維持期の成犬を対象とした犬用ミルクおよびCa源、Zn源サプリメントを活用した手作り食レシピの計算値と実測値の比較
J-STAGE 収録論文(日本)
維持期の成犬を対象とした手作り食として、日本食品標準成分表から選定した食品を使用した。さらに、手作り食で不足しがちなCaおよびZnを補うために、犬用ミルク、サプリメントを添加し、AAFCO養分基準(2016年版)を満たす手作り食レシピを3種類作成し、栄養素量の計算値、実際の調理後の実測値、AAFCO養分基準の比較を行った。すべてのレシピのCa、Znの実測値において、AAFCO養分基準を満たすことができた。その他の栄養素においては、1種類のレシピのみ、ヒト用食材の選定や調理方法によるレチノール、K、Iの過不足が生じたため、すべての栄養素のAAFCO養分基準を満たしたレシピは2種類のみであった。これらのことから、犬用ミルクおよびサプリメントは犬の手作り食において栄養素を安定的に補うことができる有用な食材であることが示唆された。
掲載日: 2025年07月10日
/ 収集: 2026年05月26日 19:00
市販の弁当に含まれる野菜等食材の特徴
J-STAGE 収録論文(日本)
【目的】市販の弁当の野菜量増加に向け,市販の弁当に含まれる野菜等重量(野菜類,海藻類,きのこ類,いも類の総重量)を調査し,出現頻度の多い野菜等食材と,その調理法を検討した。 【方法】横浜市内の食品関連事業者が販売する一般の弁当94食と,「健康な食事・食環境」認証制度で認証を受けたスマートミールの弁当94食を対象とした。一般の弁当に含まれる野菜等重量を計量し,野菜等重量の四分位値で4群に分け,価格,栄養素等量をKruskal-Wallis検定を用いて比較した。スマートミールの弁当は,事業者が提出したデータから野菜等重量の情報を収集した。一般の弁当,スマートミールの弁当それぞれで野菜等食材の種類,調理法を記述統計でまとめた。 【結果】一般の弁当の野菜等重量の中央値は 29 g/食で,スマートミールの基準である 140 g以上に合致する弁当は無かった。野菜等重量4群では価格に差がみられ( p <0.001),野菜等重量が多い群は価格が高かった。野菜等食材では,一般の弁当とスマートミールの弁当に共通して根菜類の出現頻度が高かった。調理法では,一般の弁当では漬物の出現頻度が最も高かったが,スマートミールの弁当では低かった。 【結論】一般の弁当でスマートミールの野菜等重量の基準を満たす弁当は無く,野菜等重量が多い弁当の価格が高かった。出現頻度が最も多かった野菜等食材は根菜類,調理法は漬物であった。
掲載日: 2025年07月10日
/ 収集: 2026年05月26日 19:00
老人クラブ会員に対する情報提供が口腔機能や食事摂取状況にもたらす効果
J-STAGE 収録論文(日本)
目的: 老人クラブ会員に対して口腔機能および栄養に関する情報を定期的に提供することで,自発的な健康行動を促し,口腔機能や食事摂取状況に与える影響を検証した. 対象および方法: 半年に1度,老人クラブ会員を対象に口腔機能や栄養に関する情報提供を行ってきた.本研究では,2022年3月と2024年2月の測定イベントに参加した60名を対象とした.オーラルフレイル(OF)の認知度,OFの危険性,口腔体操実施,舌圧,を前後比較した.また,口腔機能を維持または改善した群と危険性が高まった群に分類してOFの危険性に関連する因子を抽出した.食事摂取状況は食物摂取頻度調査により17食品群と23栄養素等摂取量を前後比較した.有意水準はいずれも5%未満(両側)とした. 結果: 対象者は男性36名,女性24名であり,年齢78.0±4.2歳,BMI 23.8±2.7 kg/m 2 で男女間に有意差は認められなかった.前後比較では,OFの危険性区分に有意差は認められなかったものの( p =0.359),OFの認知度が40%から98%( p <0.001),口腔体操の行動群の割合が13%から40%( p =0.002),舌圧が31.6±7.2 kPaから33.1±7.3 kPa( p =0.020)に有意な増加をした.また,OFの危険性に年齢区分および本イベントへの参加回数が関連していた.一方,16の食品群または栄養素で有意な増減が認められ,食事摂取状況の明らかな改善効果は認められなかった. 結論: 老人クラブ所属の比較的健康意識の高い集団に情報提供をすることで口腔機能は改善されたが,食事摂取状況の改善効果は確認できなかった.情報提供のみで自発的な健康行動を促す際,日常生活に口腔体操等を取り入れるよりも日常的な食習慣を変更することの難しさが示唆された.
