牛乳の代わりに豆乳やアーモンドミルクを選ぶ人が増えていますが、オーツ麦から作られる「オーツミルク」もその一つです。オーツミルクは栄養面や機能性の観点から植物性ミルクの選択肢として関心を集めていますが、原料であるオーツ麦にはでんぷんが多く含まれているため、製品がざらついたり、時間が経つと成分が分離してしまったりすることが課題になりやすい飲み物です。今回紹介する研究は、ネジメッティン・エルバカン大学のSara Ibrahim Hussein ABDALLAH氏とNilgün Ertaş氏が、こうした課題に対して加工技術と酵素処理を組み合わせることでどこまで改善できるかを調べたものです。

何と何を組み合わせて調べたのか

研究チームは、オーツミルクの製造において、でんぷんを分解する酵素である「α-アミラーゼ」を使う処理と、加熱・マイクロ波・超音波という異なる加工技術を組み合わせた場合に、製品の構造や物理化学的な性質がどう変化するかを検証しました。α-アミラーゼはでんぷんの分子を分解する働きを持つ酵素で、これによって溶けやすさ(溶解性)が高まることが確認されています。あわせて、この分解によって製品の色にも目立った変化が生じたことが報告されています。

加工方法ごとに異なる結果が見られた

比較の結果、加熱・マイクロ波・超音波という3つの加工技術は、それぞれ異なる特徴を示したとされています。中でもα-アミラーゼ処理とマイクロ波処理を組み合わせた条件が最も良好な結果を示し、製品のクリーミーな質感を高めつつ、望ましくない風味を減らす効果が確認されたと報告されています。マイクロ波処理単独でも、成分が均一に分散する度合いを高め、層が分離してしまう現象を抑える点で最も高い安定性を示したとされています。一方、超音波処理は、粒子の塊を細かく壊し、微細な構造レベルでより均質な状態を作り出すことで、タンパク質の溶けやすさを高め、沈殿を減らす効果があったと報告されています。従来からある加熱処理についても、ある程度の改善効果は見られたものの、他の2つの方法と比べると効果は限定的だったとされています。また、酵素処理はpH(酸性・アルカリ性の度合い)や、水に溶けている固形成分の総量、そして製品全体の安定性といった品質の基本指標にも大きく影響したことが確認されています。

この研究をどう受け止めればよいか

この研究は、酵素処理と加工技術を組み合わせることで、植物性ミルクの物理的な安定性や見た目、機能面の性質を高められる可能性を示した一つの実験結果です。研究チームは、こうした手法が消費者からの受け入れやすさを高め、高品質な植物性ミルクの開発につながる可能性があると述べていますが、これは実験室レベルでの物理化学的な測定に基づく報告であり、実際の商品としての味や食感の評価、あるいは栄養面への影響を直接示したものではない点には留意が必要です。あくまで一つの研究であり、これによって結論が確定したわけではありません。

まとめ

今回の研究では、オーツミルクの製造において、α-アミラーゼという酵素処理と、加熱・マイクロ波・超音波といった加工技術を組み合わせることで、製品の安定性や溶解性、見た目や質感に違いが生まれることが報告されました。中でもマイクロ波と酵素処理の組み合わせが良好な結果を示したとされていますが、これは特定の実験条件下での知見であり、今後さらに研究が積み重ねられていく分野だと考えられます。

※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。参考文献:Sara Ibrahim Hussein ABDALLAH, Nilgün Ertaş. Structural and physicochemical properties of oat milk produced by modern techniques and α-amylase treatment. ネジメッティン・エルバカン大学理工学ジャーナル (2026). DOI: 10.47112/neufmbd.2026.122.