著者の所属・活動拠点の国は、ジンバブエです。

掲載誌:Journal of Food Innovation, Nutrition, and Environmental Sciences

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

十分に活用されていない種子に着目

研究チームは、バオバブ(Adansonia digitata)の種子を焙煎して作る飲料について、採取地域と焙煎温度によって成分や性質がどう変わるかを調べました。バオバブは果肉が利用される一方、種子は捨てられたり、十分に活用されなかったりする資源です。研究は、種子を飲料として利用する際の特徴を比較することを目的としました。

対象は、ジンバブエのマニカランド、マシンゴ、東マショナランドの3地域で採取した種子です。各地域の3地点、計45本の木から果実を集め、種子を150℃、175℃、200℃でそれぞれ30分間焙煎しました。研究チームは、種子粉末の水分や粗繊維、飲料の酸性度や粘り、抽出物の成分と抗酸化活性などを比較しました。

抗酸化に関わる指標は175℃で高い値

著者らの報告では、3地域のいずれでも、総フェノール量、総フラボノイド量、抗酸化活性の指標は175℃で最も高く、200℃では低下しました。フェノール類や、その一群であるフラボノイド類は、植物に含まれる成分です。地域間では、マシンゴの試料が、どの焙煎温度でもこれらの指標で最も高い値を示しました。

抗酸化活性は、DPPHという試薬を使い、反応性の高い物質であるラジカルを抑える働きを測定しました。最も高かったマシンゴの175℃の試料では、阻害率が77.69±3.60%でした。これは実験室で測った抽出物の性質を示す値で、飲んだ人の体内での効果を測ったものではありません。

焙煎温度が高くなると、種子粉末の水分と粗繊維は減り、飲料のpHも下がって酸性側に変化しました。また、分析したすべての試料で、今回の分析条件ではカフェインは検出されませんでした。

成分の特徴と飲みやすさを分けて捉える

175℃で焙煎した試料については、香りや味、口当たりなどの好ましさも9段階で評価しました。総合的な好ましさの平均点は、東マショナランドが7.5点、マシンゴが7.3点、マニカランドが5.7点で、前の2地域はマニカランドより有意に高い評価でした。ただし、官能評価を行ったのは175℃だけなので、飲みやすさに最適な焙煎温度を比較した結果ではありません。

研究チームは、今回調べた条件では、175℃の焙煎が複数の成分指標で良好な値を示したとまとめています。地域による違いも見られましたが、土壌、気候、遺伝的な違いなどの寄与は切り分けていません。今回の研究は、バオバブの種子を飲料にする際、原料の由来と焙煎条件によって、成分や飲み心地が異なることを示しています。

原著論文の著者・所属:Kelvin Magava(Chinhoyi University of Technology)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Kelvin Magava. Comparative Evaluation of Physicochemical and Bioactive Properties of Adansonia digitata Seed Roasted Brew from Selected Zimbabwean Locations and Roasting Conditions. Journal of Food Innovation, Nutrition, and Environmental Sciences 2026-11-04. DOI: 10.70851/jfines.2026.3(4).277.288. 原著ライセンス:CC BY.