掲載日: 2025年06月30日
/ 収集: 2026年05月26日 19:00
山陽小野田市に在住する前期高齢者における社会的ADLと食生活及び健康状態との関連について:3年後の追跡調査を通して
J-STAGE 収録論文(日本)
前報では,山口県山陽小野田市に在住する65歳から74歳の高齢者を対象とした食生活,栄養状態,身体機能,認知機能に関する2020年度実態調査 1) を行った.本研究の目的は,3年後の追跡調査として,2020年度以降の社会的ADLの変化が,3年後の前期高齢者の食生活や健康状態とどのように関連するのかを明らかにすることである. 対象者は,2020年度に引き続き2023年度に山陽小野田市が実施した集団健診で特定健康診査(以下「特定健診」という.)を受けた前期高齢者49人であり,基本情報と主観的健康感,健康に関する意識調査,栄養調査,特定健診結果(血圧,血液検査など)の経年変化を,社会的活動の状況別で吟味した. その結果,(1)2020年度と比較して,2023年度では,社会的ADL指標が満点の人が51.0%から61.2%と10.2%増加した.(2)社会的ADLと主観的健康感には相関関係があった.(3)社会的活動良好群は不良群と比較して,健康意識が高く,栄養素や食品摂取量の増加が見られたが,血液データは社会的活動良好群不良群ともに検査数値が悪化していた. 社会的活動に積極的な人は,主観的健康感や健康に対する意識が高く,栄養素や食品摂取量が増加していた.高齢者の低栄養を予防し,健康の維持増進のために社会的活動の必要性が示唆された.
掲載日: 2025年06月09日
/ 収集: 2026年05月26日 19:00
栄養政策・公衆栄養学のための人間栄養学研究の在り方:栄養素と疾患(健康)の縦糸・横糸関係をどう考えるべきか?
J-STAGE 収録論文(日本)
昨今の「日本人の食事摂取基準」 (以下, 食事摂取基準) では, 不足, 過剰摂取による健康障害の回避のみならず, 食事が関係する疾患 (生活習慣病) 予防の重要性が高まっている。このため, 今回国内で作成された診療ガイドライン内に食事・食品・栄養素摂取量など栄養関連の記載がどの程度含まれ, どのような記載があるかを網羅的に収集した。国内の診療ガイドラインの食事等に関連する記載を収集した結果, 定量的な値が記載されているガイドラインは少数であり, 定量的な値の記載に資する日本人における研究の促進とガイドライン作成時の定量性の検討が望まれる。また, 異なる疾患において共通の栄養素の記載が認められたことから, ガイドライン作成者間での情報共有を実施し, 連携してガイドラインを作成することを可能とする体制の構築も望まれる。食事摂取基準と診療ガイドラインが栄養素や食事の観点から双方向に向上するような連携が行われることで研究とエビデンス構築がさらに進展することが期待される。
掲載日: 2025年02月20日
/ 収集: 2026年05月26日 19:00
スイーツによる鉄分摂取量の増加に関する研究
J-STAGE 収録論文(日本)
【目的】日本の若年女性においては、月経やダイエットの影響により鉄摂取量が不足し、貧血の罹患率が高いことが課題となっている。本研究では、鉄を多く含み、かつ吸収率の高いヘム鉄を豊富に含有する「レバー」に着目し、日常的に手軽に摂取できるスイーツとしての活用可能性を検討した。 【方法】女子大学生を対象に、鉄に対する認識および鉄を多く含む食品に関する知識についてアンケート調査を実施し、203名から回答を得た。その結果、鉄の重要性を認識している学生は多いものの、具体的な摂取方法や鉄含有食品に関する知識が不足していることが明らかとなった。また、鉄を多く含む食品としては、レバー、ほうれん草、大豆の順に認知度が高かった。そこで、最も認知度の高かったレバーを活用し、手軽でおいしく摂取できるスイーツとして「レバー入りココアクッキー(鉄分UPクッキー)」を開発し、対照として「普通のクッキー」と比較する形で試食を伴うアンケート調査を実施した。 【結果・考察】アンケートの結果、鉄分UPクッキーは、味、調理の手軽さ、意外性、栄養価の各項目において高い評価を得た。レバーは栄養価に優れる一方で、独特な匂いや食感により敬遠される傾向があるが、本研究においてはこれらを抑える工夫が奏功し、間食としての受容性が示された。これにより、鉄分UPクッキーは若年女性の鉄不足対策に有効な食品であり、鉄を手軽に補える新たな選択肢となる可能性が示唆された。一方で、レバーはビタミンA(レチノール)を多く含むため、過剰摂取には注意が必要であり、特に妊娠中の女性への提供には十分な配慮が求められる。
