著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Jurnal Agritech
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
ステビアは甘味料として使われる植物です。葉には甘味成分のほか、スチグマステロールという成分も含まれています。スチグマステロールは植物由来のステロール(植物ステロール)の一種で、先行研究では抗酸化や抗炎症などの性質が報告されています。ステビアは乾燥させた葉を「シンプリシア」と呼ばれる生薬原料の形で保存・流通させることが多く、長く保存しても品質が保てるかどうかが重要になります。
論文によると、ステビアの保存安定性に関するこれまでの研究は、主な甘味成分であるステビオール配糖体を3〜6か月程度の短期間で調べたものが中心でした。スチグマステロールのような甘味成分以外の成分が長期保存でどう減るかについては、数値で示した情報が乏しかったといいます。そこでインドネシア国立研究革新庁の研究チームは、乾燥ステビア葉を35か月間保存しました。そして、スチグマステロールの減り方、水分の増え方、色の変化、においと味の変化を同時に追跡しました。
どのように調べたか
試料には、中部ジャワ州タワンマングの標高約1800メートルの薬用植物園で、植え付けから3か月後に収穫したステビアの葉を用いました。葉は一つの均一なロットとして処理し、洗浄・乾燥してシンプリシアにしたうえで保存しました。研究チームによると、保管環境の相対湿度は高地の通常の範囲である65〜75%でしたが、継続的には記録していません。
スチグマステロールの量は、薄層クロマトグラフィー(TLC)と濃度計を組み合わせた方法で測りました。TLCは成分を板の上で分離する手法で、ここでは分離した成分のスポットの濃さから量を求めます。測定値は乾燥葉の重さに対する割合で示しました。水分は試料を加熱し、前後の重さの差から求めました。色は粉末にした試料をアプリで計測し、においと味は官能評価で調べました。
さらに、時間とともに量がどう変わるかを表す「反応速度論」のモデルを当てはめました。0次モデルは一定の速さで変化するとみなすものです。1次モデルは、残っている量に比例して減る速さが変わるとみなします。研究チームは0次・1次・2次のモデルを比べ、誤差の小さいものを最も適したモデルとして選びました。
主な結果
スチグマステロールの含有量は、保存開始時の7.30%から最初の12か月で4.00%未満へ大きく下がりました。その後もゆるやかに減り続け、35か月後には約1.30%になりました。保存開始時から見ると80%以上が失われたことになり、論文はこの成分が長期保存の条件下では安定性が低いと述べています。減り方は1次モデルで最もよく説明できました。決定係数(R²)は0.9676で、誤差の指標も0次や2次のモデルより小さい値でした。つまり、残っている量が多いうちは速く減り、少なくなると減る速さも落ちるという傾向です。
一方、水分は約6.5%から12〜13%程度まで、ほぼ一定の速さで増え続けました。この変化は0次モデルで最もよく表されました(R²=0.9184、速度定数0.1715)。保存期間中の気温は安定していたため、研究チームは、水分の増加は温度変化よりも外気の湿度や包装の透湿性によるものと考えられると述べています。
においと味の評価も、保存が進むにつれて低下し、色にも変化が見られました。相関分析では、水分はにおい(−0.89)、味(−0.86)、スチグマステロール量(−0.92)とそれぞれ強い負の相関を示しました。また、スチグマステロール量はにおい(0.89)や味(0.88)と正の相関を示しました。ただし著者らは、スチグマステロールが香りや味を直接守っているわけではないと述べています。水分の増加にともなう酸化などで、両者が同時並行で劣化した結果だと解釈しています。
研究チームは限界も挙げています。酸素、湿度、光といった環境要因の違いを個別には考慮していません。また、スチグマステロールが減ったことは測っていますが、何に分解されたのかは特定していません。
この研究が示すこと
この研究は、乾燥ステビア葉を約3年間保存すると、スチグマステロールの減少、水分の増加、においと味の低下、色の変化が並行して進むことを数値で示しました。著者らは、水分の蓄積がこうした品質低下と強く結びついていると結論づけています。そのうえで、長期保存では水分の吸収を抑える保管条件を保つことが、成分の安定性と風味を守るうえで欠かせないとしています。
原著論文の著者・所属:Devi Safrina(Research Center for Pharmaceutical Ingredients and Traditional Medicine, Research Organization for Health, National Research and Innovation Agency (BRIN), Bogor, 16911, Indonesia)、Sofa Farida(Research Center for Pharmaceutical Ingredients and Traditional Medicine, Research Organization for Health, National Research and Innovation Agency (BRIN), Bogor, 16911, Indonesia)、Aditya Dwi Permana Putra(Research Center for Pharmaceutical Ingredients and Traditional Medicine, Research Organization for Health, National Research and Innovation Agency (BRIN), Bogor, 16911, Indonesia)、Rizal Maarif Rukmana(Research Center for Pharmaceutical Ingredients and Traditional Medicine, Research Organization for Health, National Research and Innovation Agency (BRIN), Bogor, 16911, Indonesia)、Muhammad Bakti Samsu Adi(Research Center for Pharmaceutical Ingredients and Traditional Medicine, Research Organization for Health, National Research and Innovation Agency (BRIN), Bogor, 16911, Indonesia)、Rantika Silfarohana(Research Center for Vaccine and Drug, Research Organization for Health, National Research and Innovation Agency (BRIN), Bogor, 16911,)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Devi Safrina, Sofa Farida, Aditya Dwi Permana Putra, Rizal Maarif Rukmana, Muhammad Bakti Samsu Adi, Rantika Silfarohana Stigmasterol Degradation Kinetics and Organoleptic Alterations in Stored Stevia Simplicia (Stevia rebaudiana (Bertoni) Bertoni). Jurnal Agritech 2026-10-09. DOI: 10.22146/agritech.116976. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。