著者の所属・活動拠点の国は、ブラジルです。

掲載誌:Journal of Applied Toxicology

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的:サプリメントは「濃度」より「摂取量」で考える

緑茶(学名 Camellia sinensis)をカプセルに詰めた栄養補助食品(サプリメント)の利用は、近年大きく増えています。しかし、こうした製品に含まれるヒ素や鉛などの無機汚染物質について、毒性のリスク評価を支えるデータはまだ限られていると研究チームは述べています。

論文の抄録によると、お湯で淹れる通常の緑茶と違い、カプセル型サプリメントは濃縮された植物原料を決まった1日量で体に取り込むものです。そのため、製品中にどれだけの濃度で含まれるかだけでなく、実際に1日あたりどれだけ摂取することになるかという「曝露量」に基づいて評価する必要がある、というのが著者らの問題意識です。

何を調べたか

研究チームは、ブラジル南東部で販売されている6ブランドのカプセル入り緑茶サプリメント、計11ロット(製造単位)を対象に、ヒ素、カドミウム、鉛の量を測定しました。測定には、微量の金属元素を定量できる黒鉛炉原子吸光分析法という手法が使われました。

測定した濃度(製品1キログラムあたりのミリグラム数)は、製品表示にある最大摂取量を飲んだと仮定して、1日あたりの推定摂取量(マイクログラム/日)に換算されました。そのうえで、米国薬局方(USP)の第2232章が定める「許容1日曝露量(PDE)」、つまり1日に取り込んでもよいとされる上限値を主な基準として比較しました。補助的に、1週間あたりの推定摂取量と、国際的に用いられてきた暫定耐容週間摂取量という参考値による解釈も加えています。

主な結果:一部のロットで鉛が基準を上回った

ヒ素については、より毒性の強い無機ヒ素であると慎重側に仮定して評価しましたが、カドミウムとともに、分析したすべてのロットで推定1日摂取量は許容1日曝露量を下回っていました。

一方、鉛では、11ロットのうち2ロットで、推定1日摂取量がUSP第2232章の許容1日曝露量である1日5マイクログラムを超えていました。著者らはこれを、曝露量に基づく規制の枠組みで見たとき、ロットによって基準に適合しない場合があることを示す結果だと報告しています。

この研究が示すこと

研究チームは、サプリメントが元素を濃縮した形で取り込む摂取源になりうること、そして正確なリスク評価には1日量に合わせて換算した評価が重要であることを、今回の結果が示していると結論づけています。

また、許容1日曝露量と他の摂取量指標を組み合わせることで毒性リスクの評価がより確かなものになり、植物由来サプリメントの安全性を曝露量に基づいて判断する規制の考え方を後押しする、と著者らは述べています。同じ種類の製品でもロットによって結果が異なりうるという点は、サプリメントの安全性を考えるうえで、どのくらいの量を毎日取り込むかという視点の大切さを伝えています。

原著論文の著者・所属:Amanda da Silva Chaves(Laboratório de Inflamação, Instituto Oswaldo Cruz Fundação Oswaldo Cruz Rio de Janeiro Brazil)、Lisia Maria Gobbo dos Santos(Setor de Elementos Inorgânicos, Instituto Nacional de Controle de Qualidade em Saúde Fundação Oswaldo Cruz Rio de Janeiro Brazil)、Beatriz Scaramelo(Laboratório de Farmacologia, Instituto Nacional de Controle de Qualidade em Saúde Fundação Oswaldo Cruz Rio de Janeiro Brazil)、Júlia Maria Peixoto Loureiro(Laboratório de Farmacologia, Instituto Nacional de Controle de Qualidade em Saúde Fundação Oswaldo Cruz Rio de Janeiro Brazil)、Fabio Coelho Amendoeira(Laboratório de Farmacologia, Instituto Nacional de Controle de Qualidade em Saúde Fundação Oswaldo Cruz Rio de Janeiro Brazil)、Silvana do Couto Jacob(Setor de Elementos Inorgânicos, Instituto Nacional de Controle de Qualidade em Saúde Fundação Oswaldo Cruz Rio de Janeiro Brazil)、Fausto Klabund Ferraris(Laboratório de Farmacologia, Instituto Nacional de Controle de Qualidade em Saúde Fundação Oswaldo Cruz Rio de Janeiro Brazil)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Amanda da Silva Chaves, Lisia Maria Gobbo dos Santos, Beatriz Scaramelo, et al. Exposure‐Based Toxicological Evaluation of Lead and Elemental Impurities in Encapsulated Green Tea Dietary Supplements Under a Regulatory Framework. Journal of Applied Toxicology 2026-08-14. DOI: 10.1002/jat.70390. 原著ライセンス:CC BY.