掲載日: 2025年08月30日
/ 収集: 2026年05月26日 17:00
亜熱帯生物代謝産物による抗酸化作用とNrf2調節による酸化ストレスの制御
J-STAGE 収録論文(日本)
酸化ストレスは、体内酸化で生じる活性酸素種(ROS, Reactive Oxygen Species)と血管拡張、神経伝達、免疫の生理活性分子NOから生じる活性窒素種(RNS, Reactive Nitrogen Species)の過剰産生で起こり、抗酸化代謝バランスを崩し、炎症性疾患や代謝性疾患などを引き起こす。この酸化ストレスや化学物質に応答する転写因子Nrf2は、ARE(抗酸化応答遺伝子エレメント)領域の抗酸化酵素、薬物の解毒、脂質や糖代謝遺伝子を発現させて、疾患の予防に働く。本シンポジウムでは、生物多様性に富む亜熱帯地域の生物代謝産物から見出したROS/RNS阻害剤やNrf2調節因子に関する研究事例と、現在進めているNrf2制御物質と抗ウイルス活性に関する研究などを紹介する。沖縄の伝統食素材のカンショ葉( Ipomoea batatas L )には抗酸化活性の高いカフェオイルキナ酸誘導体が含まれ、RNS抑制による抗炎症作用や大腸癌の発生機序Wnt-β/カテニンシグナルの転写因子Tcfの阻害や血流改善をする。ドラゴンフルーツ( Hylocereus costaricensis )から単離、調製した色素成分のベタシアニン類は、ペルオキシラジカル捕捉による抗酸化活性及びNOの直接補足によるRNSの抑制を示した。沖縄の伝承薬用野菜のボタンボウフウ( Peucedanum japonicum , 呼称:長命草)から分離したプテリキシンは核内に移行して、HO-1、GCLC、SOD1、Trxr1の抗酸化タンパク質発現を亢進させた。褐藻類のもずく ( Nemacystus decipiens ) などに含まれる海洋性カロテノイドのフコキサンチンとその腸管代謝物フコキサンチノールに抗炎症作用、抗腫瘍活性及びNrf2活性作用を見出した。ソフトコーラル( Sinularia sp.)から分離したperoxy sesquiterpenoidsの代謝で生じるROSは、大腸癌細胞のアポトーシス死の誘導及びがん細胞に高発現するNrf2阻害による抗腫瘍活性を示した。現在、継続してがん細胞の薬物耐性に働くNrf2活性阻害による抗腫瘍活性物質を探索している。
掲載日: 2025年10月31日
/ 収集: 2026年05月26日 14:00
紅茶の抗酸化活性に及ぼす水の硬度の影響
J-STAGE 収録論文(日本)
【目的】発酵茶である紅茶では、カテキン類が重合してテアフラビン類などに変化し、紅茶の色調の元になるとともに、茶の抗酸化活性を担う主要な成分となる。日本とは異なり、欧米では一般により硬度の高い水で飲用される。本研究では、硬度の異なる水で抽出した紅茶の抗酸化活性を比較し、その影響を調べることを目的とした。抽出後時間を経ることで抗酸化活性がどのように変化するかも調べる。 【方法】紅茶はティーバッグの茶葉を用いた。抽出にはエビアンをイオン交換水で希釈して調製した0mg/L~300mg/Lの水および、コントレックスより調製した500mg/L~1500mg/Lの水を用いた。沸騰した水を、茶葉2gに100mL注ぎ、3分静置後の上清について、SOD Assay Kit-WST(同仁化学研究所)を用いて抗酸化活性を測定した。また、採取した上清を静置し時間経過の影響を調べた。比較対照として緑茶についても分析を行った。 【結果】0mg/L~300mg/Lの水では、硬度が上昇するにしたがって、紅茶の抗酸化活性は高い値を示した。また、500mg/L~1500mg/Lで比較した場合も同様の傾向が得られた。抽出後7時間静置後も硬度の影響は維持された。1000~1500mg/Lの水で抽出した紅茶は、静置前よりも抗酸化活性が上昇した。一方で緑茶では、0mg/L~300mg/Lの水では差がなかった。 【考察】水の硬度が飲食物の調理に及ぼす影響は、肉や野菜、だしで調査されている。世界中で広く飲用される紅茶においても、水の硬度により抗酸化活性が異なることが示唆された。CaやMgがカテキン類の重合を促し、抗酸化活性を上昇させている可能性が考えられる。
掲載日: 2025年08月30日
/ 収集: 2026年05月26日 14:00
千葉県産野菜の抗酸化能
J-STAGE 収録論文(日本)
