この研究は、フィンランドの研究機関の研究論文です。

掲載誌:The International Journal of Life Cycle Assessment

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

食品の種類を越えて比較するために

研究チームは、フィンランド市場で販売される食品の環境負荷を、食品の種類を越えて比較できるようにするため、共通の評価指針を開発しました。目指したのは、評価方法をそろえるだけでなく、企業や評価の専門家が利用しやすく、現地の生産条件にも対応できる指針です。

土台となるのは、原料の生産から加工、輸送、消費、廃棄までの環境への影響を調べる「ライフサイクルアセスメント(LCA)」です。欧州の製品環境フットプリント(PEF)には共通の方法と製品分野別のルールがありますが、分野別ルールは基本的に同じ製品カテゴリー内の比較を想定しています。著者らは、異なる食品カテゴリーの評価結果を比べるには、方法の違いを整理する必要があると考えました。

既存ルールの違いを調べ、指針に反映

研究チームは、PEFと食品・飼料に関する分野別ルール、関連する評価指針などを調べ、比較を妨げる違いや曖昧な記述を検討しました。特に取り上げたのは、気候変動、水利用、淡水と海域の富栄養化です。富栄養化とは、窒素やリンなどの栄養分が水域に流れ込み、藻類の増殖などを引き起こすことです。また、生産者、食品企業、行政、研究者、評価の専門家などを交えた5回のワークショップで、方法の使いやすさや必要なデータの入手可能性を検討しました。

検討の結果、食品分野ごとのルールには、評価の基準となる量を重さにするか体積にするか、家庭での調理や保存を含めるか、複数の製品を同時に生産する際の環境負荷をどう分けるか、といった違いが見つかりました。著者らは、こうした違いが評価結果の直接比較を妨げると報告しています。開発した指針では、できるだけ明確な共通の扱いを選び、調理や家庭での保存も評価に含めました。必要な方法や計算に用いる補助データが無料で公開されていることも、選択の優先条件としました。

共通化と地域の実情をどう両立するか

地域の実情を反映するための調整も行われました。例えば、農地の温室効果ガス排出を評価する際には、フィンランドで重要な排出源となる有機質土壌を考慮しました。畜産の排出計算では、利用可能な場合に国別の方法を優先する方針を採用しました。一方、著者らは、国別の方法が地域の条件をより適切に表せても、国どうしの比較では方法がそろわないという課題を認めています。また、バルト海流域の富栄養化については、窒素とリンの両方が関わるため、既存のPEFで推奨されるモデルでは地域の条件を十分に扱えないと指摘しました。

この研究の成果は、特定の食品がどれだけ環境負荷を減らすかという測定結果ではなく、食品の環境情報を評価し、伝えるための共通指針です。論文は、食品の環境負荷を比べるには、数値だけでなく、その数値を算出する範囲や方法をそろえ、地域条件との折り合いを明確にすることが重要だと示しています。

著者:Sanna Hietala(Bioeconomy and Environment, Natural Resources Institute Finland (Luke), Paavo Havaksentie 3, Oulu, FI-90570, Finland)、Hannele Heusala(Bioeconomy and Environment, Natural Resources Institute Finland (Luke), Teknologiakatu 7, Kokkola, 67100, Finland)、Anniina Lehtilä(Bioeconomy and Environment, Natural Resources Institute Finland (Luke), Survontie 9A, Jyväskylä, 40500, Finland)、Ilkka Leinonen(Bioeconomy and Environment, Natural Resources Institute Finland (Luke), Latokartanonkaari 9, Helsinki, 00790, Finland)、Frans Silvenius(Bioeconomy and Environment, Natural Resources Institute Finland (Luke), Latokartanonkaari 9, Helsinki, 00790, Finland)、Kirsi Usva(Bioeconomy and Environment, Natural Resources Institute Finland (Luke), Tietotie 4, Jokioinen, 31600, Finland)、Karetta Vikki(Bioeconomy and Environment, Natural Resources Institute Finland (Luke), Latokartanonkaari 9, Helsinki, 00790, Finland)、Hanna L. Tuomisto(Bioeconomy and Environment, Natural Resources Institute Finland (Luke), Latokartanonkaari 9, Helsinki, 00790, Finland)、Juha‐Matti Katajajuuri(Bioeconomy and Environment, Natural Resources Institute Finland (Luke), Latokartanonkaari 9, Helsinki, 00790, Finland)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Sanna Hietala, Hannele Heusala, Anniina Lehtilä, et al. Development of environmental footprint product category rules for Finnish food sector in alignment with Product Environmental Footprint (PEF) method. The International Journal of Life Cycle Assessment 2026-09-29. DOI: 10.1007/s11367-026-02757-3. 原著ライセンス:CC BY.