この研究は、アメリカの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Frontiers in Horticulture
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
収穫前の光で、生育や成分は変わるか
研究チームは、屋内の多段式栽培施設で育てたオークリーフレタスに、収穫前の2週間だけ遠赤色光またはUVAを追加し、生育や葉の成分がどう変わるかを調べました。遠赤色光は赤色光より波長の長い光、UVAは紫外線の一種です。白色LEDを基本の照明として維持しながら、追加する光の種類による違いを比較することが目的でした。
著者らは、水耕栽培したレタスを、白色光だけの区、白色光に遠赤色光を加える区、白色光にUVAを加える区に分けました。照明時間は1日16時間とし、独立した栽培実験を2回行いました。収穫時には株の大きさや重さ、光合成に関わる働き、色素やフェノール類などの成分、葉の抽出液の抗酸化活性を測定しました。
遠赤色光では葉が広がり、株の重さが増加
研究チームは、遠赤色光を追加したレタスでは、白色光だけの場合に比べて草丈が19.4%、葉面積が22.7%増えたと報告しています。収穫時の重さは13.1%、水分を除いた乾燥重量は39.5%増加しました。遠赤色光による変化は、主に株の生育や植物体の量に表れていました。
葉の緑色の色素で、光を吸収するクロロフィルの総量も42.5%増えました。また、光合成で光のエネルギーを利用する働きを示す指標や、葉の気孔を通じたガスの通りやすさも高まりました。著者らは、こうした結果を、遠赤色光が葉の広がりや光の利用を促し、生育を高めたことを示すものと解釈しています。
UVAでは色素やフェノール類の増加が目立つ
UVAを追加した場合は、生育量よりも葉の成分の変化が目立ちました。著者らの報告では、赤紫色の色素であるアントシアニンが白色光だけの場合より146.2%増加しました。総フェノール量は34.5%、総フラボノイド量は25.4%増えました。これらは、植物の光への防御や抗酸化作用に関わる成分です。
研究チームは、UVA区の葉の抽出液で、反応性の高い分子を消去する働きや、鉄を還元する働きを測る抗酸化試験の値も高まったと報告しています。これは抽出液を用いた測定結果であり、レタスを食べた人の健康への効果を調べたものではありません。一方、乾燥重量当たりの硝酸塩の含有量も、白色光だけの場合に比べて64.0%増加しました。
この研究は、収穫前に追加する光の種類によって、レタスに現れる変化が異なることを示しています。著者らは、遠赤色光は主に生育量を、UVAは主に色素やフェノール類、抗酸化活性を高めるとまとめています。UVAでは硝酸塩も増えており、光による成分の変化は一方向ではありませんでした。
著者:Most Tahera Naznin(epartment of Agriculture, Veterinary and Rangeland Sciences, University of Nevada, Reno, (UNR), UNR Extension and Agricultural Experimental Station, Las Vegas, NV, United States)、Md Obyedul Kalam Azad(epartment of Agriculture, Veterinary and Rangeland Sciences, University of Nevada, Reno, (UNR), UNR Extension and Agricultural Experimental Station, Las Vegas, NV, United States)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Most Tahera Naznin, Md Obyedul Kalam Azad. Preharvest exposure to far-red and UVA light enhances growth and pigment content of oakleaf lettuce in an indoor vertical farming system. Frontiers in Horticulture 2026-09-30. DOI: 10.3389/fhort.2026.1971896. 原著ライセンス:CC BY.