著者の所属・活動拠点の国は、韓国、アメリカです。
掲載誌:Journal of Health Population and Nutrition
ライセンス: CC BY-NC-ND 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
スナック菓子やインスタント食品、加糖飲料のように、工業的な加工を経て作られる「超加工食品」は、私たちの食生活にすっかり定着しています。こうした食品の摂取量が多いことと肥満との関係は以前から関心を集めてきましたが、体質、とくに肥満になりやすい遺伝的な傾向を持つ人でその影響がより強く出るのかどうかは、まだよくわかっていませんでした。今回、韓国の成人を対象とした大規模な追跡調査で、この点を検証した研究が発表されました。
誰を対象に、どのように調べたのか
この研究では、韓国の3つの前向きコホート研究(HEXA、CAVAS、KARE)に参加した40歳以上の成人、合計77,344人のデータがまとめて解析されました。追跡期間の中央値はそれぞれ4.25年、8.34年、15.75年です。食事内容は食物摂取頻度調査票を使って把握され、食品はNovaという分類システムに基づいて「超加工食品」に該当するかどうかが判定されました。あわせて、肥満と関連する27個の一塩基多型(SNP)から算出した「多遺伝子スコア」も用意し、遺伝的な肥満へのなりやすさによって、超加工食品摂取と肥満リスクの関係が変わるかどうかも調べられました。肥満は体格指数(BMI)25kg/m²以上とするアジア太平洋基準で定義され、体重増加は年間1kg以上の増加として扱われています。
研究でわかったこと
追跡期間中に4,674人(9.15%)が新たに肥満と判定され、3,709人(4.80%)が年間1kg以上の体重増加を経験しました。超加工食品の摂取量がもっとも少ないグループと比べると、もっとも多いグループでは肥満発症のオッズ比が1.25(95%信頼区間1.11〜1.39)となり、摂取量が多いほどリスクが高くなる傾向が統計的に確認されています(トレンド検定のp値は0.001未満)。さらに、代謝的に見て健康な状態を保ったまま肥満になったケースでは最大群と最小群のオッズ比が1.15、代謝異常を伴う肥満になったケースでは1.36と、後者でより強い関連が見られました。体重増加についても、摂取量が多いグループでオッズ比1.22という結果でした。一方で、肥満に関する多遺伝子スコアの高低によってこれらの関連の強さが変わるかどうかを調べたところ、いずれの解析でも交互作用は統計的に見られませんでした(p値はすべて0.10超)。つまりこの集団では、超加工食品の摂取と肥満・体重増加との関連は、遺伝的な肥満のなりやすさとは独立してみられた、ということになります。
この研究の読み方
この論文は韓国の3つのコホートをまとめた解析であり、対象は40歳以上の韓国人成人に限られています。したがって、ここで得られた関連が他の年齢層や異なる食文化を持つ集団にもそのまま当てはまるかどうかは、この研究だけでは判断できません。また、この研究は超加工食品の摂取と肥満リスクとの「関連」を示したものであり、超加工食品を食べることが肥満の直接の原因であると証明したものではない点にも注意が必要です。著者らは、ソウル大学校をはじめとする韓国の研究機関に加え、米国ハーバード大学公衆衛生大学院の研究者も名を連ねる「UPF Working Group」として、この研究をまとめています。
今回の結果は、超加工食品の摂取量が多いことと、肥満や体重増加のリスクとの間に統計的な関連が見られたこと、そしてその関連が遺伝的な肥満へのなりやすさによって大きく左右されるわけではなさそうだということを示すものです。一つの研究から得られた知見であり、これをもって食生活の見直しの効果が確定したわけではありませんが、日々の食事内容を振り返るうえで参考になる報告といえるでしょう。
著者:Minsu Cho(Department of Food and Nutrition, College of Human Ecology, Seoul National University, Seoul, 08826, Korea)、Heejin Lee(Department of Nutrition, Harvard T.H. Chan School of Public Health, Boston, MA, 02115, USA)、Jee Young Kim(Jeju Jinsan Company, Seogwipo, 63615, Korea)、Sohyun Park(Department of Food Science and Nutrition, Hallym University, Chuncheon, 24252, Korea)、Sukyoung Jung(Department of Healthcare Policy Research, Institute for Health and Social Affairs, Sejong, 30147, Korea)、Jung Eun Lee(Department of Food and Nutrition, College of Human Ecology, Seoul National University, Seoul, 08826, Korea)、on behalf of UPF Working Group
※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。出典(原著論文):Minsu Cho, Heejin Lee, Jee Young Kim, et al. Ultra-processed food intake, genetic polymorphisms, and the risk of obesity in a pooled analysis of three prospective cohorts. ジャーナル・オブ・ヘルス・ポピュレーション・アンド・ニュートリション (2026). DOI: 10.1186/s41043-026-01424-5.