著者の所属・活動拠点の国は、ブラジルです。

掲載誌:Agrociencia Uruguay

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

研究チームは、ブラジル北東部の半乾燥地域で、乾燥期と雨期の気象条件の違いが、メロンの葉で育つタバココナジラミの発育期間と生存にどう関わるかを調べました。対象は、さまざまな作物の害虫となるタバココナジラミのMEAM1と呼ばれる系統です。

タバココナジラミは、メロンの汁を吸ったりウイルスを媒介したりして被害をもたらします。しかし、この地域の気象条件のもとで、卵や幼虫がどのように育つかについては情報が少ないことが研究の背景にありました。

何を、どのように調べたか

研究チームは、ブラジルのモソローにある実験圃場で、2019年10~12月の乾燥期と2020年7~8月の雨期を比較しました。観測期間の平均気温は乾燥期が27.8℃、雨期が25.8℃で、積算降水量はそれぞれ0.2ミリメートル、38.0ミリメートルでした。

飼育していたタバココナジラミをメロン苗に24時間産卵させ、葉の裏の卵に印を付けて屋外へ移しました。卵の調査対象は、乾燥期が12株の208個、雨期が7株の182個でした。これとは別の株で、ふ化直後の幼虫も追跡しました。幼虫の調査対象は、乾燥期が9株の205匹、雨期が7株の137匹でした。

植物は毎日、約1時間だけ実験室に運び、顕微鏡で確認してから圃場に戻しました。卵がふ化するまでと、幼虫が成虫になるまでの日数を記録し、4段階ある幼虫期の各段階から次へ進んだ割合などを調べました。生存割合の比較には、株ごとに算出した値を使いました。

主な報告結果

著者らは、卵も幼虫も雨期より乾燥期のほうが早く発育したと報告しています。卵がふ化するまでの平均日数は乾燥期が6.6日、雨期が6.9日でした。ふ化直後の幼虫から成虫になるまでの平均日数は、それぞれ12.8日と14.7日で、いずれの発育期間にも統計的に有意な差がありました。

卵のふ化率は乾燥期が87.8%、雨期が87.9%で、有意な差はありませんでした。一方、幼虫の生存は発育段階によって異なりました。1齢から2齢へ進んだ割合は乾燥期が80.2%、雨期が43.2%で、乾燥期のほうが高い値でした。これに対し、2齢から3齢、3齢から4齢、4齢から成虫へ進んだ割合は、いずれも雨期のほうが高く、最後の4齢から成虫への移行では乾燥期が29.9%、雨期が79.5%でした。

ただし、最初に印を付けた幼虫のうち成虫になった割合は、乾燥期が19.9%、雨期が33.3%で、統計的に有意な差はありませんでした。また、最終的にどうなったか確認できなかった幼虫の割合は、乾燥期の14.9%に対し、雨期は66.1%でした。

この報告が示すこと

研究チームは、半乾燥地域の気象条件とタバココナジラミの生育との関係を理解するには、発育の速さだけでなく、幼虫のどの段階で生存が変わるかを分けて見ることが重要だと結論づけています。乾燥期の発育が速かったことには、より高い気温が関わった可能性があると考察しています。

一方、この研究は1か所で乾燥期と雨期をそれぞれ1回調べたものです。著者らは、結果を半乾燥地域での長期的な定着や適応にまで広げて解釈すべきではないとしています。特に雨期には行方を確認できなかった幼虫が多く、屋外で幼虫期全体を通じてどれだけ生き残るかの解釈には限界があります。

原著論文の著者・所属:Jasmine Asnathe Martins Rodrigues(Universidade Estadual da Paraíba, Programa de Pós-Graduação em Ecologia e Conservação, Campina Grande, Brasil)、Rayane Sley Melo da Cunha(Universidade Federal Rural de Pernambuco, Departamento de Agronomia, Programa de Pós-Graduação em Entomologia, Recife, Brasil)、Marcia Mayara de Sousa(Universidade Federal Rural do Semi-Árido, Departamento de Ciências Agronômicas e Florestais, Programa de Pós-Graduação em Fitotecnia, Mossoró, Brasil)、Elton Lucio Araujo(Universidade Federal Rural do Semi-Árido, Departamento de Ciências Agronômicas e Florestais, Mossoró, Brasil)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Jasmine Asnathe Martins Rodrigues, Rayane Sley Melo da Cunha, Marcia Mayara de Sousa, et al. Development and Survival of the Whitefly under Contrasting Conditions in a Semiarid Environment. Agrociencia Uruguay(出版社:Facultad de Derecho (Universidad de la República)) 2026-11-06. DOI: 10.31285/agro.30.2043. 原著ライセンス:CC BY.