。
掲載誌:Processes
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究のねらい
研究チームは、生の殻付き落花生の乾燥と焙煎を、一つの連続した処理で行えるかを調べました。
用いたのは「熱風併用高周波(HARF)加熱」という方法です。高周波加熱は、電極の間に置いた食品に電磁波を当て、食品そのものを発熱させる技術です。これに熱風を組み合わせ、生の殻付き落花生を短時間で乾燥・焙煎することを試みました。なお、ここで紹介するのは論文の抄録に記された内容です。
調べた方法
研究チームは、出力10キロワット、周波数40.68メガヘルツの装置に100℃の熱風を組み合わせて実験しました。試料の量や電極の間隔を変え、推定される高周波の出力がどう変わるかを調べています。その結果、出力は試料の量が多いほど大きくなり、電極の間隔を広げるとわずかに小さくなったと報告しています。
乾燥・焙煎の試験では、水分42%(湿量基準、つまり落花生全体の重さに占める水の割合)の生の殻付き落花生1キログラムを、電極間隔17センチで処理しました。比較対象として45℃の冷風で乾燥させる方法も取り上げ、乾燥の速さやエネルギー消費量を比べています。
主な結果
論文によると、落花生は17分で水分10%未満まで乾燥しました。さらに1分加熱を続けると焙煎された状態になり、実(種子)の水分は3.69%、水分活性は0.35でした。水分活性は、食品中の水が微生物などに利用されやすいかを示す指標です。このときの温度はそれぞれ約120℃と約136℃でしたが、これは落花生を積み重ねた層の温度であり、実そのものの温度ではないと著者らは注記しています。
水分は時間とともにほぼ直線的に減っており、乾燥の速さがほぼ一定だったことがうかがえるとしています。45℃の冷風乾燥と比べると、乾燥速度は毎分0.81グラムから19.31グラムへと約23.8倍になり、乾燥時間は95%短縮されました。比エネルギー消費量も、1キログラムあたり21.29キロワット時から2.18キロワット時へと約90%減りましたが、これは実験室規模での結果です。
品質面では、焙煎によって実の色が濃くなり、硬さが下がって砕けやすくなりました。一般生菌数とカビ・酵母数は、約100万個毎グラムから、処理直後には検出限界(1グラムあたり10個)未満に下がりました。カビ毒の一種であるアフラトキシンは、原料を含むすべての試料で検出されませんでした。また、真空包装して37℃で20日間保存する加速試験の間、油の劣化の目安となる酸価と過酸化物価は低いままだったと報告されています。
この研究が示すこと
研究チームは、熱風併用の高周波加熱が、生の殻付き落花生を短時間で乾燥から焙煎まで仕上げる有望な方法だとまとめています。一方で、熱風だけで処理した場合との比較、実そのものの温度の測定、規模を大きくしたときの検証は今後検討すべき課題として挙げています。今回の結果は、実験室規模で、一つの工程による乾燥と焙煎の可能性を示したものといえます。
原著論文の著者・所属:Zi-Jun Lin(Department of Food Science, National Ilan University, No. 1, Section 1, Shen-Nung Road, Yilan City 260007, Taiwan)、Su-Der Chen(Department of Food Science, National Ilan University, No. 1, Section 1, Shen-Nung Road, Yilan City 260007, Taiwan)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Zi-Jun Lin, Su-Der Chen. Hot Air-Assisted Radio Frequency Heating for Rapid Drying and Roasting of Fresh In-Shell Peanuts. Processes 2026-10-27. DOI: 10.3390/pr14213442. 原著ライセンス:CC BY.