(緒言) 酸素は好気呼吸を行う生物にとって不可欠な分子である.また,酸素は好気呼吸の一部である電子伝達系の過程において副産物として発生する活性酸素種の生成に関わる.過剰な活性酸素は,細胞内の脂質やたんぱく質,DNAなどを酸化することで細胞に障害を与えるとされている. 活性酸素種は食品に含まれるビタミン類やポリフェノール類のような抗酸化物質の摂取により消去され,これに伴い酸化ストレスを提言するとされている.本研究は千葉県産の野菜としてカブを使用し,生理学的抗酸化能(BAP)と抗酸化能に関わるとされるビタミンであるビタミンCを測定した.本研究の目的は持続的な抗酸化物質の摂取のために野菜の皮の抗酸化的な価値を示すことである. (研究方法) (1)材料 カブは千葉県内の農場で測定の前日に収穫されたカブ品種‘ゆきわらし’を用いた.ゆきわらしは2023年の5~6月および11~12月及び2024年の5月に収穫された3玉サイズと5玉サイズの物を用いた.試料として用いたカブは全て同一の農場から得られた物である. (2)BAPの測定 BAP測定のサンプルはカブの葉・茎を完全に除去し,中心から半分に切断して片側を皮むき,もう片側を皮つきのサンプルとして扱った.皮をむいた,あるいは皮がついたままのカブを所定の重量に測り取り,蒸留水と一緒にミキサーにかけ,遠心後の野菜液をろ過して得られた抽出液をサンプルとして使用し,フリーラジカル解析装置Free carpe diem(Diacron International社)とBAPの測定キットを用い,常法に従って測定した. (3)ビタミンCの測定 日本食品センターにHPLCによるビタミンC(総ビタミンC,酸化型ビタミンC,還元型ビタミンC)の測定を依頼した.送付したカブは3玉サイズの個体で,測定の際はBAPの測定と同様に,葉・茎を完全に除去し,中心から半分に切断して片側を皮むき,もう片側を皮つきのサンプルとして扱った. (結果) (1)皮の有無による比較 皮むきと皮つきのカブを比較したところ,1パーセント水準で有意差があった. (2)季節による比較 5~6月および11~12月の2群に分けて比較をしたが平均に大きな差は見られず,有意差は無かった. (3)サイズによる比較 3玉サイズおよび5玉サイズ2群に分けて比較をした,皮むきの群において平均値に若干の差が見られたが,有意差は無かった. (4)ゆきわらしのビタミンC量 5~6月及び11~12月に収穫された3玉サイズのカブ,計4点のビタミンC量を皮むき,皮つきそれぞれHPLCによって分析した結果,皮つきの方がわずかに高い値になった. (考察) 皮むきと皮つきカブのBAP値は平均して約1割程度皮つきの方が高い結果となったことから,カブの皮は果肉と比較して多くの抗酸化物質を含むことが示唆された.また,ビタミンCはカブに含まれる抗酸化成分として重要と思われたが,測定によって得られたビタミンC量はBAP値と比較して少量であった.このため,カブの抗酸化能はビタミン類ではなくポリフェノール類が強く影響すると考えられる.ヒトは呼吸による生命活動の副産物として活性酸素種を生成するため,日常的かつ持続的な抗酸化成分の摂取は必須である.今回食品としてカブを取り扱ったが大根や人参のような皮ごと食べることができる野菜も同様の傾向を示す可能性がある.これらの日常的に利用される野菜の皮の栄養学的あるいは美味しさによる利用価値を示すことは日常的かつ持続的な抗酸化成分の摂取に寄与すると考える. (研究成果の公表) (
掲載日: 2025年06月07日
/ 収集: 2026年05月26日 14:00
緑茶カテキン代謝物の形質細胞様樹状細胞に対する影響
J-STAGE 収録論文(日本)
緑茶は,ツバキ科植物チャノキ( Camellia sinensis )の葉を非発酵のまま加熱処理して製した飲料であり,日本を中心に世界で広く消費されている.緑茶摂取とインフルエンザをはじめとするウイルス感染症との関連について,これまで多数の報告がなされてきた.この緑茶の成分としてポリフェノールの一種であるカテキンが知られているが,体内に直接吸収される量は少なく,経口摂取された大部分は腸内細菌の働きによって分解された後体内に吸収される.特に,緑茶の主要カテキンであるエピガロカテキンガレート(epigallocatechin gallate: EGCG)は,腸内細菌によって5-(3', 5'-ジヒドロキシフェニル)-γ-バレロラクトン(EGC-M5)へ代謝されることが知られている.