この研究は、イギリス、オーストラリアの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Food Quality and Preference

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

漁で目的の魚以外に網に入る「混獲」の魚には、市場価値が低いために廃棄されてしまう種類が少なくありません。こうした魚は「未利用魚」と呼ばれ、多くの漁業で廃棄が続いていることが課題となっています。

研究チームは、この未利用魚を地域で共同開発・製造したフィッシュフィンガー(魚のすり身などを棒状に成形した加工食品)に仕立てた場合、消費者がそれをどのように評価するのかを調べました。地元で調達された未利用魚を原料とする製品が、消費者にとって価値のあるものとして受け入れられるのかどうかを確かめることが狙いです。

調べ方

著者らは「離散選択実験」という手法を用いました。これは、価格や特徴の組み合わせが異なる複数の選択肢を回答者に示し、どれを選ぶかを繰り返し尋ねることで、各特徴がどれだけ重視されているかを読み取る調査方法です。

この研究の新しい点として、英国のプリマス、ロウストフト、グリムズビーという三つの港に由来する三種類のフィッシュフィンガーを対象に比較した点が挙げられます。また、この製品の設計・開発に特有の性質をとらえるため、独自に設定した属性(製品の特徴の項目)の組み合わせを実験に用いています。

主な報告結果

論文によれば、実験で扱ったすべての属性が消費者から肯定的に評価されました。なかでも最も高く評価されたのは、魚が持続可能な方法で漁獲されているという点でした。

一方、製品のゆかりのある土地までの距離は、消費者の評価に実質的な影響を与えていませんでした。また、三つの港に由来する製品を比べても、全体として違いは限られていたと報告されています。

著者らはこれらの結果から、市場での取り扱いが歴史的に少なかった魚種を使った水産加工品では、持続可能性に関する情報が需要を動かす主たる要因であり、地域性を示す手がかりは価値を付け加えるものの、持続可能性の代わりになるものではないと述べています。

この研究が示すこと

未利用魚の廃棄は多くの漁業で依然として大きな問題です。この研究は、そうした魚を使った製品を市場に根づかせようとするとき、どの情報を消費者に伝えることが鍵になるのかについて、実際の選択行動にもとづく手がかりを示しています。著者らは、こうした知見が未利用魚の廃棄を減らす取り組みに役立ちうると位置づけています。

著者:Jessica Bosseaux(University of Reading, United Kingdom)、Kelvin Balcombe(University of Reading, United Kingdom)、Iain Fraser(Adelaide University, Australia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Jessica Bosseaux, Kelvin Balcombe, Iain Fraser. Creating markets for under-utilised fish species: Consumer valuation of a co-created fish finger. Food Quality and Preference 2026-09-08. DOI: 10.1016/j.foodqual.2026.106084. 原著ライセンス:CC BY.