日本掲載:本論文はJ-STAGEに掲載されています。

掲載誌:日本食品科学工学会大会講演要旨集

ライセンス: CC BY-NC-SA 4.0 対象: 公開論文 確認元: JaLC

風邪をひきやすい、便通が少ない、疲れやすいといった自覚のある健常な成人を対象に、食物繊維を多く含む小麦粉(HAW)を使ったパンを12週間食べ続けてもらい、腸内細菌の構成や免疫に関わる指標がどう変化するかを調べた研究です。HAWにはレジスタントスターチなどの発酵性食物繊維が含まれており、これを分解する培養試験ではあらかじめ有益菌の増加と有害菌の減少が確認されていたことから、実際に摂取した場合の効果が検討されました。

対象は風邪をひきやすい自覚があり、排便回数が週5回以下、かつ疲労の自覚がある健常成人男女36名で、うち33名が解析の対象となりました。参加者は無作為に3つのグループに分けられ、HAWを高めに配合したパンを食べる群(レジスタントスターチ量5.9グラム/日)、低めに配合したパンを食べる群(同3.7グラム/日)、そして有効成分を含まないプラセボのパンを食べる群として、12週間にわたり継続的に摂取しました。評価には、便に含まれる分泌型免疫グロブリンAやプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)の活性といった免疫指標に加え、腸内細菌の相対存在比率などの腸内環境指標が用いられました。本研究はメディカルステーションクリニック倫理審査委員会の承認を受け、UMIN試験ID:UMIN000054868として登録されています。

免疫指標と腸内細菌にみられた変化

主要な評価項目とされた便中の分泌型免疫グロブリンAについては、3群の間で有意な変動は確認されませんでした(p>0.05)。一方で、HAWを高めに配合したパンを摂取した群では、12週間後のpDC活性(CD80)がプラセボ群と比べて有意に高い値を示しました(p=0.03)。

腸内細菌については、HAW高配合群でFaecalibacterium属の相対存在比率が有意に高いことが示され(p=0.01)、Bilophila属については低い傾向がみられました(p=0.09)。さらに、HAWを低めに配合した群では、くしゃみや鼻汁、喉の痛み、咳、関節痛、発汗、悪寒といった項目を含む体調アンケートのスコアが、プラセボ群と比べて有意に低いという結果が報告されています(p<0.05)。

研究を行ったグループについて

この研究は、日清製粉グループ株式会社および日清製粉株式会社に所属する研究者らによって行われました。

著者:Yuto Otomo(Nisshin Seifun Group Inc.)、Yasuyuki Nishitsuji(Nisshin Seifun Group Inc.)、Satoshi Noma(Nisshin Seifun Group Inc.)、Yosuke Kikuchi(Nisshin Seifun Group Inc.)、Tetsuya Hirose(Nisshin Flour Milling Inc.)、Kazutami Tsukamoto(Nisshin Flour Milling Inc.)

※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。出典(原著論文):Yuto Otomo, Yasuyuki Nishitsuji, Satoshi Noma, et al. 高食物繊維小麦粉摂取による腸内環境改善を介した免疫調節効果の検証. 日本食品科学工学会大会講演要旨集 (2025). DOI: 10.3136/aamjsfst.72.0_56. 書誌情報取得元:JaLC(J-STAGE掲載資料・外部リンクなし)。