ケーキやパンといった焼き菓子は、小麦粉と砂糖、油脂を主体とした嗜好性の高い食品というイメージがあります。しかし近年では、野菜を練り込んだり、食物繊維が豊富な素材を取り入れたりすることで、食べる楽しさを保ちながら栄養面の工夫を加えようとする動きが広がっています。今回紹介する研究は、ズッキーニを使ったケーキにおいて、小麦粉の一部または全部をオートミール粉(オーツ麦を挽いた粉)に置き換えるとどうなるかを調べたものです。
ズッキーニは調理のしやすさから様々な料理に活用でき、ケーキに加えることで栄養価を高める働きがあるとされています。一方のオートミール粉は、食物繊維やビタミン、ミネラルを豊富に含む素材として知られており、食品に機能的な特性を与えると考えられています。研究チームは、レーズンとシナモンを加えたズッキーニケーキを、小麦粉の配合比率が異なる3種類(オートミール粉0%、50%、100%)で試作し、それぞれの物理的な特徴、栄養成分、そして食べたときの官能評価(見た目・食感・味・香りなどの評価)を比較しました。
研究でわかったこと
小麦粉をすべてオートミール粉に置き換えた配合(F100%)は、他の配合と比べて栄養成分の含有量が高く、特に食物繊維とリンについては「供給源」に分類される水準であったと報告されています。一方でこの配合は生地の厚みがやや薄くなる傾向が見られ、これは小麦粉に含まれるグルテンによる網目構造がないことが関係している可能性がある、とされています。
官能評価では、F100%の配合が柔らかさ(83.78%)、香り(78.38%)、ジューシーさ(32.43%)の点で他の配合よりも高く評価されたことが報告されています。また、参加者の多くはオートミール入りのズッキーニケーキを事前に食べたことがないと答えたものの、いずれの配合においても官能的な受容性と購入意向の指数は84.8%を上回る高い水準であったとされています。
これらの結果から、オートミール粉を異なる割合で取り入れることは技術的に実現可能であり、機能性の面でも利点があると考えられ、栄養価が向上しつつ官能的にも好意的に受け入れられるズッキーニケーキの開発につながる可能性が示唆されています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は、特定の配合や条件のもとで試作・評価を行った一つの研究であり、結論が確定したものではありません。ここで報告されている栄養成分や官能評価の数値は、あくまで今回の試作品と評価条件下で得られた結果であり、健康効果や体への影響を直接示すものではない点に留意が必要です。また、要旨からは評価に参加した人数や属性、統計的な検証の詳細は明らかではありません。
そのため、オートミール粉を使ったケーキが誰にとっても、あるいはどのような条件でも同様の結果になると断定はできず、今後さらなる検証が積み重ねられていくことが期待されるテーマといえそうです。
まとめ
今回紹介した研究では、ズッキーニケーキの小麦粉を部分的・完全にオートミール粉へ置き換えることで、食物繊維やリンなどの栄養成分が増加し、柔らかさや香りといった食感面でも良好な評価が得られたことが報告されています。またすべての配合で高い官能受容性と購入意向が示されたとされています。焼き菓子の栄養面を工夫する一つのアプローチとして、興味深い知見を提供する研究だといえるでしょう。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:ズッキーニケーキにおける小麦粉のオートミール粉への部分的・完全代替の調製と評価(レビスタ・インターファセス・サウーデ・ウマナス・エ・テクノロジア・2026年08月)