ポテトチップスや菓子パン、インスタント麺、清涼飲料水のような「超加工食品」は、いまや多くの国で日々のエネルギー摂取のかなりの部分を占めるようになっています。こうした食品と、肝臓に脂肪がたまる病気との関係を、これまでに発表された複数の研究をまとめて見直した論文が、インターナショナル・ジャーナル・オブ・メディシン・アンド・ヘルス誌に2026年9月に掲載される予定です。著者らはインドネシアのアイルランガ大学(Universitas Airlangga)に所属する研究者たちです。
対象となったのは「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)」という病気です。これは以前「非アルコール性脂肪肝疾患」と呼ばれていた病気にあたり、2023年に国際的な専門家会議によって名称と診断基準が見直されました。新しい基準では、肝臓に脂肪がたまっていることに加えて、高血圧や高血糖など代謝に関わるリスク因子が少なくとも一つあることが診断の条件になっています。この病気は世界で最もありふれた慢性肝疾患とされ、2型糖尿病がある人では半数以上、一般成人でもおよそ3割にみられると見積もられており、肥満や運動不足の広がりとともに増加が続いていると紹介されています。
8件の研究、35万人以上のデータを整理
研究チームはPubMed/MEDLINE、Embase、Cochrane CENTRAL、Scopus、Web of Scienceという5つの学術データベースを検索し、440件の文献を見つけました。重複を除いた298件をタイトルと要旨でスクリーニングし、247件を除外、残った51件のうち3件は入手できず、48件を本文まで精査しました。最終的に、対象年齢や食事の測定方法などの条件を満たした8件の観察研究が、この解析の対象として選ばれています。除外の理由としては、対象集団が条件に合わない(10件)、超加工食品以外の食事要因を扱っている(8件)、比較対象が不適切(5件)、必要な結果が報告されていない(7件)、研究デザインが対象外(6件)、集団の重複(4件)が挙げられています。
選ばれた8件は2021年から2025年にかけて発表されたもので、中国、イスラエル、イギリス、アメリカ、ブラジル、スペインで行われた研究が含まれ、合計で35万人を超える成人が対象になっています。研究の種類は前向きコホート研究が4件、横断研究が3件、縦断的な追跡研究が1件でした。サンプルサイズは、6か月間の食事変化を追った70人規模の小さな研究から、17万3889人を対象としたイギリスのUKバイオバンクを使った研究まで幅がありました。食事内容の把握には、5件が食物摂取頻度調査票、3件が24時間思い出し法を用い、いずれの研究も「NOVA分類」という食品の加工度合いによる分類方法で超加工食品を定義しています。肝臓の脂肪の有無は、超音波検査、振動制御式肝硬度測定(VCTE)、磁気共鳴画像(MRI)、診療記録との照合、脂肪肝を推定する指標など、研究によって異なる方法で確認されていました。なお、8件のうち3件は新しいMASLDという診断名を明示的に用いており、残りは旧来の非アルコール性脂肪肝疾患という呼び方に基づいていた点も報告されています。
超加工食品の摂取が多いほどリスクが高い傾向
8件すべての研究で、超加工食品の摂取量が多いグループほどMASLD(または非アルコール性脂肪肝疾患)のリスクが高いという結果が一貫してみられました。前向きコホート研究でのハザード比(発症のしやすさを示す指標)は1.18から1.50の範囲、横断研究でのオッズ比は1.33から2.50の範囲で報告されています。具体的には、中国の大規模コホート研究では摂取量が最も多いグループで最も少ないグループに比べてハザード比1.18、イギリスのUKバイオバンクを用いた研究では新規発症についてハザード比1.43、同じUKバイオバンクを使った別の研究では重症化についてハザード比1.26という数値が示されています。横断研究では、アメリカの国民健康栄養調査(NHANES)データを使った解析でオッズ比1.72、フラミンガム研究のデータでは摂取量が1標準偏差増えるごとにオッズ比1.33、摂取量が最も多い上位グループではオッズ比2.50という結果が報告されました。いくつかの研究では、摂取量のカテゴリーが上がるにつれてリスクも段階的に上昇する「摂取量とリスクの量反応関係」も観察されています。
