プラスチックごみが細かく砕けてできる『マイクロプラスチック』は、海や川など水環境における新たな汚染物質として注目されています。魚介類を食べることで人がこれを取り込む経路になりうると考えられていますが、離島のような小規模な沿岸環境に生息する小型浮魚類について、汚染の実態を示す基礎データはまだ限られており、特にインドネシアではその報告が少ないとされています。今回紹介する研究は、丸ごと食べられることの多いカタクチイワシ(Stolephorus属)に着目し、インドネシアのデンドゥン島周辺水域で採れた個体のマイクロプラスチック汚染を調べたものです。
研究でわかったこと
この研究は2025年に実施された記述的横断研究で、地元の漁獲から得られたカタクチイワシ100個体を対象としました。マイクロプラスチックの抽出には、有機物を分解する酸化消化処理を行った後、密度分離、ろ過を経て、実体顕微鏡での観察という手順が用いられました。得られたデータは記述的に解析されています。
その結果、100個体から合計109個のマイクロプラスチック粒子が確認され、個体あたりの平均検出数は1.09個でした。形状別にみると、繊維状のものが67.0%と最も多く、次いでフィルム状が20.2%、破片状が12.8%を占めていました。また、粒子の色にはばらつきがあり、性状が一様ではないことも示されています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
著者らは、今回の結果を離島の沿岸環境で採れたカタクチイワシにおけるマイクロプラスチック汚染の基礎的な知見と位置づけており、この魚が食事を通じた曝露経路となりうる可能性を指摘しています。ただし、この研究は特定の時期・特定の島の水域で採取された100個体を対象にした記述的な調査であり、汚染源の特定や健康への影響そのものを検証したものではありません。一つの地域・一つの研究から得られた基礎データである点に留意する必要があります。
まとめ
この研究では、インドネシアの離島デンドゥン島周辺で採れたカタクチイワシから、1個体あたり平均1.09個のマイクロプラスチック粒子が検出され、繊維状のものが最も多く見られたことが報告されました。著者らは、水産物の安全性と公衆衛生を守るために、継続的なモニタリングとプラスチック汚染対策の強化が必要だと結論づけています。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:カタクチイワシにおけるマイクロプラスチック曝露:インドネシアの離島水域からの基礎的知見(インターナショナル・ジャーナル・オブ・パブリックヘルス・サイエンス(IJPHS)・2026年08月)