著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:INTERNATIONAL JOURNAL OF ECONOMIC LITERATURE

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: DataCite

研究の目的

研究チームは、インドネシア・サンバスの伝統食品「乾燥ボトック」を、家庭や小規模事業者が生産する際の技術面と採算面の実現可能性を調べた。ボトックは魚に地域の香草や香辛料、ココナツなどを組み合わせた加工食品である。

地域らしい食材や味に特徴がある一方、生産能力の制約や品質の標準化が課題となっている。そこで著者らは、試作を通じて工程や費用を把握し、販売先や仕入れ先との関係も含めた事業モデルを検討した。

何を、どのように調べたか

研究チームは、1回の生産で30袋を作る規模を対象に、原材料と設備の必要量、作業工程、所要時間、生産量、費用、販売価格を記録した。魚種を変えて試作し、最終試作では骨を取り除きやすく身が厚いことからサバを選んだ。

工程は、魚と調味材料の準備、加熱、骨の除去、調味材料との混合、若いノニの葉での包み込み、蒸し、冷却、オーブン乾燥、真空包装で構成された。記録した費用と想定販売価格を使って、売上高、利益、収支が釣り合う販売量などを算出した。また、顧客層、商品の特徴、販売経路、必要な資源や協力先などを整理する「ビジネスモデル・キャンバス」を使い、事業の形を検討した。

主な報告結果

論文は、試作規模では約3日間で30袋を生産できたと報告している。1回当たりの原材料費は12万4,200インドネシアルピアで、魚が4万5,000ルピア、香辛料などが7万9,200ルピアだった。オーブンや蒸し器、調理器具などへの設備投資額は42万5,500ルピアとされた。

1袋2万5,000ルピアで30袋すべてを販売する想定では、1回当たりの売上高は75万ルピアとなる。著者らが報告した総生産費は約22万7,746ルピア、利益は52万2,254ルピアだった。計算に含めた費用に対する売上高の比率は3.29倍、収支が釣り合う販売量は約9.11袋、袋数にすれば約10袋と報告された。これらは実際の販売実績ではなく、設定した価格と販売量に基づく計算である。

事業モデルでは、サンバスの食文化と地元の魚・香辛料を使うことが商品の中心的な特徴として整理された。販売経路には直販、土産物店、再販売業者、オンライン販売などが挙げられた。ただし、これらは事業展開の提案であり、市場の需要を測定して確かめた結果ではない。

この報告が示すこと

著者らは、今回の試作規模と費用の前提では、乾燥ボトックに小規模事業としての可能性があると結論づけた。一方で、事業拡大には製造手順の標準化と品質の確認、費用の網羅的な記録が必要だとしている。

この研究は限られた生産規模の検討であり、大規模な市場試験や、食品の安全性・保存期間を裏づける十分な検査結果は含まれていない。また著者らは、電力、包装、流通などの費用を明確にし、長期的な投資指標も一貫した資金収支に基づいて再確認する必要があると述べている。採算の数値は、事業の成功を保証するものではなく、試作段階の条件に基づく初期的な判断材料と位置づけられる。

原著論文の著者・所属:Nur Istiqamah, Dian Sari, M. Iqbal Arraziq

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Nur Istiqamah, Dian Sari, M. Iqbal Arraziq. TECHNICAL AND ECONOMIC FEASIBILITY OF SAMBAS TRADITIONAL DRIED BOTOK PRODUCTION. INTERNATIONAL JOURNAL OF ECONOMIC LITERATURE 2026-11-02. DOI: 10.5281/zenodo.23885141. 原著ライセンス:CC BY.