掲載誌:International Journal of Nutrology
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
何を明らかにしようとした研究か
心血管疾患は世界の死亡原因の第一位であり、虚血性心疾患、心不全、不整脈、電気信号の伝わり方が乱れる伝導障害などを含みます。著者らは、2022年に世界でおよそ1,980万人の死亡が心血管疾患に関係していたと述べ、人口の高齢化や危険因子の増加が背景にあると説明しています。
この研究の目的は、心臓発作、不整脈、伝導障害に関わる食事面やそのほかの危険因子を洗い出すことと、これらがいつ起きやすいのかという時間帯の傾向をつかむことでした。
どのように調べたか
研究チームは記述的研究として、イラク・キルクーク市にあるキルクーク教育病院とアザディ教育病院の冠疾患集中治療室(CCU)で、医療スタッフにより心疾患と診断された患者1,100人を対象としました。参加者の選び方は、確率に基づかず、協力を得やすい人から集める便宜的抽出法です。
データは2026年2月1日から7月31日までの期間に、面接者が読み上げて回答を記録する形式の質問紙で集められました。質問紙は、人口統計学的な情報(危険因子)、食事の傾向、一日の時間帯別の心疾患の発生、曜日別の心臓関連イベントという4部構成です。項目の適切さは内容妥当性の検討を経ており、質問紙の信頼性は0.81と報告されています。分析には度数や割合といった記述統計に加え、ピアソンのカイ二乗検定、クラメールのV、モンテカルロ検定、適合度検定が用いられました。
報告された主な結果
対象者の背景として最も多かったのは50〜59歳の年齢層で26%を占め、男性が60%、女性が40%でした。既婚者が66%、読み書きができない人が35%、都市部の居住者が75%、家事従事者が40%と報告されています。診断としては狭心症が46%で最も多く、次いで心筋梗塞が40%でした。
食事に関する10項目のうち9項目が、心疾患との関連で統計的に非常に強い関連を示した(p<0.001)と報告されています。ここでの「統計的に強い関連」とは、偶然では説明しにくいほど結びつきがはっきりしていたという意味であり、食事が原因だと直接示したものではありません。
発生の時間帯については、心疾患と不整脈は朝に多く34%を占め、そのうち心筋梗塞の症例が17%でした。夕方から夜間も31%と多く、こちらは狭心症が19%を占めています。曜日別では金曜日が20%、土曜日が18%でした。心臓の状態と発生時刻・曜日との間には、中程度の有意な関連が認められたと述べられています。
この研究が示していること
著者らは、50代、男性、既婚、読み書きができない、都市部在住、家事従事者といった背景に心疾患の危険因子が関わっていたと結論づけています。あわせて、食事の傾向が心疾患・不整脈・伝導障害と強く関連する要因であったこと、発生が朝と夕方から夜にかけて明らかに増えることを報告しています。
この研究は一時点での横断的な調査であり、原因と結果の向きを確かめたものではありません。それでも、患者の生活背景や食習慣、そして症状が現れやすい時間帯にまとまった傾向が見られたという報告は、心臓を診る現場で「誰が」「いつ」注意を要するかを考えるうえでの一つの手がかりになります。
著者:Yaseen Mohammed Mussa、Waleed Ibrahim Saad、Qasim Hussein Mohammed、Hewa Sattar Salih
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Yaseen Mohammed Mussa, Waleed Ibrahim Saad, Qasim Hussein Mohammed, et al. Dietary patterns, risk factors, and time frames of heart attacks, arrhythmias, and conduction disorders: a cross-sectional study. International Journal of Nutrology 2026-09-25. DOI: 10.54448/ijn26s401. 原著ライセンス:CC BY.