本稿では,EGC-M5の免疫系に対する薬理活性に焦点をあてたKumazoeらの研究を紹介する. なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである. 1) Kohri T. et al ., J. Agric. Food Chem ., 49 , 4102-4112(2001). 2) Takagaki A., Nanjo F., J. Agric. Food Chem ., 58 , 1313-1321(2010). 3) Kumazoe M. et al ., J. Nat. Med ., 79 , 1057-1066(2025). 4) Kim Y. H. et al ., J. Agric. Food Chem ., 64 , 3591-3597(2016). 5) Sasaki K. et al ., Planta Med ., 37 , 370-378(1979).
掲載日: 2026年05月01日
/ 収集: 2026年05月26日 13:00
緑茶と紅茶の浸出液がレシチンの乳化作用に及ぼす影響
J-STAGE 収録論文(日本)
本研究では, 口腔内の油脂感を低減させる「お口直し」として知られる茶の乳化作用と, 油脂含量の多い食品に含まれるレシチンの乳化作用に及ぼす茶の影響を調査した. 茶試料は緑茶(Green tea: GT)および紅茶(Black tea: BT)のティーバッグからの熱湯浸出液と, それらを酵素的に脱ガロイル化処理した茶試料(GTt, BTt)を使用した. いずれの茶試料も,大豆油に対する界面張力は水に比べて低く,油と混合後の乳化油脂量は水より多かったことから乳化作用を有することが確認された. 一方で,レシチン共存下で油と混合・撹拌したところ, GTとGTtの乳化油脂量は水に比べて有意に増加し,レシチンの乳化作用を促進することが明らかとなった.顕微鏡による観察で, GT系試料は微細な油滴を多く含んでいたのに対し,BT系試料では油滴の粗大化と褐色の凝集物が確認され,乳化状態が不安定であることが示唆された.ポリフェノールを除去したGTtとGTtのペクチン画分, カテキン類, 没食子酸, カフェインの標準品水溶液は,レシチンによる乳化に対して促進作用を示さなかった. これらの結果から,茶自体の乳化作用に加えて,緑茶ではレシチンによる乳化を促進する主要成分以外のポリフェノール化合物が口腔内油脂感の低減に寄与する可能性が示唆された.
掲載日: 2026年04月16日
/ 収集: 2026年05月26日 13:00
カテキン摂取による2型糖尿病ラットの血中アディポネクチンと腎組織への影響
J-STAGE 収録論文(日本)
(緒言) 令和元年国民健康・栄養調査によると,男性の33.0%,女性の22.3%が肥満者であり,糖尿病が強く疑われる者の割合は,男性19.7%,女性10.8%で健康問題となっており,糖尿病性腎症を起こすことに繋がる.日本透析医学会の令和2年度の統計では,透析患者数は347,671人に達し,糖尿病性腎症が最も多く40.7%を占めている.この問題を解決するために,抗酸化作用や内臓脂肪蓄積量の減少などを有するポリフェノールのフラボノイド系のカテキンに注目した.近年では,緑茶と緑茶に含まれる主要なカテキンであるエピガロカテキンガレートが,脂質の代謝調節やインスリンシグナル伝達系の改善に有用であることは示されている.今回の実験では,肥満2型糖尿病モデルラットにカテキンを摂取した際,血中アディポネクチンや腎臓の組織に与える影響などを調べることを目的とした. (研究方法) 5週齢♂SDT fatty/Jclラットを用いて,4週間実験飼料を投与した.実験飼料には,AIN-93組成に準じた基礎飼料をControl群とし,2.5%カテキン添加した群をCatechin群とした.カテキンは(株)DHCの有機粉末緑茶を用いた.各群6匹ずつとし,飼料と水は自由摂取とした.実験投与終了後,体重増加量,飼料摂取量,肝臓重量,腎臓重量,後腹壁脂肪重量,肝臓脂質濃度,血清アディポネクチン,レプチン,インスリン,グルカゴン,抗酸化力(BAP),酸化ストレス度(d-ROMs)などの測定を行った.肝臓脂質濃度は,クロロホルム:メタノール(2:1)溶液で抽出後,酵素法キットを用いて測定,サイトカインやホルモンに関しては,ELIZA法を用いて測定,BAPとd-ROMsに関しては,ウィスマー社のフリーラジカル解析装置FREEを用いて測定を行った.また,腎臓の組織に関して,摘出後10%ホルマリン固定液に浸漬し,脱水,透徹,包埋し,小型滑走式ミクロトームESM-150Sで薄切した.