著者の所属・活動拠点の国は、中国です。
掲載誌:Microbiology Spectrum
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
研究チームは、魚介類を介した食中毒の原因となる腸炎ビブリオを抑える手段として、細菌に感染して破壊するウイルス「溶菌性バクテリオファージ」に着目しました。食品に適した菌の制御方法が限られるなか、新たに分離した3種のファージの性質と、食品中で菌を抑える働きを調べました。
何を、どのように調べたか
研究チームは、水産物市場の排水から腸炎ビブリオに感染する3種のファージ、Z5、Z44、Z109を分離しました。それぞれの増殖の特徴、温度や酸性・アルカリ性に対する安定性、ゲノムの特徴を解析しました。また、生サケを使った試験で25℃と4℃における菌の抑制を調べ、細菌が集まって膜状の構造をつくる「バイオフィルム」の形成を防ぐ働きと、すでにできた膜を壊す働きも評価しました。
主な報告結果
著者らは、生サケの試験で3種すべてが25℃と4℃の両方で腸炎ビブリオを有意に減少させたと報告しました。また、3種は4~60℃、pH4~10の範囲で安定性を示しました。ゲノム解析では、既知の抗菌薬耐性遺伝子や病原性因子は確認されませんでした。さらに、ファージ側のDNA修飾に関わる遺伝子や、宿主となる細菌側の防御関連領域が、ファージごとの菌の殺し方の違いに関与する可能性が示されました。ただし、この仕組みは解析に基づく推定です。
この報告が示すこと
研究チームは、3種のファージを、魚介類の腸炎ビブリオ汚染を抑える有望な候補と位置づけています。一方、バイオフィルムの形成は強く抑えたものの、すでに成熟した膜を壊す能力は限定的でした。著者らは、ファージを使った制御方法を検討する際には、ファージだけでなく、感染対象となる細菌のゲノム上の特徴も考慮することが重要だと述べています。
※本記事は原著論文の抄録だけで作成しています。
原著論文の著者・所属:Miaosen Zhang(Marine Science and Technology School, Zhejiang Ocean University; State Key Laboratory Breeding Base of Marine Genetic Resource, Third Institute of Oceanography, Ministry of Natural Resources)、Xuejin Feng(State Key Laboratory Breeding Base of Marine Genetic Resource, Third Institute of Oceanography, Ministry of Natural Resources)、Puyin Liu(College of Marine Sciences, Fujian Agriculture and Forestry University)、Wu Qu(Marine Science and Technology School, Zhejiang Ocean University)、Min Jin(College of Marine Sciences, Fujian Agriculture and Forestry University; Southern Marine Science and Engineering Guangdong Laboratory (Zhuhai); State Key Laboratory Breeding Base of Marine Genetic Resource, Third Institute of Oceanography, Ministry of Natural Resources)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Miaosen Zhang, Xuejin Feng, Puyin Liu, et al. Genomic and biological characterization of three lytic phages targeting Vibrio parahaemolyticus and their application in a raw salmon model. Microbiology Spectrum(出版社:American Society for Microbiology) 2026-09-22. DOI: 10.1128/spectrum.02617-26. 原著ライセンス:CC BY.