この研究は、モロッコの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Bangladesh Journal of Medical Science
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
透析患者の体格と食事を調べる
研究チームは、血液透析を受ける患者の栄養状態や食事内容、健康状態を調べ、肥満とどのように関連しているかを検討しました。透析を受ける日と受けない日の食事を把握することも、研究の目的でした。
対象は、モロッコの3都市で3か月を超えて血液透析を受けている成人200人です。研究は2024年3月から9月に行われ、患者の状態を一定の時期に調べる横断研究として実施されました。
体の構成と食事の摂取量を評価
研究チームは、透析後に身長や体重を測り、体に微弱な電流を流す機器で脂肪、筋肉、水分などの体の構成を推定しました。肥満の有無による比較には、男女別の体脂肪率の基準を用いました。また、質問票で生活背景や病歴を調べ、診療記録から血液検査の結果を集めました。
食事については、食品を食べる頻度に加え、透析日と非透析日それぞれ1日分の食事を思い出してもらい、エネルギーやたんぱく質などの摂取量を推定しました。栄養が足りているかの評価には、体重1キログラム当たり1日30キロカロリー、たんぱく質1.2グラムという必要量の目安を使いました。
肥満と栄養不足が重なるという報告
著者らは、肥満の有無が居住地域、病気の期間、腎臓病の原因と統計的に関連していたと報告しました。一方、性別や教育水準、身体活動、週当たりの透析回数などでは、有意な関連は認められませんでした。体脂肪率で肥満と分類された群は、そうでない群より、身長と体重から求める体格指数のBMIや内臓脂肪が高く、体内水分の割合は低い結果でした。
食事では、透析日と非透析日のどちらでも、エネルギーとたんぱく質の摂取量を必要量に対して分類した結果が、肥満の有無と関連していました。肥満群では、必要量に届かないと分類された患者が多くみられました。ただし、両群の実際の摂取量の平均を比較すると、エネルギーにもたんぱく質にも有意な差はありませんでした。必要量に対する充足度と、食べた量そのものの比較では、異なる結果が報告されています。
血液中のヘモグロビン、カルシウム、リンについては、肥満の有無との有意な関連は認められませんでした。
体格だけでは捉えられない栄養状態
この研究は、透析患者では体脂肪が多くても、推定されたエネルギーやたんぱく質の必要量を満たしているとは限らないことを示しています。横断研究であるため、食事が肥満を引き起こしたという因果関係を示す結果ではありません。著者らは、体の構成、エネルギーとたんぱく質の必要量、水分摂取、食事全体の質を合わせて考える、個別の栄養管理の重要性を強調しています。
著者:Oumayma Laassilia(Natural Resources and Sustainable Development Laboratory, Department of biology, Faculty of Sciences, IBN TOFAIL University, Kenitra, Morocco)、Sara Razzak(Natural Resources and Sustainable Development Laboratory, Department of biology, Faculty of Sciences, IBN TOFAIL University, Kenitra, Morocco)、Samar AL Heteilah(Natural Resources and Sustainable Development Laboratory, Department of biology, Faculty of Sciences, IBN TOFAIL University, Kenitra, Morocco)、Marouane Aouji(Natural Resources and Sustainable Development Laboratory, Department of biology, Faculty of Sciences, IBN TOFAIL University, Kenitra, Morocco)、Badreddine Dahou(Laboratory Health and Biology, Department of biology, Faculty of Sciences, IBN TOFAIL University, IBN TOFAIL University, Kenitra, Morocco)、Amine Rkhaila(Natural Resources and Sustainable Development Laboratory, Department of biology, Faculty of Sciences, IBN TOFAIL University, Kenitra, Morocco)、Samir Bikri(Laboratory of Biotechnology, Agri-food, Materials and Environment, Department of Biology, Faculty of Science and Technology - Mohammedia, Hassan II University, Casablanca, Morocco)、Youness Taboz(Natural Resources and Sustainable Development Laboratory, Department of biology, Faculty of Sciences, IBN TOFAIL University, Kenitra, Morocco)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Oumayma Laassilia, Sara Razzak, Samar AL Heteilah, et al. Nutritional Status, Biochemical Parameters, Dietary Intake, and Factors Associated with Obesity among Hemodialysis Patients in Morocco. Bangladesh Journal of Medical Science 2026-10-02. DOI: 10.3329/bjms.v25i4.93769. 原著ライセンス:CC BY.