著者の所属・活動拠点の国は、ブラジルです。

掲載誌:Revista Ibero-Americana de Humanidades, Ciências e Educação

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

研究チームは、添加物を使わない全脂乳を粉末にするとき、噴霧乾燥と凍結乾燥によって、できあがる粉の性質や回収効率がどう変わるかを調べました。噴霧乾燥は液体を細かな霧にして乾かす方法、凍結乾燥は凍らせた試料から減圧下で水分を取り除く方法です。

乳化剤や固結防止剤などの影響を避け、乾燥工程そのものによる違いを捉えることが狙いでした。水分や色だけでなく、水へのなじみやすさ、湿気の吸いやすさ、粉の流れやすさ、粒子の形まで比較しました。

何を、どのように調べたか

対象は、別々に調達した殺菌・均質化済みの全脂牛乳3ロットです。各ロットを減圧下で濃縮してから五つに分け、四つの噴霧乾燥条件と、一つの凍結乾燥条件に割り当てました。各条件を3ロットで繰り返す、実験室規模の試験でした。

噴霧乾燥では、装置に入る空気の温度を130℃または180℃、濃縮乳の供給量を毎時0.2kgまたは0.8kgとし、その組み合わせを比べました。凍結乾燥では、−25℃で24時間凍結した後、凝縮器温度−40℃、圧力0.1~1.0ミリバールで48時間処理しました。

研究チームは、粉末の成分、水分量、水分活性、水にぬれるまでの時間、吸湿性、流動性などを測定しました。水分活性は、水分の総量とは別に、微生物の増殖や化学反応に利用されやすい水の程度を表す指標です。電子顕微鏡で粒子の形を観察し、投入した乳の固形分と回収した粉末から、乾燥時の損失や装置内への付着も調べました。

主な報告結果

噴霧乾燥した粉末は、凍結乾燥した粉末より水分量と水分活性が低くなりました。各条件の平均水分量は、噴霧乾燥で0.68~1.35%、凍結乾燥で5.73%でした。水分活性の平均値も、噴霧乾燥の0.160~0.261に対し、凍結乾燥では0.626でした。著者らは、今回の条件では噴霧乾燥の方が水を効率よく除去でき、保存時の安定性も高いことを示す結果と解釈しています。

一方、水へのぬれやすさでは凍結乾燥が優れていました。ぬれるまでの平均時間は、凍結乾燥の37.20分に対し、噴霧乾燥では107.77~426.57分でした。ただし、凍結乾燥の粉末は湿気を吸いやすく、吸湿性の値は56.62%で、噴霧乾燥の7.08~13.61%より高くなりました。

粒子の観察では、噴霧乾燥の粉末は球状で緻密なのに対し、凍結乾燥の粉末は不規則な形で細かな空隙がありました。凍結乾燥の粉末は流れやすさで優れていたものの、褐色化の指標と乾燥時の損失は高かったと報告されています。

噴霧乾燥の条件の中で、研究チームが安定性と工程効率のバランスを最も良好と評価したのは、130℃・毎時0.8kgでした。180℃・毎時0.8kgでは粒径の分布がより狭くなった一方、水へのぬれやすさが悪化し、質量損失も増えたため、すべての面で優れた条件とは評価していません。

この報告が示すこと

この研究は、添加物を使わない全脂粉乳では、乾燥条件の選択にあたり、保存中の安定性だけでなく、水への戻しやすさや粉の扱いやすさ、回収効率を合わせて考える必要があることを示しています。著者らの結論は、単一の方法があらゆる性質で優れるというものではありません。

ただし、比較は実験室規模の装置と今回設定した条件での結果です。研究チームは、130℃・毎時0.8kgでは水分量のばらつきが大きく、再現性の確認が必要だとしています。また、凍結乾燥は48時間で終了させており、試料温度や質量の変化を連続測定して乾燥の完了を確認していない点も、比較を受け止めるうえでの限界です。

原著論文の著者・所属:Jhonatan Faria Costa(Universidade Federal de Viçosa)、José Roberto Miranda Júnior(Universidade Federal de Viçosa)、Bruna Mara Aparecida de Carvalho Mesquita(Universidade Federal de Minas Gerais)、Moyses Naves de Moraes(Universidade Federal de Viçosa)、César Augusto Sodré da Silva(Universidade Federal de Viçosa)、Eduardo Basílio de Oliveira(Universidade Federal de Viçosa)、Jane Sélia dos Reis Coimbra(Universidade Federal de Viçosa)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Jhonatan Faria Costa, José Roberto Miranda Júnior, Bruna Mara Aparecida de Carvalho Mesquita, et al. SECADO POR ATOMIZACIÓN Y LIOFILIZACIÓN DE LECHE ENTERA SIN ADITIVOS: CARACTERÍSTICAS FISICOQUÍMICAS, TECNOFUNCIONALES, DE FLUJO Y MORFOLÓGICAS DE LOS POLVOS, Y EFICIENCIA DEL PROCESO. Revista Ibero-Americana de Humanidades, Ciências e Educação 2026-11-03. DOI: 10.51891/rease.v12i11.31055. 原著ライセンス:CC BY.