著者の所属・活動拠点の国は、ニュージーランドです。
掲載誌:British Journal Of Nutrition
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
ニュージーランドは子どもの肥満の割合が世界的にも高い国の一つとされています。幼いころからの健康的な食事は、子どもの肥満予防の土台として国際的に推奨されています。一方で、同国では幼児の食事全体の質と体重との関係を示す全国的なデータが限られていました。
オークランド大学の研究チームは、出生時から子どもを追跡している大規模な調査「Growing Up in New Zealand」のデータを用いました。生後54か月(およそ4歳半)の子どもについて、ふだんの食べ方の傾向(食事パターン)と、体脂肪が多すぎる状態を示す指標との関連を調べています。研究チームは、子どもの肥満予防策を考えるための根拠を示すことを目的として挙げています。
何をどのように調べたか
分析の対象は、54か月時点の調査に参加し、条件を満たした6048人の子どもです。この研究は、ある一時点のデータを使って関連を見る「横断研究」です。そのため、食事が体格の変化を引き起こしたかどうかまでは判断できません。
食事については、保護者が直近4週間に子どもが食べたものを62項目の質問票に答えました。この回答から、以前の研究で二つの食事パターンが見いだされています。一つは、白いパンや精製された穀類、砂糖・塩・不健康な脂肪の多い食品をよく食べる「精製・高糖・高塩・高脂肪」パターンです。もう一つは、果物や野菜に加え、赤身の肉、鶏肉、魚、卵、豆類、ナッツなどのたんぱく質食品をよく食べる「果物・野菜」パターンです。子どもは、それぞれのパターンへの当てはまり具合によって、低い・中程度・高いの3群に分けられました。
体格は実際に測定されました。体脂肪が多すぎる状態の指標は二つです。一つは、年齢に対する体格指数(BMI)が世界保健機関(WHO)の基準で標準から大きく上回る場合で、これを「過体重・肥満」としています。もう一つは、腹囲を身長で割った値がこの調査集団の上位10%に入る場合(おおむね0.55以上)で、お腹まわりの脂肪の多さを示します。分析では、子どもの年齢、性別、画面を見る時間、母親の年齢、学歴、民族、妊娠前のBMI、妊娠中の食事パターン、喫煙、住んでいる地域の経済的な困窮度などの影響を統計的に調整しました。そのうえで、群の間で該当する子どもの割合がどれだけ違うかを比べています。
主な結果
全体では、およそ7人に1人の子どもがBMIの基準で過体重・肥満に当たりました。
子ども全体で見ると、「精製・高糖・高塩・高脂肪」パターンへの当てはまりが最も高い群では、最も低い群に比べて過体重・肥満の割合が約1.5倍でした。ただし、男女別に分析すると、この関連がはっきり見られたのは女の子だけでした。女の子では、当てはまりが最も低い群と比べて、中程度の群で約1.56倍、最も高い群で約2.14倍、過体重・肥満の割合が高くなっていました。男の子では、統計的に意味のある関連は認められませんでした。
腹囲と身長の比で見たお腹まわりの脂肪の多さについては、男女どちらでもこの食事パターンとの関連は見られませんでした。また、「果物・野菜」パターンは、BMIと腹囲・身長比のどちらの指標とも、男女いずれでも関連がありませんでした。
研究が示すこと
著者らは、4歳半の時点で質の低い食事が肥満と結びついており、その結びつきには男女差があったとまとめています。そして、この結果は、砂糖・塩・不健康な脂肪の多い食品を対象とした幼児期の肥満予防策を支持するものだと述べています。
ある時点での関連を示した研究ではありますが、ニュージーランドの幼児について、食事全体の傾向と体格との関係を全国的に一般化しやすいデータで示した点に、この研究の意義があります。
著者:Fajer Baker Ismael(The University of Auckland)、Clare Rosemary Wall(The University of Auckland)、Amy Luisa Lovell(The University of Auckland)、Teresa Gontijo de Castro(The University of Auckland)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Fajer Baker Ismael, Clare Rosemary Wall, Amy Luisa Lovell, et al. Higher scores in a Refined high in sugar, salt, and fat dietary pattern are associated with excess adiposity among 54-month-olds: Growing Up in New Zealand cohort. British Journal Of Nutrition 2026-10-15. DOI: 10.1017/s0007114526108356. 原著ライセンス:CC BY.