ビタミンDは骨の健康だけでなく、体内のさまざまな働きに関わるとされる栄養素です。日光を浴びることで皮膚で作られる一方、不足している人が多いことも知られています。今回紹介するのは、大学生を対象にビタミンD欠乏と体格、そしてビタミンDが働くために必要な受容体(VDR)の遺伝的な個人差との関連を調べた研究です。
どのように調べたのか
研究チームは、2023年4月から5月にかけて大学生189名を対象に調査を行いました。過去6か月以内にビタミンDのサプリメントを摂取していた人は対象から除外されています。参加者の血液からビタミンD値を化学発光免疫測定法で測定し、あわせてVDR遺伝子の「BsmI」と呼ばれる一塩基多型(SNP)をqPCR(TaqMan法)で調べました。体重状態はWHOの基準に沿って分類し、体重、ウエスト周囲径、ヒップ周囲径、体脂肪率なども記録されました。これらのデータをもとに、ビタミンD欠乏と関連する要因を多変量ロジスティック回帰分析で検討しています。
わかったこと
参加者全体のうち34.9%にビタミンD欠乏が確認されました。ビタミンD欠乏がみられたグループでは、そうでないグループと比べて体重、ウエスト周囲径、ヒップ周囲径、体脂肪率がいずれも有意に高い値を示していたと報告されています。また、VDR BsmI多型の遺伝子型やアレル(対立遺伝子)の分布についても、ビタミンD欠乏の有無で有意な差がみられました。
さらに詳しい解析では、肥満であること(オッズ比4.260、95%信頼区間1.656〜10.959)と、BsmI多型の劣性遺伝モデル(オッズ比4.361、95%信頼区間1.200〜15.846)が、それぞれ独立してビタミンD欠乏と関連していることが示されました。研究チームは、肥満とVDR BsmI劣性遺伝モデルがビタミンD欠乏のリスクと独立に結びついていると結論づけ、この知見が予防戦略の検討に役立つ可能性を示唆しています。
この研究を読むうえで
この研究は、ブラジルのFederal University of Pampa(UNIPAMPA)などに所属する研究者らによって行われたもので、対象は189名の大学生という特定の集団を横断的に調べたものです。横断研究であるため、ビタミンD欠乏と肥満・遺伝的多型との間に関連がみられたとしても、それが原因と結果の関係を意味するものではありません。今回の結果は一つの研究集団から得られたものであり、これをもって結論が確定したと捉えるべきではない点に留意が必要です。
まとめ
この研究では、大学生189名を対象とした調査から、ビタミンD欠乏が全体の34.9%にみられ、肥満やVDR遺伝子のBsmI多型(劣性遺伝モデル)がビタミンD欠乏と独立に関連していることが示されました。体重や体格、遺伝的な背景がビタミンDの状態とどう関わるかを考えるうえで、一つの手がかりを提供する研究といえます。
※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。出典(原著論文):Débora Alejandra Vasquez Rubio, Isabelle Castagnara Albuquerque, Lyana Feijoo Berro Pivetta, et al. VDR BsmI polymorphism and obesity in vitamin D deficiency among undergraduate students: a cross-sectional study. モレキュラー・バイオロジー・リポーツ (2026). DOI: 10.1007/s11033-026-12633-w. 原著ライセンス: cc-by.