「何を食べるか」だけでなく、「どんな食べ方のパターンを続けているか」が、体脂肪のつき方に深く関わっているとしたら——。近年の栄養研究では、個々の食品や栄養素だけでなく、食事全体のパターンに注目する視点が広がっています。

研究でわかってきたこと

2026年5月、『Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics』に掲載された研究では、ニュージーランド・オークランドに住む65〜74歳の地域在住高齢者367名を対象に、食事パターンと体脂肪との関連が分析されました。

この研究で用いられたのが、世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究機関(AICR)が2018年に策定した食事スコア(WCRF/AIRCスコア)です。このスコアは、野菜・果物・全粒穀物・豆類の摂取量、加工食品や赤肉の摂取量、アルコール量などを総合的に点数化したもので、いわば「食事の質」を数値で表す指標といえます。

研究では、このスコアが高いほど——つまり食事の質が高いほど——BMI(体格指数)、ウエスト周囲径、ウエスト・ヒップ比、体脂肪率、内臓脂肪率、そして体幹部と下半身の脂肪比率(アンドロイド/ガイノイド比)のすべてにおいて、脂肪の蓄積が少ない傾向があると報告されています。また、統計的な主成分分析によって導き出された経験的な食事パターンについても、同様の関連が示唆されています。

もちろんこの研究は横断研究(ある時点のデータを分析するもの)であるため、食事パターンが体脂肪の変化を直接もたらすという因果関係を断定するものではありません。しかし、食事全体のバランスを意識することの重要性を改めて示唆する結果として注目されています。

注目の食品と実測データ

今回の研究で高スコアと関連する食事パターンのキーワードは、野菜・果物・全粒穀物・豆類の豊富な摂取と、加工食品・赤肉・アルコールの抑制です。日本の食卓にも身近なこれらの食品群について、食事の質を高めるうえでの特徴を整理してみましょう。

たとえば豆類の代表格である大豆製品は、日本の伝統的な食文化を支えてきた食品です。また、精製度の低い穀物として玄米や麦ご飯なども、日本の食卓に取り入れやすい選択肢として知られています。野菜類については、緑黄色野菜をはじめとする多様な種類を組み合わせることが、食事パターンの質を高めるうえで重要とされています。

なお、本記事では特定食品の数値データについて、今回のデータベース収録状況の関係から個別の数値掲載を見送っています。農林水産省が公表する食品成分に関する情報や、国立健康・栄養研究所の資料なども、食品選びの参考になります。

日々の食事に取り入れるヒント

研究が示す「食事の質を高める」食べ方を、日常生活に落とし込むにはどうすればよいでしょうか。以下にいくつかのヒントをまとめました。

  • 主食を見直す:白米・白パンに加え、麦ご飯や玄米、全粒粉パンなどを取り入れてみましょう。一度に全部変える必要はなく、白米に押し麦を少量混ぜるだけでも一歩前進です。
  • 豆類を意識的に加える:納豆・豆腐・煮豆・枝豆など、日本の食卓にはもともと豆類が豊富です。一日一品、豆製品が入った料理を意識してみましょう。
  • 野菜・果物の種類を増やす:同じ野菜ばかりでなく、色とりどりの野菜を取り入れることで、さまざまな栄養素をバランスよく摂りやすくなります。
  • 加工食品・外食の頻度を意識する:ハム・ソーセージ・インスタント食品などの加工食品は、食塩や脂質が多くなりがちです。頻度を振り返るだけでも、食事の質の改善につながる可能性があります。
  • アルコールは適量を意識:飲む場合は量と頻度を意識することが、食事全体のバランスを保ううえで重要とされています。

まとめ

今回紹介した研究は、個々の食品や特定の栄養素ではなく、食事パターン全体の質が体脂肪と関連している可能性を示唆しています。特別な食材を探す前に、まず毎日の食事の組み立て方を見つめ直すことが、健康的な体づくりへの近道かもしれません。野菜・豆・全粒穀物を上手に活用しながら、加工食品に頼りすぎない食事習慣を、少しずつ積み上げていきましょう。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。参考文献:Both empirical dietary patterns and the 2018 World Cancer Research Fund/American Institute for Cancer Research Score are associated with adiposity in older adults in New Zealand(Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics(2026 May 21))