腎臓の切片はPAS(Periodic Acid Schiff)染色を行い,光学顕微鏡(オリンパスDP22)を用いて観察を行った. データは,平均±標準誤差(n=6)で表した.統系処理は,PASW Statistics20を用い,群間の比較をStudentのt-testにより行った.検定の結果は,危険率5%未満を有意と判定した. (結果) 終体重,総飼料摂取量,肝臓及び腎臓重量において,群間における差はなかった.後腹壁脂肪重量は,Control群よりCatechin群で有意(p<0.01)に低値を示した.酸化ストレス,肝臓のトリグリセリド濃度,インスリン濃度は,Control群よりCatechin群で有意(p<0.05)に低値を示した.抗酸化力,肝臓のコレステロール濃度,アディポネクチン濃度,レプチン濃度,グルカゴン濃度で群間における差は見られなかった.腎臓の組織観察において,Control群では,メサンギウム領域が毛細血管腔より大きくなり,糸球体が分葉化していた.ボウマン嚢の基底膜もやや肥厚しており,二重になっている箇所があった.Catechin群では,メサンギウム領域が毛細血管とほぼ同等になった.糸球体はほぼ正常の大きさで,メサンギウム細胞と基質の増加も,ほとんど見られなかった.また,一部はボウマン嚢の基底膜がやや肥厚しているようにみえた. (考察) 終体重,総飼料摂取量に差がなかったことから,成長は同様にしたと考えられる.後腹壁脂肪重量,酸化ストレスが,Control群よりCatechin群で有意に低値を示したのは,
掲載日: 2025年06月07日
/ 収集: 2026年05月26日 13:00
腸内マイクロバイオータ代謝物による消化管ホルモン分泌制御機構
J-STAGE 収録論文(日本)
グルカゴン様ペプチド-1(Glucagon-like peptide-1: GLP-1)は,腸内分泌L細胞から分泌される消化管ホルモンである。消化管内の栄養素がL細胞を刺激することでGLP-1が分泌され,血糖値の調節や食欲の抑制に寄与する。さらに,消化管内に生息する腸内マイクロバイオータは,摂取された栄養素を基質として多様な代謝物を産生し,消化管の管腔内に放出する。これら腸内マイクロバイオータ由来の代謝物もまたL細胞を活性化し,GLP-1分泌に影響を及ぼすことが明らかになってきた。 本稿では,腸内マイクロバイオータ代謝物のうち,大豆イソフラボン由来のS-エクオール,二次胆汁酸であるデオキシコール酸,および胆汁酸の脱抱合により生じるタウリンがL細胞に及ぼす作用とGLP-1分泌への影響について解説する。これらの代謝物は,L細胞に発現するGタンパク質共役型受容体やトランスポーターを介してL細胞を活性化し,GLP-1分泌を促進することが示されている。さらに,GLP-1分泌を促進する腸内マイクロバイオータ代謝物として最もよく知られる短鎖脂肪酸についても概説する。短鎖脂肪酸はL細胞のGタンパク質共役型受容体を活性化しGLP-1分泌を促進すると報告されてきたが,我々はL細胞周辺の微小環境によっては短鎖脂肪酸がむしろGLP-1分泌を減弱させることを明らかにした。これらの知見は,食事由来成分と腸内マイクロバイオータ代謝物がL細胞を介して宿主代謝に影響を及ぼすという,食事-腸内マイクロバイオータ-内分泌応答の密接な連関を理解するうえで重要な示唆を与える。
掲載日: 2026年05月02日
/ 収集: 2026年05月26日 12:00
エクオールは侵害受容性の小型神経細胞の興奮性を抑制する
J-STAGE 収録論文(日本)
大豆イソフラボンの代謝産物であるエクオールが,メノポハンドの疼痛を緩和させるという報告が散見されるが,未だその除痛機序は不明である.本研究では,ラット後根神経節の小型神経細胞にホールセル・パッチクランプを行ない,エクオールの疼痛抑制機序を調査した.Voltage clamp 法では,エクオール投与により,痛みを伝達する無髄C 線維を持つ小型神経細胞の内向きナトリウム電流が有意に抑制された.また,current clamp 法では,エクオール投与により,小型神経細胞の静止膜電位が有意に低下し,活動電位の発火閾値が有意に上昇した.また,外向きカリウム電流の部分的な抑制が見られたが,input resistance やrheobase には有意差がなかった.本研究から,エクオールは小型の感覚神経細胞に対して抑制性の作用を有することが示された.電位依存性ナトリウムチャネルへの直接的な作用に加え,GPR30 等のG タンパク共役型受容体等も関与して抑制作用を示している可能性がある.
