著者の所属・活動拠点の国は、トルコです。

掲載誌:Frontiers in Pediatrics

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

家族性地中海熱(FMF)は、発熱や腹部・胸部の痛みなどの発作を繰り返す遺伝性の炎症性疾患です。発作は自然に治まる一過性のものですが、発作のない時期にも目立たない炎症が続くことがあると知られています。原因はMEFVという遺伝子の変異で、なかでもM694Vと呼ばれる変異を両方の染色体に持つ場合は重症になりやすいと報告されてきました。

一方で、病気の現れ方の個人差は遺伝子だけでは説明しきれず、食事などの生活習慣が関わる可能性も考えられています。ただし、これまでの研究は主に大人を対象としたものや、特定の食べ物の好みだけを調べたものが中心でした。研究チームは、野菜・果物・豆類・全粒穀物・ナッツ・オリーブ油・魚を多くとる「地中海食」に子どもがどの程度沿った食生活をしているかに着目しました。主な目的は、それが過去1年間の発作回数と関係するかを調べることです。あわせて、病気の重症度、症状、炎症の指標との関係も検討しました。

何を調べたか

対象は、FMFと診断された7〜18歳の患者91人です。全員が少なくとも2週間発作のない安定した時期に評価を受け、全員が標準的な治療薬コルヒチンを服用していました。この研究は、ある一時点の状態を調べる横断研究で、1つの医療機関で行われました。

食生活は2種類の質問票で評価しました。1つは、地中海食への取り組みを点数化する子ども向け質問票(KIDMED)です。点数に応じて「非常に低い」「改善が必要」「良好」の3群に分けました。もう1つは、脂肪や塩分の量が異なる2つの食品の絵からどちらを選ぶかを答える質問票(FBS)です。こちらは、より健康的な選択が多い群と少ない群の2群に分けました。そのうえで、発作回数、重症度、体格指数(BMI)、症状、白血球数や炎症の指標であるCRPなどを群の間で比べました。

主な結果

著者らによると、地中海食への取り組みの度合いも、食品選択の傾向も、発作回数や病気の重症度とは関連していませんでした。主な目的とした問いについては、はっきりした関係は見られなかったことになります。

一方、探索的な分析では、いくつかの違いが報告されています。食品選択が健康的でない群では、運動時の脚の痛みを訴える子どもの割合が高く(61.7%対38.6%)、BMIも高くなっていました(平均20.5対18.3)。白血球数は地中海食の3群全体で比べると差がありましたが、群どうしを個別に比べると統計的に意味のある差は残りませんでした。CRPには、どちらの質問票でも差がありませんでした。

遺伝子の面では、地中海食への取り組みが良好な群ほどM694V変異を持つ子どもの割合が高い傾向が見られました。著者らは、遺伝子は生まれつきのもので食事によって変わらないため、これを食事の効果と解釈すべきではないとしています。偶然の偏りや、家庭環境など測定していない要因を反映している可能性を挙げています。また、M694V変異を両方の染色体に持つことは、重症であることやコルヒチンが効きにくいことと強く関連していました。

研究が示すこと

この研究では、FMFの子どもにおいて、地中海食への取り組みや食品選択の傾向が発作の多さや重症度と結びつく様子は見られませんでした。BMIや脚の痛み、白血球数との関連は、一時点の調査で、多数の比較を補正せずに行った探索的な結果です。著者らは、これらは仮説の手がかりにとどまり、食事が症状や炎症を左右するという因果関係を示すものではないと強調しています。あわせて、食事と病気の関係を考える際には、子どもの遺伝的な背景を考慮することの大切さも示されました。

原著論文の著者・所属:Hande Ilgaz Tüzen(Department of Pediatric Rheumatology, Izmir City Hospital, Izmir, Türkiye)、Tuncay Aydın(Department of Pediatric Rheumatology, Atatürk University Faculty of Medicine)、Zehra Kızıldağ(Department of Pediatric Rheumatology, Trakya University Faculty of Medicine)、Rana İşgüder(Department of Pediatric Rheumatology, Adana City Hospital)、Rüya Torun(Department of Pediatric Rheumatology, Dokuz Eylül University Faculty of Medicine)、Erbil Ünsal(Department of Pediatric Rheumatology, Dokuz Eylül University Faculty of Medicine)、Balahan Bora(Department of Pediatric Rheumatology, Dokuz Eylül University Faculty of Medicine)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Hande Ilgaz Tüzen, Tuncay Aydın, Zehra Kızıldağ, et al. Mediterranean diet adherence in pediatric familial Mediterranean fever: clinical and inflammatory correlates. Frontiers in Pediatrics 2026-08-11. DOI: 10.3389/fped.2026.1917680. 原著ライセンス:CC BY.