この研究は、タイの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Foods

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

サチャインチ(Plukenetia volubilis L.)は主に種子から油を搾るために栽培される作物ですが、その葉は十分に活用されていない副産物とされています。今回紹介する研究では、このサチャインチの葉を茶葉状に加工した粉末(STLP)を小麦粉の一部代わりにクッキーへ配合し、できあがったクッキーの性質がどう変わるかを調べました。

研究でわかったこと

研究チームは、小麦粉に対してSTLPを0%、2.5%、5%、10%(重量比)の割合で置き換えたクッキーを作り、成分や特性を比較しました。その結果、STLPの配合量が増えるほど、クッキーのタンパク質、食物繊維、灰分(ミネラル分の指標)の含有量が有意に増加したと報告されています。また、総フェノール含量や鉄還元性抗酸化力(FRAP)といった抗酸化に関わる指標も、特に5%・10%配合で有意に高くなったとされています。

さらに、消化のしくみを模した実験(in vitro消化モデル)では、STLPを配合したクッキーは対照(無配合)のクッキーに比べて、グルコース放出量、グルコース濃度曲線下面積(AUC)、加水分解指数、そして推定血糖指数(グリセミック指数)がいずれも有意に低かったと報告されています。これは、でんぷんの消化・分解が試験管内で緩やかだったことを示すものです。

一方で、クッキーの物理的な性質については、低~中程度の配合量ではおおむね維持されたものの、10%配合では生地の広がり率(スプレッド比)と硬さが増加し、焼成による重量減少(ベーキングロス)は小さくなったとされています。官能評価(人が実際に食べて評価する試験)では、STLPの配合により見た目、色、香り、風味、総合的な好ましさのスコアが対照より低下した一方、食感のスコアには有意な差が見られなかったと報告されています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

著者らは、STLPがクッキーのタンパク質・食物繊維・灰分含量を高め、抗酸化特性を向上させ、in vitroでのでんぷん加水分解を抑える可能性がある機能性素材だとしつつも、官能的な受容性とのバランスを取るためにはさらなる配合の最適化が必要だと述べています。今回の結果はin vitro(試験管内)の消化実験と官能評価に基づくものであり、実際に人が食べた際の血糖応答や健康への影響を直接確認したものではない点に留意が必要です。

まとめ

この研究は、これまで十分に活用されてこなかったサチャインチの葉を、茶葉粉末としてクッキーに配合することで、タンパク質や食物繊維、抗酸化成分を補い、in vitroでのでんぷん消化性を抑えられる可能性を示したものです。ただし配合量が増えると風味や見た目などの官能評価は下がる傾向も見られており、著者らは今後さらに配合を調整する余地があるとしています。一つの研究であり、実用化や健康効果を断定するものではありません。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。出典(原著論文):サチャインチ茶葉粉末による小麦粉代替:クッキーの理化学的特性、でんぷん消化性、官能特性への影響(フーズ・2026年08月)

著者:Praew Chantarasinlapin(Center of Excellence in Phytochemical and Functional Food for Clinical Nutrition, Department of Nutrition and Dietetics, Faculty of Allied Health Sciences, Chulalongkorn University, Bangkok 10330, Thailand)、Kunyakorn Kamonkunakasem(Center of Excellence in Phytochemical and Functional Food for Clinical Nutrition, Department of Nutrition and Dietetics, Faculty of Allied Health Sciences, Chulalongkorn University, Bangkok 10330, Thailand)、Titima Wongdee(Center of Excellence in Phytochemical and Functional Food for Clinical Nutrition, Department of Nutrition and Dietetics, Faculty of Allied Health Sciences, Chulalongkorn University, Bangkok 10330, Thailand)、Arkapol Phunkhow(Center of Excellence in Phytochemical and Functional Food for Clinical Nutrition, Department of Nutrition and Dietetics, Faculty of Allied Health Sciences, Chulalongkorn University, Bangkok 10330, Thailand)、Ampornphat Sudtiastasilp(Center of Excellence in Phytochemical and Functional Food for Clinical Nutrition, Department of Nutrition and Dietetics, Faculty of Allied Health Sciences, Chulalongkorn University, Bangkok 10330, Thailand)、Charoonsri Chusak(Center of Excellence in Phytochemical and Functional Food for Clinical Nutrition, Department of Nutrition and Dietetics, Faculty of Allied Health Sciences, Chulalongkorn University, Bangkok 10330, Thailand)、Sirichai Adisakwattana(Center of Excellence in Phytochemical and Functional Food for Clinical Nutrition, Department of Nutrition and Dietetics, Faculty of Allied Health Sciences, Chulalongkorn University, Bangkok 10330, Thailand)