掲載日: 2025年12月08日
/ 収集: 2026年05月26日 12:00
疫学研究から考える食と女性の健康
J-STAGE 収録論文(日本)
疫学研究とは地域社会や特定の人間集団を対象として,病気の発症状況などの健康に関する事柄の頻度や分布を調査し,その要因を明らかにする医学研究である 1,2) 。 疫学研究から得られた情報は疾病予防のための戦略を計画・評価することや,疾病発症後の患者の治療計画などに利活用される。これまでにも,疫学研究に基づき食事と健康との関連について多数の報告がなされてきた。そのひとつに,食事が女性の健康に及ぼす影響に関するものがある。特に女性は,一生を通じて女性ホルモンの影響をうけ,ライフステージに応じて罹患しやすい疾病や症状が異なっている。そこで本稿ではこれまでに報告されている疫学研究の知見をもとに,食事の中でも植物エストロゲンとして知られるイソフラボンやそれらを多く含む大豆製品の摂取と健康についての知見を紹介する。
掲載日: 2025年02月18日
/ 収集: 2026年05月26日 12:00
飼料中の植物由来酵素がラット腸内環境に及ぼす影響
J-STAGE 収録論文(日本)
腸内細菌叢と健康との関係に注目が高まるなか,様々な発酵食品の機能性として腸内環境改善効果などが報告されている.本研究では,ケールや大麦若葉等の植物性食品を主原料とする発酵食品に着目し,腸内細菌叢と腸管での発酵性およびその影響についてラットを用いて検討した.ラットの群構成は,4%伊豆酵素を配合した配合群,伊豆酵素と乳酸菌を2%ずつ等量配合した混合群そして,未配合のコントロール群の3群に分け給餌し3週間飼育した.その結果,伊豆酵素を摂取することにより,盲腸内容物中のpHの低下や便の臭気成分であるインドール,スカトールの産生量が低下し,短鎖脂肪酸であるプロピオン酸の産生量が有意に増加した.また,腸内細菌叢の解析結果から,有用菌であるAkkermansia属,Lactobacillus属,Roseburia属,Blautia属で増加傾向を示した.以上のことから,伊豆酵素の摂取により,腸内環境を改善させる効果が期待されることが示唆された.
