コンビニ食品やインスタント食品、清涼飲料水など、工業的な加工を経て作られる食品は「超加工食品」と呼ばれます。世界的にこうした食品の摂取量が増えていることが知られており、健康への影響が懸念材料として注目されてきました。しかし、アジアの成人を対象に、超加工食品の摂取と健康指標との関連を調べた研究はまだ限られています。今回、韓国の成人を対象に17年間という長期にわたるデータを用いて、超加工食品の摂取傾向と心血管代謝の健康指標との関連を調べた研究が報告されました。
研究の方法
研究チームは、2007年から2023年にかけて実施された「韓国国民健康栄養調査」のデータを分析しました。食事の摂取状況は24時間食事思い出し法(前日に食べたものを聞き取る方法)によって把握され、食品は韓国向けに調整されたNova分類の枠組みを用いて、超加工食品かどうかに分類されました。その上で、重み付けをしたロジスティック回帰モデルという統計手法を使い、超加工食品の摂取量の年次変化や、高血圧・高コレステロール血症・肥満といった心血管代謝の指標との関連を推定しています。
研究でわかったこと
過去17年間で、超加工食品の摂取量は増加する一方、未加工・最小限加工食品の摂取量は減少しており、この傾向は特に若い世代で顕著だったと報告されています。
男性では、超加工食品の摂取量が多いほど、高血圧(オッズ比1.27、95%信頼区間1.15〜1.41)、高コレステロール血症(オッズ比1.33、95%信頼区間1.21〜1.46)、LDLコレステロール高値(オッズ比1.16、95%信頼区間1.05〜1.28)、腹部肥満(オッズ比1.22、95%信頼区間1.11〜1.34)、肥満全般(オッズ比1.17、95%信頼区間1.07〜1.28)のオッズが高くなる関連が見られました。一方で、HDLコレステロール低値については逆に摂取量が多いほどオッズが低くなる関連(オッズ比0.68、95%信頼区間0.62〜0.75)が示されています。
女性では、超加工食品の摂取量が多いほど、高コレステロール血症(オッズ比1.30、95%信頼区間1.20〜1.41)、LDLコレステロール高値(オッズ比1.24、95%信頼区間1.14〜1.35)、腹部肥満(オッズ比1.11、95%信頼区間1.02〜1.21)のオッズが高くなる関連が見られました。一方、HDLコレステロール低値(オッズ比0.57、95%信頼区間0.50〜0.64)と高トリグリセリド血症(オッズ比0.87、95%信頼区間0.80〜0.96)については、逆に摂取量が多いほどオッズが低くなる関連が示されています。
この研究の位置づけと注意点
本研究は韓国のデータを対象としたものであり、著者らはこれをアジアの集団に基づく知見を加えるものと位置づけています。なお、著者の一人はアメリカ・ボストンのハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院に所属しており、他の著者は韓国国内の大学に所属しています。
著者らは、この研究が横断的研究(ある一時点のデータをもとにした研究)であり、超加工食品の摂取と各指標との関連には一貫しない結果(増える指標もあれば減る指標もある)が見られた点を指摘し、これらの関連は今後、前向き研究(時間の経過を追って調べる研究)によって確認される必要があると述べています。
まとめ
今回の研究では、韓国の成人において超加工食品の摂取量が17年間で増加してきたこと、そしてその摂取量の多さが高血圧や高コレステロール血症、肥満など複数の心血管代謝指標と関連していたことが示されました。ただし、HDLコレステロールなど一部の指標では摂取量が多いほどリスクが低くなる関連も見られており、著者らはこの研究が一時点のデータに基づくものであるため、今後の前向き研究による確認が必要だとしています。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:2007年から2023年における韓国成人の超加工食品摂取(NOVA分類)と心血管代謝の健康との関連(BMCパブリックヘルス・2026年08月)