掲載誌:Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research)

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

バンレイシ(シュガーアップル、学名Annona squamosa)は熱帯アメリカ原産の果樹で、インドでも広く栽培されています。研究チームは、この葉に植物由来の化学成分が多く含まれ、抗酸化作用をもつ点に着目し、葉を使った機能性ハーブティー(論文では「グリーンティー」と表現)を開発することを目指しました。

抗酸化作用とは、細胞を傷つける原因となる活性酸素などの「酸化させる物質」の働きを抑えたり、遅らせたりする性質のことです。著者らは、葉にどのような成分が含まれるかを確かめ、抽出液の抗酸化作用を測定するとともに、コンピューター上の解析で抗酸化に関わりうる成分の候補を探しました。

何を調べたのか

研究チームは、陰干しして粉末にした葉を、アセトンと水を1対1で混ぜた液で抽出しました。この抽出液について、糖やたんぱく質、アルカロイド、フラボノイドなどの成分の有無を色の変化などで調べる簡易試験を行いました。さらに、ポリフェノールなどを含む植物成分の大きなグループであるフェノール類の総量(総フェノール量)と、フラボノイドの総量を、試薬との反応で生じる色の濃さから測定しました。抗酸化作用は、紫色の試薬(DPPH)が抗酸化物質と反応して色が薄くなる度合いから評価するDPPH法で調べました。

次に、葉の粉末にクローブ、コショウ、カルダモン、シナモンなどの香辛料や、チョウマメ(バタフライピー)、ジャガリー(未精製の砂糖)を組み合わせた4種類のお茶を試作しました。それぞれの抗酸化作用を測ったほか、20〜40歳の25人に、どの材料を使ったかを知らせずに60〜70℃のお茶を飲んでもらい、色や香り、風味、渋み、総合的な好ましさを5段階で評価してもらいました。

さらにコンピューター上の解析として、文献から集めたバンレイシの成分112種類について、細胞を酸化から守る働きに関わるヒトのたんぱく質「ペルオキシレドキシン5」とどの程度結びつきやすいかを予測する「ドッキング」という計算を行いました。結びつきやすいと予測された上位10成分については、体内での吸収や代謝、毒性などをコンピューターで予測する解析(ADMET解析)も行っています。

主な結果

成分の簡易試験では、糖、たんぱく質、アルカロイド、テルペノイド、フラボノイドなどの存在を示す反応が見られました。測定の結果、総フェノール量は試料1グラムあたり没食子酸換算で341.5ミリグラム、総フラボノイド量はケルセチン換算で84.5ミリグラムと報告されています。著者らは、抽出液が量に応じて強まる抗酸化作用を示したとしています。

試作した4種類のお茶の抗酸化作用は78〜80%程度で、クローブを加えたお茶が80.22%と最も高い値でした。一方、飲んだ人の評価ではカルダモンを加えたお茶が最も好まれ、25人全員が「好き」と答えました。ほかのお茶を好んだ人の割合は、シナモン入りが84%、クローブ入りが80%、コショウ入りが76%でした。

コンピューター上の解析では、アルカロイドの一種であるグラウシンが、ペルオキシレドキシン5と最も結びつきやすいと予測されました。グラウシンは、このたんぱく質の働きに関わるとされる部位(システイン47番とアルギニン127番)とも相互作用すると計算されました。ADMET解析については、著者らはグラウシンを毒性の低い抗酸化成分の候補と位置づけています。ただし、グラウシンが実際に抗酸化作用にどの程度関わるかは、今後の研究で確かめる必要があると著者ら自身が述べています。

この研究が示すこと

この研究は、バンレイシの葉が試験管内の測定で抗酸化作用を示すこと、香辛料を加えたお茶として飲みやすい組み合わせがあることを、成分分析と試飲評価の両面から報告したものです。あわせて、コンピューター上の予測によって、抗酸化に関わりうる成分の候補としてグラウシンが挙げられました。抗酸化作用が最も高かったお茶と、最も好まれたお茶が異なっていた点も、飲み物として仕上げる際の手がかりの一つといえます。

原著論文の著者・所属:Satyadev Rentala*1,Ramesh Malothu2,K.Divya3,Sandeep vedanarayana M .S.4

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Satyadev Rentala*1,Ramesh Malothu2,K.Divya3,Sandeep vedanarayana M .S.4. A Comprehensive Formulation Evaluation And Complementary In-Silico Screening Of Anti-Oxidant Activity For Active Phyto-Constituents In Annona Squamosa As Medicinal Beverage(Green Tea). Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research) 2026-07-29. DOI: 10.5281/zenodo.21688539. 原著ライセンス:CC BY.