掲載日: 2026年02月06日
/ 収集: 2026年05月26日 10:00
野菜を加えたおかゆから海洋由来乳酸菌を用いて製造する乳酸発酵食品について
J-STAGE 収録論文(日本)
コメの消費拡大と野菜類の有効活用を促す目的で,海洋由来乳酸菌を活用し,コメと様々な野菜類の混合物の発酵について検討した。本研究では,サトイモ,サツマイモ,ナガイモ,ジネンジョ,メキャベツ,ニンジン,イチゴ,メロンとコメ混合物の乳酸発酵食品を製造した。製造した発酵食品に含まれる乳酸菌数はいずれも10 11 ~10 14 (CFU/mL)含まれていた。発酵食品は,混合する野菜類により,硬さに違いがみられた。発酵食品の抗酸化能(DPPHラジカル消去活性)は,乳酸発酵に伴い減少もしくは変化は明らかではなかった。総ポリフェノール含量についても,乳酸発酵に伴う変化は,明らかではなかった。以上から,本研究で製造した発酵食品は,乳酸菌数を豊富に含む植物性の発酵食品として期待できる。
掲載日: 2025年12月10日
/ 収集: 2026年05月26日 10:00
新たな発酵食品におけるメタボリックシンドロームの予防および改善効果
J-STAGE 収録論文(日本)
メタボリックシンドローム(metabolic syndrome: MetS)は世界中で有病率が増加している.この対策の1つとして,機能性食品としての発酵食品が注目されている.発酵とは,微生物を利用して食品をヒトにとって有益な状態に変化させることである.古来より保存性を高めるために利用されてきたが,近年は脂質や糖代謝異常の改善効果をはじめ,健康への影響も明らかになり始めている.また,有益な乳酸菌等を用いて新たな発酵食品を開発する試みもある.本稿では,新たな機能性食品としてカロテノイド(carotenoid: CAR)と植物ステロール(phytosterols: PS)を強化した発酵食品がMetSに及ぼす影響について示した論文を紹介する. なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである. 1) Dhuique-Mayer C. et al ., Food Funct ., 16 , 2881-2892(2025). 2) Beydoun M. A. et al ., Nutr. Rev ., 77 , 32-45(2018). 3) Nattagh-Eshtivani E. et al ., Phytother. Res ., 36 , 299-322(2022).
掲載日: 2025年12月01日
/ 収集: 2026年05月26日 10:00
発酵乳と健康
J-STAGE 収録論文(日本)
発酵乳は古代より利用されてきた食品であり, 保存性や嗜好性に加え, 近年では健康機能性に注目が集まっている。発酵乳とは, 乳を乳酸菌あるいは酵母で発酵させたものであり, 特にヨーグルトは代表例である。発酵に関与する乳酸菌には多様な種類が存在し, その中には整腸作用, 免疫調節作用, 血圧降下作用, 睡眠の質の改善など, 多様な機能性を持つものがある。乳酸菌の機能性は菌株ごとに異なるため, 個別の評価が必要である。近年では, 植物由来の代替ミルクを用いた発酵食品も開発されており, ヴィーガンやアレルギー対応, 環境配慮の観点からも注目されている。本総説では, 発酵乳および乳酸菌の基本とその機能性を概説し, 植物性ミルクの発酵についても紹介する。
掲載日: 2025年10月20日
/ 収集: 2026年05月26日 10:00
ジャポニカ種とインディカ種米粉を用いた乳酸発酵米粉麺の調製
J-STAGE 収録論文(日本)
【目的】日本では地産地消の推奨やSDGsの観点から米の消費拡大促進の1つとして米粉や米加工品の開発が進んでいる。同時に,国民の健康志向の高まりにより乳酸菌の機能性を付与した発酵食品が注目されている。前報で,徳島県の伝統的後発酵茶である阿波晩茶乳酸菌を用いて発酵米粉麺の調製を検討した。そこで,本研究では,発酵米粉麺の調製に適した米粉を選択するために,ジャポニカ種とインディカ種の米粉を用いた発酵米粉麺(ジャポニカ麺とインディカ麺)を調製し,比較を行った。 【方法】阿波晩茶乳酸菌Lactiplantibacillus pentosusをMRS寒天培地で30℃,72h前培養し,得られたコロニーを滅菌水に懸濁した。ジャポニカ種米粉には徳島県産コシヒカリ,インディカ種米粉には台湾産とタイ国産を用いた。米粉40gと水60mL(乳酸菌懸濁液0.60mL(OD 660 =1.0)を含む)を混合した米粉生地を30℃で培養した。米粉麺調製は,角型セルクルに発酵生地を流し入れ,6分間蒸す「蒸し麺式製造法」で行った。米粉麺の物性はクリープメーター((株)山電)で測定した。 【結果・考察】ジャポニカ種とインディカ種の米粉生地は24h培養後,㏗4に近づき,乳酸発酵が確認された。ジャポニカ麺の水分と水分活性はインディカ麺よりも低いことがわかった。また,ジャポニカ麺のかたさ荷重は2種類のインディカ麺より有意に低い値を示し,一方,付着性は有意に高い値を示した。これらの物性の違いは米粉のアミロース含量によると考えられた。また,米粉麺は乳酸発酵によって通常の麺より柔らかくなることから,発酵米粉麵にはインディカ米のような高アミロース米が適していると考えられた。
掲載日: 2025年08月30日
/ 収集: 2026年05月26日 10:00