プラスチックごみが細かく砕けてできる微小な粒子「マイクロプラスチック」は、すでに海や土壌など自然環境のいたるところで見つかっており、食品を通じて人の体内に入り込むことも知られています。中でも即席麺(カップ麺)は、多くの人にとって手軽な食事の選択肢である一方、樽型(バレル型)の容器に入ったタイプでのマイクロプラスチック汚染を調べた研究はこれまで多くありませんでした。今回、中国農業大学食品科学与営養工程学院の研究者らが、この点に着目した調査を行いました。

何を、どうやって調べたのか

研究チームは、4カ国で販売されている10ブランドの樽包装即席麺のカップサンプルを対象に分析を行いました。分析には「減衰全反射フーリエ変換赤外分光法(ATR-FTIR)」という顕微分光法が使われています。これは、粒子に赤外線を当てたときの反射光の特徴から、その粒子がどのような種類のプラスチック(ポリマー)でできているかを特定できる手法です。この方法を用いて、通常の調理手順どおりに準備した麺から溶け出すマイクロプラスチックの量(濃度)と、その素材の種類を調べています。

研究でわかったこと

分析の結果、標準的な調理条件のもとで即席麺を1杯食べると、平均で318±94.03個のマイクロプラスチック粒子を摂取することになると報告されています。検出された粒子の種類としては、合成繊維とポリエチレン製のマイクロプラスチックが最も多く見られ、そのほとんどは大きさが500マイクロメートル(0.5ミリメートル)未満の非常に小さな粒子だったとされています。

これらの結果から、樽包装タイプの即席麺においてマイクロプラスチックによる汚染が広く存在していることが確認されたと研究者らは述べています。

この研究の位置づけと読むうえでの注意

この研究は、樽包装即席麺という特定の食品カテゴリーにおけるマイクロプラスチックの存在を明らかにしたものであり、健康への影響そのものを直接評価したり、特定の危険性を断定したりするものではありません。論文では、こうした汚染が製造工程のどの段階で生じているのか(汚染経路)を今後さらに調べ、生産の各段階でマイクロプラスチックへの曝露を減らすための対策を検討していくことの重要性が指摘されています。一つの研究であり、ここで示された数値がすべてのカップ麺製品や国・地域に一様に当てはまると結論づけられているわけではない点にも留意が必要です。

まとめ

今回の調査では、4カ国・10ブランドの樽包装即席麺を対象に赤外分光法で分析した結果、1杯あたり平均300個を超えるマイクロプラスチック粒子が検出され、その多くが合成繊維やポリエチレン由来の微小な粒子だったことが報告されました。マイクロプラスチックと食品の関わりについては研究が始まったばかりの分野であり、今後、汚染がどこで生じているのかや、それを減らす方法についてのさらなる研究が期待されます。

※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。参考文献:Xiaowen Sun, Yi zhu. Microplastic contamination in barrel-packaged instant noodles and human risk assessment. ジャーナル・オブ・フード・コンポジション・アンド・アナリシス (2026). DOI: 10.1016/j.jfca.2026.109426. 原著ライセンス: cc-by-nc-nd.