著者の所属・活動拠点の国は、インドです。

掲載誌:Asian Food Science Journal

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

ペパーミント(学名 Mentha piperita L.)から得られる精油は、保存する環境や容器の素材によって安定性が大きく左右されるとされています。研究チームは、容器の種類と保存条件の違いによって、ペパーミント精油の物理的・化学的な性質や成分の組成が最長12か月の間にどう変わるかを調べました。

どのように調べたか

研究チームは、2023年7月にインドのウッタル・プラデーシュ州バラバンキで採取したペパーミントの地上部(葉や茎など)を新鮮なまま用い、精油の抽出によく使われるクレベンジャー型の蒸留装置で、水蒸気と水を使った蒸留を6〜8時間行って精油を得ました。

得られた精油を50ミリリットルずつ、プラスチック、アルミニウム、琥珀色のガラスの3種類の小瓶に分けました。それぞれを、室温(27±3℃)、同じ温度の暗所、1℃未満の冷蔵という3つの条件で12か月間保存しました。

評価には、光の偏りの向きを回転させる度合いを示す旋光度、光の曲がり方を示す屈折率、水と比べた重さを示す比重といった物理化学的な指標を用いました。また、成分を分離して種類と割合を調べるガスクロマトグラフィー質量分析(GC–MS)で、精油に含まれる化学成分の組成を分析しました。

主な結果

保存前の精油は、旋光度がマイナス33.03度、屈折率が1.4543、比重が0.8920でした。論文によると、これらの値は保存期間を通じて変化が小さく、冷蔵と琥珀色ガラス瓶で最も安定していました。一方、室温でプラスチック容器に保存した場合は値のずれが大きく、比重は0.8986に達しました。

成分分析では、主成分はl-メントールで、保存前は76.55%を占めていました。室温でプラスチック容器に保存した精油では、この割合が82.69%に上昇しました。一方で、メントンは7.88%から5.72%に減少し、メチルアセテートも2.26%から約1.2%へと大きく減りました。これに対し、イソメントン(約3.2〜3.7%)とネオメントール(約2.2〜2.3%)は比較的安定していました。

著者らは、冷蔵保存と、琥珀色ガラスまたは金属製の容器での保存が、精油の化学的な状態を最もよく保ったと報告しています。

この研究が示すこと

この研究は、同じペパーミント精油でも、どの容器に入れ、どの温度で保存するかによって、1年の間に性質や成分の割合に違いが生じうることを示しています。とくに室温のプラスチック容器では変化が目立ち、冷蔵や琥珀色ガラス、金属容器では品質が保たれやすかったという報告は、精油を保管する際に容器と保存条件を考える手がかりになります。

原著論文の著者・所属:Vimal Kumar(Department of Chemistry, C.M.P. Degree College, University of Allahabad, Prayagraj, Uttar Pradesh, India)、Pratima Bharti(Department of Chemistry, C.M.P. Degree College, University of Allahabad, Prayagraj, Uttar Pradesh, India)、Sunil Kumar Yadav(SRM Institute of Science and Technology, Delhi-NCR Campus, Modinagar, Ghaziabad, Uttar Pradesh, India)、Ashok Kumar Ranjan(SRM Institute of Science and Technology, Delhi-NCR Campus, Modinagar, Ghaziabad, Uttar Pradesh, India)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Vimal Kumar, Pratima Bharti, Sunil Kumar Yadav, et al. Physicochemical Stability of Peppermint Essential Oil under Variable Storage and Packaging Systems. Asian Food Science Journal 2026-09-24. DOI: 10.9734/afsj/2026/v25i10922. 原著ライセンス:CC BY.