この研究は、クロアチア、トルコの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Akademik Gıda
ライセンス: CC BY-NC 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
タマリンド(Tamarindus indica L.)は、酸味のある果肉が特徴の熱帯の果実で、飲料や調味料、菓子などに幅広く利用されています。近年は果実そのものだけでなく、加工の際に生じる副産物をどう活用するかにも関心が集まっており、食物繊維を取り出して新しい食品素材として使う試みが注目されています。今回紹介する研究では、タマリンドの果実と、そこから抽出した食物繊維画分について、成分や機能性を比較した結果が報告されています。
何を調べたのか
研究チームは、タマリンドの果実とその食物繊維画分について、食物繊維含量、膨潤力(水を含んで膨らむ性質)、保水力・保油力、水分活性、乾物量、タンパク質、灰分、抗酸化活性(FRAPおよびDPPH法)、有機酸、糖の含有量、さらに金属の腐食を抑える働き(防食性)まで、幅広い項目を測定したとされています。
研究でわかったこと
食物繊維画分は、果実本体と比べて食物繊維含量が有意に高く(73.31±0.30%)、膨潤力(9.21±0.01%)、保水力(6.17±0.11 mL/g)、保油力(2.25±0.09 g/g)も高い値を示したと報告されています。これらの性質から、低脂肪食品や消化・腸の健康を意識した食品への応用可能性が示唆されるとされています。
また、腐食を抑える働きについても違いが見られ、食物繊維画分の防食効率は86.3%、果実は70.28%であったと報告されており、食物繊維画分の方がより高い防食性を示したとされています。
一方で、抗酸化活性については果実の方が高く、FRAP法では330.5±1.57 μmol Fe²⁺/mL、DPPH法のSC₅₀は2.33±0.11 mg/mLであったとされています。さらに果実はタンパク質含量(96.34±1.21 μg/mL)や、グルコース(1.52±0.09%)・フルクトース(1.93±0.07%)といった天然の糖も多く含んでおり、エネルギー密度の高い食品への応用に適する可能性があるとされています。有機酸については、酒石酸(3.80±0.24 mg/g)やリンゴ酸(0.60±0.02 mg/g)が主に果実に含まれ、食物繊維画分にはほとんど見られなかったと報告されています。
この研究の位置づけと読むうえでの注意
この研究は、タマリンドの果実とその食物繊維画分という二つの素材が、それぞれ異なる特徴を持つことを理化学的な分析によって示したものです。果実は抗酸化活性や糖、タンパク質の面で、食物繊維画分は繊維含量や保水・保油力、防食性の面でそれぞれ優れた性質を持つとされていますが、これは実験室での成分・機能性評価に基づく結果であり、人の健康への効果を直接示したものではありません。論文の著者らも、代謝の健康や腸内細菌叢への影響を調べるには、今後の生体を用いた研究が必要だと述べています。一つの研究であり、結論が確定したわけではない点に留意が必要です。
まとめ
今回の研究は、タマリンドの果実とその副産物由来の食物繊維画分が、それぞれ異なる強みを持つ食品素材となりうることを示したものです。食物繊維画分は低脂肪食品などへの、果実はエネルギー密度の高い食品などへの応用が考えられるとされており、果実だけでなく副産物も含めて有効活用していくことが、食品産業の持続可能性を高める一つの方向性として位置づけられています。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。出典(原著論文):タマリンド(Tamarindus indica L.)とその副産物由来の食物繊維の抽出と特性評価:理化学的、機能的、および防食性の特性(アカデミク・ギダ・2026年07月)
著者:Büşra Erdem(Semas Food Industry Tourism Trade Co. R&D Center)、Yakup Şirin(Semas Food Industry Tourism Trade Co. R&D Center)、Gülşah Gökçe(Semas Food Industry Tourism Trade Co. R&D Center)、Bahar Tan(Kastamonu University, Graduate School of Natural and Applied Sciences, Department of Materials Science and Engineering)、Nurdane Yılmaz(Kastamonu University, Faculty of Education, Department of Mathematics and Science Education, Division of Science Education)、Perıhan Gürkan(Gazi University, Faculty of Science, Department of Chemistry)