この研究は、タイ、フランスの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Journal of Agriculture and Food Research
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
花びらの成分を保つ乾燥方法を探る
赤いスイレン(Nymphaea × rubra)の花びらには生理活性成分が含まれていますが、水分が多く、化学反応や微生物の活動によって傷みやすい性質があります。乾燥は保存期間を延ばす手段ですが、乾燥方法によって成分や品質、水分の吸着しやすさがどう変わるかについては、情報が限られていました。
研究チームは、乾燥方法が花びらの水分の抜け方や品質、含まれる成分に与える影響を比較しました。また、生理活性成分と抗酸化能力の関連を調べ、酸化を抑える働きに関わる主要な成分を探りました。
マイクロ波乾燥で時間を短縮、品質も比較
著者らは、凍結乾燥、温風による乾燥(50、60、70℃)、マイクロ波を間欠的に当てる乾燥(450、720、900ワット)を比較しました。乾燥の進み方に加え、水分の吸着、品質の特徴、花びらに含まれる成分の構成を調べました。
論文によると、マイクロ波乾燥は温風乾燥に比べて乾燥時間を約97%短縮しました。花びらの構造の収縮率は、マイクロ波乾燥で51.11~54.07%、温風乾燥で53.99~62.62%と報告されています。抗酸化特性は凍結乾燥で最もよく保たれ、マイクロ波乾燥もそれに匹敵する結果でした。
成分分析では、フェノール性化合物と推定された125種類のうち、43種類が抗酸化活性と強い相関を示しました。これは成分と抗酸化活性の関連を示す結果です。また、複数の品質指標をまとめて比較した解析では、450ワットと720ワットのマイクロ波乾燥で、凍結乾燥に匹敵する品質の特徴が得られたと報告されています。
乾燥の速さと成分保持を両立する可能性
著者らは、マイクロ波乾燥が、機能性食品などの素材や天然色素に用いる乾燥花びらを作るうえで、凍結乾燥の代替になり得るとしています。この研究は、乾燥方法の選択が処理時間だけでなく、花びらの成分や品質を保つうえでも重要であることを示しています。
著者:Traiphop Phahom(Innovation of Quality Enhancement of Agricultural Products for Agro-Industry-Research Center, Suranaree University of Technology, Thailand)、Kamolwan Soubsub(School of Food Technology, Institute of Agricultural Technology, Suranaree University of Technology, Thailand)、Gaëlle Roudaut(University of Bourgogne Europe, L’Institut Agro Dijon, PAM UMR, Dijon, France)、Singhanat Phoungchandang(Department of Food Technology, Faculty of Technology, Khon Kaen University, Thailand)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Traiphop Phahom, Kamolwan Soubsub, Gaëlle Roudaut, et al. Shaping metabolite profile, dehydration kinetics, quality retention, and sorption properties of red water lily (Nymphaea x rubra) petals through drying technology. Journal of Agriculture and Food Research 2026-09-29. DOI: 10.1016/j.jafr.2026.103337. 原著ライセンス:CC BY.