摂取量を変化させた場合の変化を追った唯一の研究として、6か月間にわたり超加工食品の摂取を大きく減らしたグループでは肝臓内の脂肪量が7.7%低下したのに対し、あまり減らさなかったグループでは2.6%の低下にとどまったという結果も紹介されています。この研究では、摂取量を大きく減らしたグループでは1日あたり約605キロカロリーのエネルギー摂取量の低下や、地中海式の食事パターンへの近さの向上も同時にみられたとされています。ただしこれは70人規模の一つの小さな研究に基づくものです。
一方で、この関連の背景にある仕組みについても検討が加えられています。アメリカのNHANESデータを用いた解析では、超加工食品摂取と脂肪肝との関連のおよそ68〜71%が、体格指数(BMI)や腹囲といった肥満の指標によって説明される(統計的に「媒介」される)と推定されており、フラミンガム研究でもBMIで調整すると関連が弱まったことが報告されています。これは、超加工食品がエネルギー密度が高く食べやすいために体重増加を招き、それが肝臓への脂肪蓄積につながるという経路と矛盾しない結果とされています。ただし、肝臓の線維化(進行した状態)との関連については研究間で結果が一致せず、フラミンガム研究では関連がみられなかった一方、UKバイオバンクの研究では統計的に有意でないハザード比1.18、イスラエルの研究では喫煙経験者に限って関連がみられるなど、ばらつきが大きいことも述べられています。
この結果を読むうえでの注意点
著者らは、この解析結果の解釈にはいくつかの制約があると述べています。まず、すべてが観察研究であるため、食事の全体的な質や身体活動量、社会経済的な状況といった他の要因による影響(交絡)を完全には除外できず、特に横断研究では診断を受けたことで食事内容が変わった可能性(逆の因果関係)も否定できないとしています。また、食事の把握はすべて自己申告に基づいており、一部の研究では思い出し法による調査がわずか1〜2日分のデータに基づくため、測定の誤差が生じやすい点も指摘されています。さらに、8件のうち2件は同じUKバイオバンクの参加者データを使っており、完全に独立した集団とは言えないこと、ブラジルの研究では要旨レベルの数値しか確認できなかったことも限界として挙げられています。研究の質を評価するニューカッスル・オットワ・スケールでは8件中7件が「良好」と評価された一方、証拠の確からしさを示すGRADE評価では、主要な関連や量反応関係については「低い」、肝臓内脂肪量や線維化については「非常に低い」と評価されています。加えて、対象は高所得国・中高所得国が中心で、子どもや青年期は対象外とされており、これらの結果を子どもにそのまま当てはめることはできないとも述べられています。
まとめ
今回の解析では、超加工食品の摂取量が多いことと、MASLD(脂肪性肝疾患)のリスクの高さとの間に一貫した関連がみられ、摂取量が多いほどリスクも高まる傾向が複数の研究で示されました。この関連の一部は体重や体格の変化を通じて説明されると考えられていますが、研究はいずれも観察研究であるため、超加工食品の摂取を減らせば脂肪肝を防げると断定できるものではありません。著者らは、これらの結果は仮説を裏づける段階の証拠であるとしたうえで、今後、MASLDの明確な診断基準を用いた前向き研究によるさらなる検証が必要だとしています。
※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。参考文献:Lila Amila, Kurnia Agustina Sitompul, Maretha Primariayu, et al. Association Between Ultra-Processed Food Consumption and Metabolic Dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease (MASLD) in Adults. インターナショナル・ジャーナル・オブ・メディシン・アンド・ヘルス (2026). DOI: 10.55606/ijmh.v5i3.6394. 原著ライセンス: cc-by-sa.